記事に「#ネタバレ」タグがついています
記事の中で映画、ゲーム、漫画などのネタバレが含まれているかもしれません。気になるかたは注意してお読みください。
見出し画像

~作者のネタバレ感想(「関心領域」)~

*注意*
こちらは映画の完全なネタバレ感想となっています!!!
「まだ観てないよ」「概要だけつかみに来たよ」「虐◯の内容とか苦手」という方は「~作者のひとりごと感想(「関心領域」)~」の方を読むか、映画を鑑賞されるか、ブラウザバックしてください。
また、ネタバレを読むか読まないかは自己責任でお願いします。

こちらのネタバレ感想では一緒に観に行った知人と話していた際に、このシーンの意味を知るために知っといた方がいいかな?こんな見方もできるかな?と作者が思ったことを<メモ>として補足していきたいと思います。
(家族の映画とは言いつつ言わずと知れた「アウシュビッツ収容」の横に住んでいる家族の物語なので……その辺はちゃんと書きたいと思います)
とはいえ作者も知識不足+覚えている時系列がバラバラなので、できる箇所のみとなります。
それでは、よろしく。

(ネタバレ感想)

・重低音と闇が支配する劇場
→基本的に映画館って暗くて、そこから映画が始まって画面の明かりがついて、気分が高揚していくという感じなのですがこの映画は始まってから真っ暗な空間が(作者の体感で)5分くらい続きます。そしてとどろく重低音。映画館の暗闇が怖いと思ったことはなかったんですが、作者ははじめてそこで少し真っ暗という空間に恐怖にも近い不気味さを感じました。
ですが、そんな暗闇も重低音の不安も長くは続かず、やがて重低音は鳥のさえずりに、暗闇はある家族の穏やかな日常へと変わっていきました。

<メモ>
ここのシーンについて鑑賞された皆さんがそれぞれ感想を出されていたのですが、作者もなるほどと感心したのはこの暗闇と重低音がガス室の中を連想するというもの。
ホロコーストを取り扱った映画ではガス室による虐◯シーンもあって、その時〇される人がドアをたたく音やせき込む音なんかと少し重低音がリンクしているような気がして作者は後から鳥肌がたちました。

・穏やかな風景、”ふつう”の家族
→はじまりの不穏な感じから一転して、湖畔でピクニックを楽しむ家族の一場面が映し出されます。
川で遊んだり茂みを歩く子供たちとそれを見守る両親。
そのあとは近くの家に帰り、電気を消して、さぁ、おやすみなさい……と一見すると何の変哲もない一家の日常風景、ふつうの家族の風景ですが、彼らが住んでいるのはアウシュビッツ強制収容所の隣。
子供たちの父親は所長のルドルフ・ヘスだったのです…

・淡々と、淡々とすぎる日常
→翌日、子供たちが父親であるヘスの誕生日を祝ってカヤックのプレゼントをします。そんな子供たちに笑顔を向けて、今度一緒に乗ろうと子供たちと約束するヘス。
とはいえ、仕事があり、すぐ近くの職場=アウシュビッツ収容所に向かわなければならないヘスは、同僚たちと共に家をあとにし、妻であるヘードヴィヒは赤ん坊を抱えて整った庭に生えた花の名前を赤ん坊に教えています。
このほかの日の出来事としては、配給なのかどこかからやって来たのか衣装などの品を分け合ったりして本当に優雅な生活を過ごしています。
壁の向こうで悲鳴や泣き叫ぶ声が聞こえようと、自分たちが使っている衣装や品がユダヤ人から奪ったものだろうと、お構いなしという感じですね。

<メモ>
ここでちょくちょく出てくる「カナダ」という単語があるのですが、カナダ=国の意味ではありません。
というのも上の文章にも書いた通り、アウシュビッツ収容には収容もしくは◯される人達が大勢連れてこられ、その人たちの所持品を生死関わらず奪います。
そして、そういった奪ったものをドイツ国内や作中のようにヘス一家の元へと整理する場所が「カナダ」と呼ばれる場所であり、当時、豊かな国というイメージだったカナダにちなんで、人々はその片付け場所やそこで働く人も「カナダ」と呼んでいたそうです。
ちなみに、ここで働いていたのはユダヤ人の人々で、彼らは一体どんな思いで人々の荷物を選別していたのでしょうか……

・虐◯の加速と壁の向こうで続く家族の生活
→ここで少し日常風景から場面が変わり、ホロコーストを思わせる会話が繰り広げられます。
それは焼却炉についての会話。しかもそれはただ不要になったごみなどを燃やすための焼却炉ではなく、人間の命を灰にするための焼却炉に関する会話でした。
建築設計士と焼却炉による虐◯の効率化について会話するヘス。
そこには家庭で見せていた「良き父」の影はなく、収容所所長としての顔があり、死者の人権を無視したそのシステムの効率性に満足している様子がうかがえます。
その後は自分の誕生日を祝ってくれる同僚と喜びを分かち合ったり、長男と馬に乗って散歩したり、夜は何やら物思いにふけりながら庭で煙草をふかしたり、眠れない娘に物語を読んであげたり、妻と共に寝室で愉快に語り合ったりしています。
良くも悪くも仕事と家庭を別けているのですが、この差が本当に恐ろしい。

<メモ>
ガス室や焼却炉については現在でも様々な憶測があり、何せ証拠隠滅のためナチスの手によって破壊されたものが多く、確実性のある真実は闇の中となっている部分があるのですが、ガス室や焼却炉への知識を深めたい場合(あんまり思わないと思いますが…)は”ゾンダーコマンド”というワードを引いてみることをお勧めします。
本当はこの辺の虐◯の深淵部分を詳しく語るべきなのでしょうが、胸糞どころではないので個人の判断にお任せします。
また、ゾンダーコマンドや関係の映画も今後の内容の中で触れていくのでそちらも気になったら観てくれると個人的には幸いです。もちろん無理にとは言いません(念押し)

・意味深な暗視カメラ、一人の少女
→ヘスが眠れない娘に対して本を読んでいるシーンで暗視カメラの映像がいきなり現れます。
土の中に果物のようなものを埋めていく少女。ヘンゼルとグレーテルが家に帰るために石を置いて、家に帰ることができたエピソードを彷彿とさせるシーンになっていますが、作者も最初。このシーンの意味があまりよくわからず、ナチスの非人道的な政策に対して勇気をもって正しい行動している民間の人の存在(実際に勇気ある行動でユダヤ人を守った人も多かったそうです)などを表したいシーンなのかなと思ったのですが、詳しくは<メモ>で……

<メモ>
作者もパンフレットを購入して初めて知ったのですが、この少女は実際にいた少女らしく、こっそりアウシュビッツ収容所に収容されている人々が強制労働させられる作業場に食糧を隠していたそうで、その時見つけた楽譜などは当時収容されていた有名な作曲家さんのものだったそうです。(しかも監督さんは実際の少女にもお会いしたそうですし、映画の少女が着ている服や使っている自転車はご本人のものだそうです!すごいね)
レジスタンス運動の一環でこういった行動をしている人も多かったそうですが、もちろんこんな時代に正しいことであっても見つかればただで済むはずがなく、見つかって収容所に収容された人も数多くいたそうです…

・川での出来事、不可解な緊迫シーン
→ある日、子供たちと共に自身の誕生日にプレゼントされたボートに乗って出かけたヘス。
ヘスは川に入って魚釣りを、子供たちは水遊びを楽しんでいるのですがヘスが川から”何か”をすくい上げた瞬間、表情が一変して子供たちに「川から今すぐ出ろ!」と急き立てます。
実はこのシーン、すごい恐ろしいことをサラッと描いたシーンなんですが背景知識がないと気づけないので<メモ>でこれについても語りますが、その出来事を示唆するように午後からの天候は大荒れになり、楽しかったお出かけから一遍。ヘスや子供たちはまるで取りつかれた何かを払うように入浴を強いられます。一体どういうことなのか…

<メモ>
このシーンの意味についてですが作者の予備知識でカバーするとヘスが拾ったものはおそらく”焼却炉で灰にしきれなかったユダヤ人の人の遺骨”で、そういった遺骨や遺灰が川に流されたことに感づいたため、「川から今すぐ出ろ!」と子供たちに急かしたんだと思いますし、よく見るとわりとしっかり川の色も灰色に染まっているのでそのことがわかります。
また、『サウルの息子』という映画を観ていればこのシーンについても理解が深まるのですが、簡単に説明するとナチスはガス室で◯したユダヤ人の人々の◯体をゾンダーコマンド(この人たちもユダヤ人でした)と言われる人々に処理を任せ、そこでできた遺骨や遺灰を近くの川に流したり土地に埋めたりしていたそうです。
とはいえ『サウルの息子』は、結構内容キツめなので無理に観てとは言いませんが勉強になるので良ければ是非(念押し二回目)

・一枚壁の向こうの悲劇ももはや他人事
→一枚壁を挟んだ向こう側で歴史的な悲劇が起こっていることを全く知らない様子でヘス一家の日々は穏やかに過ぎていきます。
ちょど物語の中盤くらいだったと思いますが、ここで新たな人物がヘス一家に加わります。それは、ヘスの妻であるヘードヴィヒの母親のことで、彼女は収容所の横の豊かな暮らしに感心し、自分の娘が幸せそうに暮らす様子に喜びの表情を浮かべます。
とはいえ、収容所のほぼ真横なので絶えず収容者を叱責するような看守の声であったり、急き立てるような犬の鳴き声であったり、銃声なんかは聞こえているのですがお構いなしです。
自分たちの生活を守るためならば、他人の悲劇になど目もくれない。合理的と言えばそれまでですが、今の平和な私たちからすると若干理解しがたいところがありますよね…

・ヘスの転属、家族のそれぞれ
→ヘードヴィヒの母が来たと同時期だったと思いますが、ここでヘスの転属が決まります。アウシュビッツ収容所の運営を高く評価されたゆえという内容でしたが、何やら思うところがあるらしいヘスは家族になかなかそのことを言い出せず。子供たちが楽し気に遊んでいる時に、ぼそりとヘードヴィヒに転属のことを伝えます。
転属のことを知らされ、怒りをあらわにするヘードヴィヒ。
ヘードヴィヒから逃げるようにどこかへ向かうヘス。
この辺のやり取りは本当に普通の家族の一場面に見え、油断しそうになるのですがヘスを追いかけるヘードヴィヒの後ろにあるアウシュヴィッツの建物や家での使用人へのヘードヴィヒの態度、転属先であるオラニエンブルクに一緒に来て欲しいと控えめに言うヘスに対して、「ここでの生活は素晴らしい、望むものが何でもある」「ここから離れることなんて考えられない」という一連の流れを見て、人間の一番汚いところと言いますか……他のことには気にも留めず、自身を最優先する様子がうかがえて結構げんなりします。
ある意味ではヘスより、ヘードヴィヒの方が”人間の汚い部分”をよく表しているように作者的には思えて、誰の中にでもある”凡庸な悪”というのが最も恐ろしいことに気が付かされたような気がしました。
とはいえ、その後ヘスに「戦争が終わったら農業をしましょう」というヘードヴィヒですが、なんか……ねぇ……

・少し引っかかるヘス家の女性たちの存在
→ヘスの転属が決まり、家族にそのことを話した後くらいだったと思うのですが上層部と連絡を取り合うヘスの元に一人の女性が訪れるシーンがあります。「どこが引っかかるの?」と作者の言葉に逆に引っかかる方もいると思うのですが、問題はこの後にヘスがとっている行動なんですよね。
”川に入った時と同様におもむろに体を洗うヘス”
これが一番引っかかったシーンでその他にもヘスの家で使用人として働いている女性たちも結構違和感があるんですが、そう言ったことも含めて<メモ>に書きますね。
ただ、ここで簡潔に言えることがあるとすれば人間のあべこべな部分がある意味でよく描かれているなと思いました。

<メモ>
これも作者の考察交じりの話になってしまいますが、この女性はおそらくナチスから性的な行為を強制されていた女性たちのことを表しているのではないか?と感じました。
また、使用人の女性たちについても真実はあまりわかりませんが『ソフィーの選択』という映画を踏まえたうえで見るとこの女性たちもユダヤ系もしくはその辺の人で、何らかの束縛を受けている女性ではないかと思いました。(この点に関しては、友人に言われて作者もハッとしました)
実は収容所内にもそういった施設が存在していたそうですが、これは少しシステムについての説明が難しいので今回は割愛しますし、収容所内で行われていた強制というのは何もこういった性的なことに限らず、人体実験や看守による理不尽な暴力など同じ人間として嫌悪感をあらわにせざるを得ないようなものがたくさんあります。
本当に恐ろしいのは人間ということがよくわかりますよね…

・暗視カメラの少女再び、儚くも力強いピアノの旋律
→再び暗視カメラの少女の映像が映るのですが、この辺のシーンには何とも言えない緊張感が常にあります。というのも、少女は命がけで収容されている人たちのために食べ物を隠しているのですから見つかればとんでもないことになるのは明らかですよね。
そんな彼女。食べ物を隠している時にふと、あるものを見つけます。
最初観たとき、作者は髪の毛か何かを入れた小箱かと思ってたんですが、少女が森で見回りの兵士の目を潜り抜け、家に帰り、次の日の朝のカットであるものの正体は分かります。
一回目の暗視カメラの<メモ>でも少し触れましたが、あるものの正体は「sundeam」という楽譜で、当時収容されていた有名な作曲家ヨセフ・ウルフさんが綴ったものだそうです。
ここで初めて暗視カメラでない少女の映像が映るのですが、映るのはピアノを弾く手元や後ろ姿だけで、その表情は見えません。おそらく、皆さんのご想像にお任せしますという意味なのでしょうが、このピアノの旋律が響き、その音と共に歌詞が流れてゆくシーンは何とも言えない気持ちになります。
ここは作者的にはすごくしみたシーンなので音の感じとか歌詞とか、是非映画館で観て欲しいです…

・翌朝のヘードヴィヒの母の失踪
ヘスが転属した後、ヘードヴィヒの母も家に置手紙を残して去ってしまうのですが、これは隣の収容者たちへの良心の呵責が働いたというより、豊かな暮らしよりも横から聞こえてくる音に嫌悪感を持ち、”臭いものにはふたをしろ”感覚で元居た場所に帰ったという方が正しいと作者的には思いましたが…その点は少し微妙です。
というのも、先の庭で子供たちが遊んでいるシーンでヘードヴィヒの母がせき込んでいるシーンがあり、一回目はさほど気にならなかったんですが人を燃やして灰にしているわけですから普通の人からすると空気は悪いし、この後の夜のシーンで暗闇に赤黒く光る焼却炉の煙突を恐怖やいろいろな感情が混じった目で眺めるヘードヴィヒの母のシーンがあるので心の正常性が保てないと思ったが故の行動なのでしょうね。
そしてさらに悪いことにその置き手紙を見たヘードヴィヒは使用人の少女に対して「嫌がらせのつもり?」「夫が帰ってきたらあなたを灰にしてばらまくから」的なパワハラ発言をします。(ヘスが転属の話をした時も他の使用人の女性に「この◯ソ女」的なこと言ってたんですけどね)
とはいえ、ほんとに自分勝手ですよね…あなたたち。

・子供の心に育つ闇
→ここで大きな事件と言っていいのかわかりませんが、収容者のために少女が隠していた食糧が見つかり、収容所で争いがあり、それによって処罰(おそらく銃◯)される音が聞こえてきます。
そして、それを窓からちらりと見たのは一番年下の男の子。
一体何を言うんだろう?と思いながら見ていると「二度とするなよ!」とまるで看守のように冷たく吐き捨てるだけで、正直言ってびっくりしました。
子供たちの心の闇についてはこの映画の中でパラパラと登場します。
というのも、最初の方では夜になっても眠れない女の子。ユダヤ人の歯を珍しい拾い物のように眺める男の子。弟を庭の植物室に閉じ込めて意地悪く笑う男の子(歯の子と一緒だったかな?)。
子供たちは一見すると裕福な暮らしの中で健やかに育っているように見えますが、実際は様々な闇を抱えていて、とはいえ、ある程度のことには盲目に、無関心にならないと生きていけず、彼らもある意味ではこの時代の犠牲者なのかもしれませんね…

<メモ>
ヘスの子供たち関連で少しご紹介したい映画があるのですが、2024年に制作された『The Commandant's Shadow』というドキュメンタリー映画で、87歳のヘスの息子(ハンス・ユルゲン・ヘス)が父としてではなくアウシュビッツ収容所の所長としてのルドルフ・ヘスと向き合い、元収容者のユダヤ人の方と対面するシーンが入った映画となっています。
作者も情報は入手して観ようと奮闘しているのですが、まだ観れていません……
せっかくの機会だし、映画館でやってくれないかなぁ

・転属先でのヘスの生活、淡白な日々
→一人でオラニエンブルクの地へと旅立ったヘス。
家族と離れ、少し意気消沈としている様子がうかがえ、通勤途中で他人の飼い犬とじゃれ合ったりするヘスなのですがこの辺は本当に”転勤先のお父さん”という感じでまた錯覚を起こしそうになります。
しかし、この後行われるハンガリーからのユダヤ人の移送に関する会議のシーンで輸送される人々を”荷物”と呼び、淡々と会議を進める様子に鳥肌が立ちます。
この辺も、知識があればプーヘンヴァルトやトレブリンカ、マイダネクといった単語がナチスが各地に建設した収容所の名前であり、その会議に集まっているのがその所長たち(ある意味、虐◯の戦犯)であることがわかります。
また、ここで少し気になったのはヘスのいる施設内で流れる空襲による犠牲者のアナウンス。終戦が近いのかなと思ったのですが、年代の説明がないから少しわからないです…ごめんなさい……

・愛しのわが家へ
→映画の終盤。転属先での淡白な日々が突然終わりをつげ、ヘスにとっては嬉しい知らせが舞い込みます。
というのも、ヘスの代わりに所長となった人物が力不足であると判定され、ヘスは再びアウシュヴィッツに帰れることになったのです。
病院での検査を受けたのち、家族に喜び勇んで帰れることを話す、ヘス。
本来ならよかったねで済む話ですが、彼はアウシュヴィッツ収容所の所長ですからそうはいきません。ダメ、絶対。
その後、クリスマス?に合わせたパーティが施設で行われ、出席するヘスですがどこか上の空で心ここにあらずという状態でした。
そしてその後、自室でヘードヴィヒに対して電話をかけるヘスですがその内容がぎょっとする内容で「パーティ会場にいる人間をガス◯するための方法を考えてた」というもので、これから彼が行っていく虐◯がヘス作戦として認められたとやや嬉しそうに語っていますし、ヘードヴィヒはそんなえっ⁉となる内容を聞かされても「はい、はい」みたいな感じで真剣に受け止めている様子は微塵もありません。
やっぱり、人間が一番恐ろしいですね……

・より深い闇へ、未来への予感
→ここまででアウシュヴィッツに帰り、家族に会えることを喜んでいたヘスですが施設を後にする際に階段で数回嘔吐するシーンがあります。
そして、その合間に映るのは“今のアウシュヴィッツ収容所”
ガス室、大量の靴や義足、収容者の写真が並ぶ廊下。これからヘスが行う虐◯の結果=未来がヘスに迫ります。
しかし、ヘスはその未来を無視するように階段を下り、暗闇の中へと姿を消します。ヘスがこれから終戦までやむことのなかった虐◯という名のさらに深い闇に足を踏み入れていくような、彼自身の暗い未来を暗示するようなこのシーンで彼らの物語は終わりを告げました。

<メモ>
この後のヘスの人生について少し言うと、彼は戦後。自分が行ってきた虐◯の罪を償わされ、裁判の結果。因縁の土地であるアウシュビッツで絞◯刑に処されます。
(ちなみにヘスの絞◯台はアウシュヴィッツに今でも残されていると思います)
正に因果応報ですね……

・差し迫る”音”のエンディング
→彼らの物語が幕を閉じ、エンディングへと移っていきますがここの音もすごかった。
差し迫ってくるような、人々の声のような音。オーケストラの会場に実際に行った経験は作者にありませんが、ある意味ではそういったものと同等ぐらいの臨場感はあったと思います。
また、さっきも言いましたがこの差し迫る音の感じが「目をそらしてはいけない」と訴えかけるものがあると思いました。
映像、音、細々とした会話で私たちの五感に語り掛けてくる映画。
本当に素晴らしかったです。

と、<メモ>も含めて8000字以上もの長文になってしまったのですが、大事なことだと思うのでご了承ください。
また、「関心領域」には原作小説もあるので”「関心領域 The zone of interest」マーティンエイミス(著)北田絵里子(翻訳)”で検索をかけて、可能ならお近くの書店などで確認してみてください……(とはいえ3000円くらいとちょっとお高め)
作者はすでに購入して読み始めていますが、感想は後程……

それでは今回の記事はこれにて終了!
それでは皆さん、さようなら👋


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?