【4/7】急激な円高に日本はどう立ち向かうのか
対米ドルで円は108円台にまで円高が進んでいます。
これまでサポートラインとして110円を死守してきましたがFOMCの声明を受けて、一気にこれを突破してきました。
投機筋の円買いの動きが更に活発化しています。
■為替介入にできないことによる支えの喪失
これだけ急激な円高が進むと通常はこれに反発する逆張りの動きも強まるのですが、今回はこれがありません。
安倍首相が米紙インタビューで「通貨安競争は絶対避けなければならない」とし、「恣意(しい)的な為替市場への介入は慎まなければならない」との認識を示したことが伝わって以来、日本が為替介入に消極的とみられています。
このことから、為替介入ができないと市場に足元をみられているため投機筋の円売り動機がなくなったのです。
■日本政府、日銀がどう動くか
4月末の日銀決定会合で追加緩和の可能性があります。
これだけ急激に円高が進むと物価上昇2%の目標が遠のきますうえに企業業績の重しにもなります。
日銀としても金融緩和でこれを回避したいところですが、過去に「バズーカ」と呼ばれるほどのインパクトのある緩和までにはいかないだろうとの見方が強く、あまり期待されていないのが現状です。
一方、安倍政権も黙ってはいないでしょう。5月の伊勢志摩サミットへ向けての政策検討や今秋の参議院選挙に向けてのテコ入れ、そして17年4月の消費税増税への対策をかなり高い可能性でなされるかと思います。
16年度の企業業績の結果次第では更にその動きが強まるでしょう。
■円高は企業にとって必ずしも悪いわけではない
円高になると輸出業の企業に対してはマイナスに作用します。
そのため、トヨタなどの海外輸出に力を入れている企業には悪影響となり、株価も下がりやすくなります。
一方、輸入についてはプラスに作用します。
そのため、牛丼チェーンなど原材料を他国から輸入している企業にとってはコスト削減となります。
このように、円高になると必ずしも株式の全銘柄が下落するとは限らないのです。
しかし、円高が株価下落要因という認識には違いありませんので、いずれにしても上値は重い展開となります。
為替は海外情勢に大きく左右されますが、日本主導での改善を期待したいところです。
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