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メンタルキス

高架橋の下

太陽が寝た頃

夜がおはようと月を起こす頃

どこかのカレーの香りが

食欲をそそる頃

郷愁のただよい

淡い夏色に

ほてった青い空。

カルピスをぐいって飲んでみたら

初めて見えた雲の先にある煌めき。

『キボウ。』

彗星はいまだ来ずとも、

流れる涙。


本当は

気づいてもらいたい

『ナミダ』

トンネルの向こうに広がっていた

シロツメクサの草原。

ホームランバーを片手に、

少年も大谷翔平になる。


もう、そこには

世界を代表する。


小さな大谷がいた。


「シロツメクサは、クローバーの花なんだよ」


「ほら、こうやって。」


少女は素振りをする少年を

指揮者のように止めて、

頭にシロツメクサで作った冠をかぶせる。


「ね、似合うでしょ。」

「見えないから分からないよ」

少年は言う。


少年は言う。


少女は何も言わず、見つめる。


見つめる。

見つめる。

そこで、生じる

メンタルキス。


それは永遠の、

メンタルキス。

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