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【エッセイ】勝手に想ってた人の話。

こんばんは。

私の学生時代の話。

高校3年の時に、はじめて彼氏が出来ました。その彼氏は、メンヘラで別れるというと手首を切ってしまいような男の子でした。

その彼氏と別れられない時期が続いていました。私は、ある理由で教室で授業を受けることが出来ず、主に保健室に滞在していました。

それでも仲良くしている人たちがいました。男子3人女子2人で、よく遊んでいました。

高校を卒業しても、その彼氏とは別れられない状態が続いていました。

肉体的暴力を振るうので、別れたいと言うと死ぬと言うし、病んで心療内科に通い始めていました。

その心療内科に付き添った時、彼氏の親から言われたんです。

「高校生らしい付き合い方をしなさい。」

と。

いや、してますよ、高校生らしい付き合い方。私は年上だったので、彼氏はまだ高校生だったので、お金をかけないデートをしたり、私が毎回車を出してドライブに行ったりしていました。

その彼氏のお母さんは、息子のことに無関心というか、汚いものみたいな扱いをする母親で、お父さんからはよく暴力を振るわれていたそうです。その暴力が私に向いていることも知らないくせにと…。

彼氏にとっては、私が最後の砦みたいな部分があったのかもしれません。精神を支える為の。

ある日、よく遊んでいた男子の1人から手紙が届きました。

白い縦長の封筒で、中には何枚もびっしりと文字が書かれた便箋が入っていました。

読むと、高校時代ずっとみんなで遊んでいたけれど、ずっと佃さんが好きだったという内容。そして、今でも彼氏と仲良くやってるんでしょうね、どうぞお幸せにみたいなものでした。

読み進めていくにつれて、文字は荒くなり、フォントもどんどん大きくなっていました。

直筆のラブレターと言えば聞こえはいいですが、付き合っている人がいる相手に、卒業してまでわざわざ郵送する内容ではないと思いました。

高校時代から、その人が私に好意があることくらい、知っていました。だって、私たち2人で帰るところにわざわざ入ってくるくらいですから。

彼氏からしたら、先輩だから嫌だとは言えませんし、仕方なく一緒に帰ったりしていました。

私とその人は同じクラスでしたが、1度もそういう感情でみたことはありません。

私より頭は悪いし、見た目もおじさんみたいだし、私服はゴルフシャツにセカンドバック。高校生なのに、タバコを吸ってるし、とても同じ歳とは思えませんでした。

その手紙を貰って、気持ち悪いと思いましたが、彼氏に話したら、また何をするか分からないので、卒業アルバムに書かれてある電話番号に電話しました。

多分、今の時代ならあり得ないでしょうが、当時は住所や電話番号はアルバムの最後の方に全員分掲載されていました。

電話をすると、本人ではなく、親御さんが出られました。本人は不在という事だったので、迷惑をしている旨を伝え、金輪際連絡してこないでくださいとお願いしました。

それから、連絡がくることはありませんでした。
今、どこで何をしているかは知りません。なんせ、学生時代の知り合いとは絶縁したので。

その人は、どうしても想いを伝えたかったんでしょうね。その手紙は、何度も書き直したのでしょうか?読み返したのでしょうか?

客観的に、気持ち悪いことをしているとは思わなかったんでしょうね。

時に人を想う気持ちは、周りからしたら理解し難いものがあります。自分だけが見ている世界が全てではないし、周りの評価も大事だったりします。

でも、好きである気持ちにきっと曇りはないんだろうと思います。好きを咀嚼して説明するのは、簡単なことではないからです。

けれど、嫌なことをされた側からすれば、トラウマでしかありません。どうか、自分の気持ちを正直に晒す前に、一旦引いてみて考えて欲しいものです。

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