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前戯(Fore Play)を学んだロンドンの夜

脱サラし、スタンダップコメディアンを志し、渡英してから8年が経った。

会社を勢いで辞めて、まずスコットランドのエジンバラに向かい、1か月間のコメディー修行。その後、ロンドンに移動し、約10か月間、毎日のようにコメディーに打ち込み研鑽を積んだ。詳しくはこちら↓

スタンダップコメディーの世界には、日本のNSCのような養成所の仕組みはなく、代わりに誰でもコメディーに参加できるオープンマイクというイベントがあるのだ。そこで5分間のネタを試すというのが、コメディアンとしてのはじまりである。

現在、東京の浅草橋のリトルジャパンで、第1週の日曜日は英語で、第三週の日曜日は日本語でスタンダップコメディーのオープンマイクを開催してるので、是非遊びにきてみてください!

ロンドンでは、毎晩あちこちでコメディーのオープンマイクが開催されており、僕は毎晩のように、いろいろな場所でパフォーマンスをし、いろんなネタを試すことができた。

そして、そこで、現地の駆け出しのコメディアン達と出会った。

仕事を早く終わらせ、オープンマイクにやってきたという中年のサラリーマンは、上司をネタにするつもりが、完全にただの愚痴になっていた。

将来はコメディアンになりたいという、有名大学でコンピューターサイエンスを専攻する学生もいた。あれから8年経った今、彼は元気にしているだろうか。親不孝してないことを祈るばかりである。

子持ちの主婦のおばちゃんは、子供を主人に預けてオープンマイクに参加していた。そして、旦那とのセックスの相性が悪いというネタを披露。
舞台上で旦那の性器が、蛇口のようであると罵っていた。

オープンマイクは、1人5分という待ち時間の中で、コメディアン達が、それぞれの物語を語る、色とりどりの5分間を楽しむことができるとても愉快なイベントであった。

もちろん中には、色とりどりとはかけ離れ、真っ黒な5分間を提供するコメディアンもいた。

ロンドンの老舗のコメディーバーでは、毎月1回、キングコングナイトという、アマチュアコメディアン向けの大会が開催されていた。

コメディアン20人くらいが順番にパフォーマンスし、ランダムに選ばれたお客さん3人が、つまらないと思ったらイエローカードをあげる仕組みで、3人全員がイエローカードをあげたらコメディアンは強制退場になる。もし5分間パフォーマンスできたら決勝に進めるというサバイバルコメディーバトルである。

インド人のコメディアンが登場して、インド英語で挨拶した瞬間、審判に選ばれたお客さん全員が満場一致で即イエローカードをあげるという、レイシストすれすれというか、完全にレイシストな退場劇もあった。(会場は大盛り上がり…)

なんと、僕は奇跡的に5分間パフォーマンスすることができ、決勝バトルに進むことができた。

決勝の舞台では、下ネタを披露したのだが、Fore Play(前戯)という単語のRとLの発音を間違えており、お客さんが僕の英語を理解できず沈黙…という悲劇がおこってしまい、優勝することはできなかった。

そして、帰りの地下鉄の中で、相談に乗ってくれた、知り合いの女性のコメディアンがマンツーマンで、Fore Play(前戯)の発音を教えてくれたのだ。何度も何度も彼女の前でFore Play(前戯)という言葉を、彼女が納得するまで繰り返し、呟き続けるという原始的なトレーニングであった。

周りの人たちは、そんな僕らのことを不思議そうに半笑いで見つめていた。

そりゃそうである。アジア人男子が、イギリス人女子にひたすら「前戯」「前戯」「前戯」と必死に呟き続けているのだ。

一歩間違えたらセクハラである。

そして、練習の甲斐があり、僕のFore Play(前戯)に彼女が、「オーイエス!ザッツライト、ユア Fore Play(前戯)イズ アメージング」
と反応してくれたのだ。

僕は、イギリスの地下鉄で、イギリス人女性を
Fore Play(前戯)でいかせることができたのだ。



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