再校ゲラはフィードバックの宝庫

再校ゲラが返ってきた

いま、ある翻訳書の校閲をしている。今回は再校だ。この出版社では、初校と再校が両方同じ人に回ってくることが多い。
 プロセスは以下の通り。

1. 初校ゲラを校正・校閲者に送る
2. 校正者から返ってきた初校ゲラを編集者→著者(翻訳者)に回す 
3. 組版に回して再校を出力する
4. 再校ゲラを校正者に送る

 この1と4が基本的に同じ校正者なのである。
 自分が初校でエンピツと朱を入れたゲラが再校で回ってくるのはありがたい。編集者と翻訳者のコメントで、それをどう判断したかがわかるからである。
 さらに、自分が見落としていた箇所もここで如実に示される。
 今回、いくつか見落としがあって青くなった。何を落としたかは自分メモに書き、二度と同じミスはしないと心に刻んだ。

自分が落とした箇所

 ひとつは、登場人物紹介。原著にはなかったので「翻訳チェック」をしなかったページだ。つまり、作業プロセスがひとつ少なかったので自分でも気が緩んでいた箇所だろう。当然、内容と整合していなければならないのだが、そうなっていない人物がいた。
 もうひとつは、glassesの誤訳だった。glass「ガラス」にesがついた複数形にでは、当然「メガネ」とか「グラス」の意味になる。これを見落としていた。
 幸い、どちらも編集者と翻訳者の方が気づいて直してくれていた。ほっと胸をなでおろしたが、ほんらいわたしが朱を入れなければならない箇所だ。次は必ず拾わなくてはならない。

フィードバックが何よりの勉強

 フリーランスがフィードバックをもらえることはふつうはない。OKなら次の発注が来るし、NGならもう声はかからない。それだけだ。
 だが、ここのように初校と再校を同じ校正者に出すシステムになっていれば、初校で自分が朱を入れたゲラに編集者と翻訳者のコメントが入って返ってくる。これがそのまま自分へのフィードバックになるのだ。
 見落とした箇所だけではなく、どこをどう判断されたかがすべてわかる。不要な指摘をした箇所や、指摘そのものは妥当でも書き方がよくなかったという箇所も如実に示される。これが何よりの勉強になる。
 フリーランスの身でフィードバックがあるのはとてもありがたい。ほんとうに感謝しています、某社の方々。

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