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コメディーの師匠はイギリス人のジーザスだった。
8年前、脱サラして、世界で通用するスタンダップコメディアンを目指して、
渡英した。イギリスでの約1年間のコメディー留学でまず向かったのは、スコットランドのエジンバラフリンジフェスティバルであった。
エジンバラフリンジフェスティバルとは、毎年8月の1ヶ月間、世界各地からコメディアン、パフォーマー、ミュージシャン、大道芸人が集まり、街のありとあらゆる場所がパフォーマンス会場になるという、街を挙げての大文化祭である。
わかりやすくいうと、、スコットランドの首都エディンバラで毎年8月に3〜4週間にわたって開催される世界最大の芸術祭である。(引用)
このエジンバラフリンジはコメディーの祭典とも言われている。
僕は、「この、夏のエジンバラこそ、コメディアンとしての修行の地にふさわしい場所に違いない」という直感に従い、やってきたのだ。(超無計画)
そして、エジンバラには2種類のコメディアンが存在していた。
自分のソロショウを毎日やるコメディアン。そして空いているスポットを探して、いろんなショウに神出鬼没するビギナーのコメディアンである。
もちろんビギナーのコメディアンである僕は、5分から10分のパフォーマンス枠をくれる、複数人が出演するコメディーショウをオーガナイズするコメディアンを探さなければならなかった。
情報収集は、エジンバラにいるコメディアン達が集まるfacebookのグループである。そこに、タウンワークのごとく、オーガナイザー達が、リアルタイムで、コメディアンの求人を載せるのである。そして、そこにすぐさま申し込みをし、条件があえば、パフォーマンス枠がもらえるという仕組みであった。
ただ、僕のようなビギナーコメディアン達が虎視眈々とスポットを狙っているので、求人枠は瞬時に埋まってしまい、パフォーマンス枠を確保するのは至難の業であった。
そんな中、知り合ったコメディアンの友人が、ジェイというイエスキリストのような風貌をしたナイスガイが、深夜に複数人のコメディアンが出演できるショウをオーガナイズしているので、行って話してみるといいかも。
とアドバイスをくれたのである。
(彼は早寝早起きをモットーに生きる真面目なコメディアンであり、深夜のショウなど豪語道断ということで、僕に貴重な情報をくれたのである。)
そして、その深夜1時に始まる、労働階級のスコットランド人御用達の地下の場末のバーに行き、様子を見るべく、お客さんとして参加したのだ。
そして、友人が言った通りの、イエスキリスト、まさにジーザスの風貌をしたMCが笑いながら、そしてビールジョークを片手に持ちながら、ステージに登場したのである。
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自己紹介で、彼は鉄板ネタを披露した。
「俺は元、大工だった」
会場が笑いの渦に包まれた。
そして、彼は突然、メガネをかけた。
そして続けて言った…
「これでジョンレノンになった、ジーザスよりも偉いぜ!」
会場は再び、熱い笑いの渦に包まれた。
掴みは抜群であったが、出オチという感じが否めず、
その後、彼のジョークは急下降してしまい。お客さんは興醒め。
ジーザスはまるで十字架にかけられているかのようであった。
しかし、全てのコメディアンがパフォーマンスした後の最後の締めで、
ジェイは再び、ジョークのキレを取り戻し、爆笑をかっさらったのである。
まさに、ジーザス!彼は死後、復活を遂げたのだ。
コメディーショウの後、ジェイ(ジーザス)に話かけると、
彼はとても気さくで、優しく、年齢も僕と5つしか変わらないこともあり、さらに彼もまだコメディーを始めて数年ということで、話が弾んだ。
(ジェイは当時33歳。ということは、彼は今年41歳である。光陰矢のごとし)
結果、彼のソロショウのフライヤーを配る手伝いをする代わりに、
彼が趣味でやっている深夜のショウケースの10分の出演枠をもらうことに成功したのだ。
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さらに、彼はジーザスということで、弟子達にコメディーのアドバイスをするのが得意であった。
僕はそんな彼に弟子入れをし、毎晩、深夜のコメディーショウの後に、ネタのフィードバックや新しいジョークへのアドバイスをもらった。
そんなジーザスとの深夜のマンツーマンコメディーレッスンを1ヶ月続けた結果、多くの事を学び、10分間のどこでやってもそれなりに受けるコメディーセットを完成させることができたのである。
そして何より、滑って、お客さんの前で、十字架にかけられた後、
復活する術をジーザスから学んだのだ。
(とにかく気持ちを強く持つこと、ただそれだけだそうだ…)
その後、ロンドンに移動し、コメディー漬けの毎日を送ったが、
ジーザスとの基礎訓練のおかげで、どんな場所でもそれなりに笑いが取れるようになったのである。
心からジェイ(ジーザス)に言いたい。アーメン。
しかし、ジーザスは無神論者であった。
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