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メルヘンハウス online club Vol,1

いよいよ始動します!

メルヘンハウス online club が始まります。
皆さんには、メルヘンハウス 二代目 三輪丈太郎の「文章」と、メルヘンハウス 三輪哲の「肉声」をお楽しみいただけます。
なお、今回が初回となる「三輪哲のBetter Books for Young people!」のタイトルは、「子どものパワー」です。

どうぞ最後までお楽しみください!

メルヘンハウス 二代目 三輪丈太郎の「文章」 
「絵本のプロ」って誰のこと?

よく講演会などでは、僕のことを「絵本のプロ」、「絵本の専門家」、「絵本の先生」と紹介されることがあります。光栄に思いながらも、僕はその肩書は全てに該当するかと言えば、そうではありません。

僕は「書店員」です。しかも、今は「書店のない書店員」です。いつまでもそんな宙ブラリンの肩書を名乗るつもりはないので、一刻も早く実店舗が復活させて、胸を張って「書店員」と名乗りたい。

そもそも「プロ」ってなんだろう?と、最近よく考えます。専門的な知識を得ていることなのか?それを生業にしていることなのか?それとも資格を持っていることなのか?その全てに当てはまらない僕は、少なからず「プロ」ではない。

もっと言うならば絵本に関して、「プロ」も「アマチュア」も存在しない。そんな区別をすることは、無意味である。それよりかは、絵本に対して、「どれだけの情熱を持てるのか?」、「好きであるのか?」、そして「子どもと一緒に楽しめるか?」、そんな想いの方が大切であると思う。

僕の名刺には、資格も役職も何も記載がない。名前と連絡先とメルヘンハウスのロゴだけ。僕はそれだけで十分。シンプルで気に入っている。

絵本を紹介したりするにあたり、「なぜこの絵本は良いのか?素晴らしいのか?」なんてことは、自分の経験と想いでしかない。だから僕の中日新聞での絵本紹介の連載は、ご覧になった方はお分かりだと思いますが、あらすじ紹介をほとんどしていない。

これだけインターネットが普及している中で、わざわざ限られた紙面の文字数にて、あらすじを紹介する必要性を全く感じない。それよりかは社会の日常の中において、その紹介した絵本がどのような立ち位置であるか、僕の思考を記しておいた方が面白いのではないかと、考えて原稿を書いている。絵本の紹介と言うよりかは、コラムに近いのだと思う。

インターネットが今のように当たり前に普及していない状況であれば、あらすじや内容に触れる必要があると思う。それはどこでも得ることができない「情報」だからだ。しかし、今はインターネットで絵本のタイトルを検索すれば、無数の情報が転がっている。あらすじを知りたければ、是非ともインターネットを活用して頂きたい。

まだ連載が始まって2回しか掲載されていないが、僕の書く文章が果たして適切であるのか否か、客観的な意見を聞きたいと思った。そして、僕をよく知る年上の友人にズバリ「僕の文章はどうですか?」と聞いてみた。返答は「よくこの記事を新聞が載せてくれたね!僕はそちらの方が驚いている。」と言っていた。本当にその通りだと思った。公共性の高い「新聞」において、よくもこんなに自由に書かせてもらっていることを、担当の編集者の方に感謝している。

話はやはり脱線したが、本題に戻るとする。

僕の基準で「絵本のプロ」を定義するのであれば、それは子どもたちの身近で一緒を絵本を楽しんでいる、親であり、祖父祖母であり、読み聞かせ活動をしている方々であり、その方々への尊敬の想いは強い。

そのようなことで言えば、僕はもうすぐ5歳の誕生日を迎える、息子と一緒に絵本を楽しんでいるので「プロ」かもしれない。つまりは、

絵本の「プロ」と「アマチュア」の定義はどうでも良い!

そこにこだわりを持つ必要性は全くないので、皆さん気軽に絵本を楽しみましょう!

絵本の「プロ」が「アマチュア」に負けた瞬間

某大学にて何年か前に講義をした時のエピソード。おそらく100人弱の学生が教室にいたと思う。その講義は国語科の講師の先生の依頼で引き受けた。

段々に机と椅子が連なっている教室は、まさに「The 大学の教室」であった。そこに集まった学生たちは、特に絵本に興味があるという学生ではなく、受けなくてはならない必修科目として、集まってきた学生たちであった。

講師の先生からは、「とにかく絵本の楽しさを学生たちに知ってほしい!」という願いから、僕にオファーをしてくれた。僕はそれにどう応えるべきか悩んだが、理屈や理論でなく、出来るだけたくさんの絵本を読んで、学生たちと一緒に楽しもうとした。

講演会2

絵本を読んでは、その絵本に関するエピソードを話し、また絵本を読んでは、、、と何回か繰り返したが、学生たちは一向に乗ってくる気配がない。このままでは無意味なループが延々と続くだけだと感じた僕は、最前列に座っていた男子学生に突然、「この絵本を読んで!」とお願いをした。

その男子学生は「わかりました」と言って、素直に僕のところまでやってきたので、「ハイ!お願いね!」と1冊の絵本を手渡した。

男子学生は照れがあったものの、割と元気よく、その絵本のタイトルを読みあげ、さあ中を開いて読むぞ!という時に、一瞬時間が止まった。そして、男子学生は僕の方を向いてこう言った。

「この絵本、どうやって読むのですか?」

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