【米国市場】S&P500も最高値を更新、新型コロナ渦も強気相場入りか

米国株式市場では、S&P総合500種(.SPX)が終値として過去最高値を更新した。3月23日に新型コロナウイルス感染拡大を受けて付けた安値からは約55%上昇。2月下旬に始まった弱気相場はS&P500種の歴史の中で最も短かった。

ナスダックとS&P500は最高値を更新

リフィニティブのデータによると、S&P500種の3月23日からの103日間の上昇は過去87年間で最も大きかった。
米政府の大規模な財政刺激策と米連邦準備理事会(FRB)の金融刺激策を受け、米株式市場には大量の資金が流入。中でもアマゾン・ドット・コム(AMZN.O)などのハイテク関連株が新型ウイルス危機に強いとの見方から物色された。
この日はアマゾンが4.1%高で終了。S&P500種構成銘柄の中で最も大きく上昇した。
ただ、この日の取引では米経済の基調的な力強さに対する疑念が払拭されず、四半期決算を発表したホームセンター大手のホーム・デポ(HD.N)や小売大手ウォルマート(WMT.N)などに売りが出た。
S&P500種はこれまでも何回か過去最高値を試しに行った後、ようやく最高値を更新。インキャピタルのチーフ市場ストラテジスト、パトリック・ラーリー氏は「経済全体の健全性を反映しているかは分からない」と指摘。「上昇はむしろ資産インフレに起因するものだった。資産インフレは市場に流れ込んだ流動性のほか、継続的な景気支援やドル安により引き起こされたものだ」と述べた。
ナスダック総合(.IXIC)は6月初旬にコロナ禍からの回復が確認されたが、それ以降終値としての過去最高値を18回更新。この日の過去最高値更新は年初から34回目。2019年全体では31回、18年全体では29回だった。
この日の上昇を主導したのは一般消費財株(.SPLRCD)。ハイテク株も貢献した。
ただ個別銘柄では、ホーム・デポが1.1%安の285ドルで終了。第2・四半期(8月2日まで)決算は既存店売上高の伸びが過去約20年間で最大となったものの、売上高はピークを付けた可能性があるとの見方を示し、売りを誘った。
ウォルマートも好決算にもかかわらず売られ、0.9%安で取引を終えた。

この日発表の米経済指標では、7月の住宅着工件数(季節調整済み)が年率換算で前月比22.6%増の149万6000戸と、2016年10月以来の増加率となった。
市場では連邦準備理事会(FRB)が19日に公表する7月の連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨が注目されている。
ニューヨーク証券取引所では値下がり銘柄数が値上がり銘柄数を1.40対1の比率で上回った。ナスダックでも1.66対1で値下がり銘柄数が多かった。

今日の私見

恐怖指数(VIX)も今年2月の水準まで戻ってきており、強気相場の入り口に立った様相。

市場に大量に投入された資金により、新型コロナの猛威は衰えないなかで強気相場に差し掛かっていることから、新型コロナの影響がなくなった場合は超強気相場になると予想する。

新型コロナは依然のように感染者数拡大が市場に影響することはかなり少なくなっている。
そのため、次の市場の注目は米大統領選挙だ。

今のところトランプ氏の当選=株高、バイデン氏当選=株安といった印象だが、バイデン氏により株安となっても、それは一時的であると予想する。
それは、今のところ両者は政策的に大きな違いがないからだ。
また、大統領選挙関連での対中政策の強化にも注意したい。
トランプ氏は新型コロナによる失業率の影響でかなり不利になっており、得意の対中政策を強める可能性がある。

出展

ロイター 8/19 S&P最高値、強気相場入り 新型コロナ禍から回復