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人の成長について

引き続き、私はIT系の会社で、アポインターとして働いている。少しずつ開発の会議に出たり、マニュアル作りを任されたり、上司と夜まで遊んだり、楽しく仕事ができている。

そんな中で、今年の5月、同い年の新人が入社した。しかし、結果として、彼は退職することになった。

私は、彼の直接の教育係だったため彼が退職せざるを得なかった理由を今でも考えている。

入社当初の彼の印象はよかった。石橋を叩いて渡るタイプ?で、一つ一つ質問し、丁寧に仕事をしていた。

しかし、翳りが見えたのは、彼に資料送付の準備を頼んだ時だった。私が作った簡易的なマニュアルはあったのだが、彼は、終業間際にその仕事をし始めるのだけれど、彼は定時に帰りたいので、印刷する送付状の枚数やデータ入力、些細ではあるけれど、手続きの中で、ミスが頻発していた。

加えて、人の話を最後まで聞けない。「でも、、」と話を遮ってしまう。人からの指摘を受け止められない。反論、言い訳をしてしまう。それに対して、私は「私には反論してもいいけど、他の人にはしない方がいい。まず、人に言われたことをやってみるといい。」という言い方をしていた。今、思えば、彼のためにも、もっと非情になる必要があったのかもしれない。

気分にムラがある。本人も、なぜか木曜日は調子が悪いと言っていた。一目で分かるほど、元気がなかった。

思考力もない。何度か指摘したが「〇〇はどうすればいいですか。」というオープンな質問をしてしまう。「〇〇はどういう意味?」「〇〇についてどう思う?」等、質問したことに対して、言い換えや、結論→理由→例→結論のような話の組み立てをするのではなく、単にオウム返しをしてしまう。

上記のような特徴があり、最初は調子良かったものの、上司からも放置されるようになり、結果も出なくなっていった。

過去に、うつ(おそらく一時的な鬱状態)と診断され、正社員として働いていた飲食を辞めた経歴もあった。

家族関係は、聞いた話によると、それほど暖かくはなく、両親共働き、実家暮らしで、お金を毎月幾らか家に入れねばならなかった。転職することも両親に打ち明けられずにいた。

彼の知能指数(IQ)は92だった。

92という数値は、平均値より下の値で、数字にしてしまえば、ある種分かりやすいカタチで私たちは認識できるが、その背景は、実に多層的で複雑なものであると私は思い知らされた。

私が彼に何ができたのか、何が原因だったのか、考えを巡らす。もっとキツく叱っておけばよかったのか。いや、キツく叱ってもやる気は上がらなかったかもしれない。でも、彼の長い人生を考えた時、そんな体験をする必要もあったのではないか。そもそも、採用した人事に問題があったのではないか。弊社を選んでしまった彼が悪いのではないか。今までの人生での積み残し、成功体験を得られなかったこと、仕事に対する態度、家庭環境など、色々考えられる要因はあるけれども、その時、私や彼自身にできることを全て捧げたが、結果、彼は退職することになった。

上司に彼のIQが92であることを伝えると、IQが低くても、社長である人もいると一蹴された。以前、私は障がい者の方の介護をしており、環境を調整するという視点、悪く言うと、自他の区別がない感情的な考えを持っているのだけれど、ビジネスの世界は、常に生きるか死ぬかなので、自分で何とかするつもりで生きていかねばらならないと考えさせられた。

人の成長について、自分ができること、できないこと、抱えられること、抱えられないこと、簡単に考えたりせずに、その都度、周りの人と考えながら、できること、抱えられることを増やしていかねばならない。

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