演技の難しさ

私は約20年程前は声優を目指していたけれど、いかに思っていたイメージと違ったかすぐにわかった(^^;;  そのため、たった数年で離れている。
舞台のお芝居ですら難しいのに、舞台ならまだ表情や仕草なども使えるけれど、声だけで一つの台詞を色々な感情で表す事は、いかに難しい事か。例えば、「ありがとう」という一言でも、感謝なのか、嫌味なのか、嫉妬なのか、照れ隠しなのか、数えきれない程のシチュエーションがあって、同じ「ありがとう」は一度もないかもしれない。
声色を変えればいいというわけではない。喜んでるから明るく言えばいいんでしょう?怒っているから大きい声で言えばいいんでしょう?と頭で考えてやったところで、ただの段取りになってしまう。それができる人というのは、感受性豊かでお芝居の感性が元々ある人、もしくは役に完全憑依できる特殊体質?を持っている人ではないのかと、素人なりに思っている。そういう選ばれた特別な人が、ずっと努力を絶やさず継続して、その一握りしかなれない職種が声優なのかなと思うのです(・・;)
人の感情は色々あって複雑なので、頭で考えた自分なりの演技をしても、「実際そういう風に言われた時そんな表情する?そんな方向見る?」など言われてしまうと、あ、確かにこんな事しない、不自然だ、これは作った上っ面だけの演技だ!って腑に落ちます。一人芝居ですら難しいのに、相手の言葉、感情もありきとなればより複雑になって、言葉の間とか読めず、1人で勝手に喋る、独りよがりな芝居になってしまう。こうなると勝手に完結させてるだけで、どんな気持ちで相手の言葉を受けとってるのかも見えてこない。

それくらい細かくて複雑だから、ボーッとアニメを見ている視聴者でも、声だけで多くの情報、シチュエーションが伝わってくるのだなと! そして役者というのは、時に好みでない台本、合わない役などもらっても、自分だったらどう演じるかなど考えてできるところが凄い。役になりきる事や、とにかくお芝居が好きなのでしょう、役者を長く続けられている方は。売れている、売れていない関係なく、仮に下手でも、好きだ!という気持ちが本物なら、不器用でも素敵な演技に感じられる事でしょう。 
私は実はお笑い番組を元々あまり見て来なくて、知らずにこの世界に入ってしまった。後から色んなネタを見たり、自分でネタを作ってみて、ライブに出る時が心から楽しくて、ライブ会場は自分が一番生き生きする場所です。力不足で売れていないながら、合っているんだなと思っています。
それと同じで、声優さんは元々アニメを見ていた、見ていなかったはとりあえず置いといて、売れている、売れていないも置いといて、お芝居をする時が一番楽しくて生き生きする!という人が、合っているという事なのでしょう。
声優、20年前はどんなものかな?と足を踏み入れようとしたものの、肝心の演技ができない。でも、声真似だったら少しの演技だけでも、ネタの台詞や台本でかなりカバーする事ができる。私は偶然にもネタを書く事が苦じゃなくて好きだった。本業であるはずの芸人の仕事ですら、自分にはできていない事が多く力不足で、日々反省点ばかり。16年も続けている事でさえ、できていない事だらけ。そう考えると、1つの仕事を自信を持ってできるようになるまでって、とてつもなく長い道のりなのでしょう!
そして昔からアニメのリスペクトが強いが故、もし仮に自分がとてつもない努力を続けて声優になれたとしても、好きなアニメは自分の反省会ではなく、好きは好きのままで、ファンのままでいたい。楽しく好きなアニメを呑気に見たい。そう考えると、一番憧れていた声優を目指し続けようとしなかった事は必然なのかもしれません(^^;;

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?