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【エッセイ】所長候補。

こんばんは。

ブライダル業界で出会った人の話も終盤にきております。思い返せば、もっといると思うのですが(笑)

この方は、在籍期間がとにかく短い方でした。




私がブライダル業界に入って3年半くらい経った時、社長から所長にならないかという話がきました。

それは、その営業所で1番古株だったからという理由だけだったと思います。実際、後輩の方が、給料は高かったですから。(最終学歴による為。)

それが、本当に馬鹿らしくなってしまって、何でアルバイトから入って、1番長く居て、営業所を盛り立てようと頑張っていたのに、1番給与が安いんだと・・・。

ずっと辞めようと思っていたのですが、仕事自体はとてもやりがいがあるので正直、どうしようかと悩んだこともありましたが、自分が定年までこの会社にいるというビジョンが見えなかったので、その年の秋に退職することにしました。

それに合わせて、所長候補を入れなければいけなくなり、やってきたのがイシバシ(仮名)さんでした。(過去の投稿とイニシャルがダブルので、この方は仮名でいきます。)

このイシバシさん、当時40代後半で、お子さんが2人いる方でした。俳優の松尾諭さんみたいなビジュアルで、明るい方でした。

入社してすぐ、出張所にも挨拶に連れていくことになり、当時の所長(他の営業所から出向していたY氏)と私で、出張所へ行く道中、私は1人前方を歩いていたのですが、Y氏とイシバシさんは、少し後ろを雑談しながら歩いていました。

後ろから声を掛けられて、立ち止まると。

Y氏「佃さん、イシバシさんが若い頃、浮気した相手が佃さんと同じ苗字だったんだって!」

と言われたんです。いや、浮気したってこと自体でも、それどうなのって思うのに、その相手の苗字が私と一緒って話、何の自慢ですか?と思ったんです。

イシバシさん「それで、その子のシャチハタを今でも持っていて、これよかったら佃さん、使わない?」

と使い古しの浮気相手の佃っていうシャチハタを私に差し出してきたんです。

まず、それを持っていることも意味不明だし、私に渡そうと思って持ってきたのも、気持ちが悪い。

佃「いや、いいです。要らないです。」

それを聞いて、笑いながら、また浮気話で盛り上がる2人。いい歳して、何を話しているんだろう?しかも、まだ入社して数日なのに、そんな話で交流を深めようとする神経が分からない。

そこから数日経過したでしょうか、イシバシさんは、営業所にいるメンバーと個々で飲みに行きたいと言ってきました。

そこで、まずは古株である私と行きたいという話になり、嫌な感じしかしませんでしたが、まぁ仕事の話だから仕方がないかと、さしで飲みに行きました。

指定されたのは、小さめの大衆居酒屋で、予約していなかったようでカウンターに並ぶ形で座りました。

ビックリしたのが、距離が近いこと。膝と膝があたるのではないかという距離。

恐怖でしかないよね、浮気してた人っていうのも知っているので、もしかしたら同じ苗字だから狙われているのかもしれないとも思いました。

仕事の話とか、プライベートの話とか、私が退職する話なんかもしました。多分、これがいけなかったんでしょうね。

イシバシさん、他のメンバーと飲みに行くこともなく、何と私が辞める前に退職すると申し出てきたんです。

どうやら、私が居なくなったら、この営業所、終わりだなぁと感じたらしいです。

40代後半で、高校生と中学生の子供がいるのに、そんな簡単に転職するんだなぁーとただ呆れました。仮にも所長候補ですよ、人選してこの人って会社も決めたはずです。給与も、かなり高かったと思います。

どこに転職するんですか?と聞いたら、自分の地元に帰って、同級生の農業を手伝うと話していました。だったら、うちの会社経由しないで、そのまま農業をすればよかったのにと思いました。

私が退職する時、皆さんがフォトブックを作ってくれたのですが、イシバシさんわざわざ便箋に手紙を書いてくれたんです。たった1か月半しかのに、よく私に書くことあったなぁと。

その手紙は、今も私の引っ越しの荷物のどこかに埋もれているはずです。いや、もしかしたら捨ててしまったかもしれません・・・。

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