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夕暮れのシンガー

春が好きだ。
桜のピンク色が可愛いし、晴れた日の光が暖かいし、新しいことを始めたくなるのが嬉しいし、何よりたくさんの笑顔が見られる気がするからだ。

最近私は元気になった。
私の言う元気の定義は、嫌なことに立ち向かう意欲があることだ。
きっとどんなに明るい人でも、どんなにメンタルの強い人でも、どんなに体力のある人でも、逃げたいことってある。
やりたくないこと、嫌なこと、心配なこと、苦手なこと。
それでもなんとか嫌々立ち向かったり、「頑張るか!」と思えたりすることが、元気なことだ。

一度メンタルブレイクを経験すると、もう元には戻れないとよく聞く。
以前の元気な状態は信じられないし、全く別の自分になったような気がする。
快活で社交的で積極的だったはずの私は、陰鬱で内向的で消極的になった。
いつも不安が付き纏い、支配されて、辛い感情でいっぱいになって、誰と話すのも苦しくなった。

それは考え方の癖のせいだと教えてもらった。
メンタルは突然壊れるわけじゃない。
突然人格が変わるわけじゃない。
苦しかったり、厳しかったりする環境の中で、日々感じること考えることが、少しずつ少しずつ人間をマイナスの方向へ連れて行く。
そうやって気付いた時には、ネガティブな考え方が癖付いてしまって、それが性格さえ占領していく。
一度ついた癖を変えることは難しい。
それにその癖のせいで、変わるかもしれないという希望や変えたいという意思さえ奪われてしまっているのだから、元に戻ることが不可能だと言われるのも納得がいくだろう。

だけどもしもこれを読んでいるあなたが、一生こんなに苦しい思いをして生きていかなくてはならないと絶望しているなら、それは間違っていると断言できる。
いくら信じられなくても、お前には分からないよと言われても、私だけは、絶対に良くなる、絶対に元気になれる、幸せになれるって言い続ける。

根拠はまだない。
もしかしたら今私が元気なのは躁っぽいだけなのかもしれないし、いつまた苦しい思いをするか分からないから。
いつまた元気がなくなって、逃げるしか道がなくなるか分からないから。
だから本当は今だって、元気だと言うのが怖いし不安だ。
元気だって認めたら、元気がなくなるかもしれないと思う。

だけど私は今の元気さを信じている。

もう絶対に戻らない。
もう苦しい思いなんかしない。
苦しくても頑張ることが楽しいと思える私がいい。
私が絶対に証明してみせる。

だから、希望を失わないで。
一緒に信じよう。一緒に幸せになろう。
絶対に諦めないで。


こんなにも陽気な春なのに、SNSではいっぱいの苦しさをたくさん目にする。
外に出れば周りは笑顔で溢れているのに、世界のどこかでは悲しみに暮れている人がそこかしこにいる。

そんな誰かの苦しみが悲しくて、久しぶりに文章を書きました。
どうか生きている全員が、笑顔になれる日が来ますように。

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