【米国市場】S&Pは最高値もVIX上昇、不安定な情勢を映し出す

米国株式市場では、S&P総合500種(.SPX)とナスダック総合(.IXIC)が最高値を更新したほか、ダウ工業株30種(.DJI)も200ドル超上昇した。アップル(AAPL.O)やズーム・ビデオ・コミュニケーションズ(ZM.O)がテクノロジー株の上昇をけん引。製造業景気指数が予想を上回ったことや新型コロナウイルス追加対策を巡る協議への動きも楽観論を後押しした。

好調な市場も情勢は不安定

アップルは3.98%高。各サプライヤーに対し、第5世代(5G)移動通信システム対応のiPhone少なくとも7500万台を年内に生産するように求めたと報じられた。
ビデオ会議サービスのズーム・ビデオは40.8%急伸。前日発表した第2・四半期決算は、売上高と利益がともに市場予想を大幅に上回った。
このほか、アマゾン・ドット・コム(AMZN.O)は1.4%上昇した。
BNPパリバの株式・デリバティブ戦略責任者、グレッグ・ブートル氏は「現時点で市場には多くの前向きな勢いがある」とした上で、そこそこから良好な指標や妥協につながりそうな政治状況があれば、市場にはプラスだと述べた。
ムニューシン財務長官は、新型コロナ追加対策の協議を巡り民主党のペロシ下院議長に同時中に電話すると発言。また、メドウズ大統領首席補佐官は、追加対策を巡り上院共和党が来週に新たな法案を審議する公算が大きいとの認識を示した。
米供給管理協会(ISM)が午前に発表した8月の製造業景気指数は56.0と、前月の54.2から上昇し、2018年11月以来の高水準になった。ただ雇用指数はなお低調で、労働市場の回復は失速しつつあるとの見方が裏付けられた。
S&P500は新型コロナ禍前の高値を4%超上回り、ナスダックは21.7%上回る水準。ダウ平均は最高値をなお3%下回っている。
S&P主要11セクターでは、素材(.SPLRCM)、情報技術(.SPLRCT)、一般消費財(.SPLRCD)の上昇が大きかった。
一部のストラテジストは、米政治に今後数週間、注目が集まるため、市場のボラティリティーが高まる可能性があると警告する。
ウェルズ・ファーゴ・インベストメント・インスティチュートの投資戦略アナリスト、ベロニカ・ウィリス氏は、「新型コロナ流行を中心に不透明感は多いが、大統領選にも不確実性がある。選挙が近づくほど、市場のボラティリティーは高まるだろう」と述べた。
テスラ(TSLA.O)は4.7%安。上場後初となる株式売り出しを実施して、最大50億ドルを調達すると発表した。
ニューヨーク証券取引所では、値上がり銘柄数が値上がり銘柄数を1.62対1の比率で上回った。ナスダックも1.20対1で値下がり銘柄数が多かった。

米取引所の合算出来高は89億3000万株。直近20営業日の平均は91億4000万株。

今日の私見

世界的な金融緩和が下支えとなり、株式は新型コロナがなかった、または以前を上回る結果になっている。

しかし、恐怖指数VIXは上昇しており、不安定な以下に左右されると予想する。

 ・米大統領選挙
 ・米中対立

9月はボラリティが高くなりやすい月と言われているため注意したい。

出展

ロイター 9/2 S&Pとナスダック最高値更新、ハイテク株がけん引