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新メンバーが加入した「あにまーれ」は心理学的にも最高のバランスかもしれない

ヘッダーイラスト: nayutasさん

VTuberグループ「有閑喫茶あにまーれ」は、2018年6月にデビューし、当初は5人のグループでしたが、引退者が出て3名になっていました。そしてこの2月、発足から1年8カ月ぶりにして、新メンバーが追加されました。風見くく柚原いづみです。(敬称略で失礼します)

あにまーれ新人

長いあいだメンバーを増やしたことが無かったグループに、新メンバー加入というのは珍しいケースではないでしょうか。難しさもあると思い、どうなるのか注目していましたが、すごくしっくりきたなと私は感じました。その理由について考えてみます。

ソーシャルスタイル理論

人間関係について心理学的に分析するため、性格を要素に分解する手法はいろいろあり、その一つが「ソーシャルスタイル理論」です。企業でも使われていて比較的メジャーだと思いますが(特にリクルート系の人が好む)、性格を「意見主張の大小」「感情表現の大小」で分けて、以下の図のようにマップします。

ソーシャルスタイル

まずはどういうものが説明しつつ、あにまーれの発足時のメンバーを私の独断と偏見でマップしてみます。なお、以下のサイトでタイプの診断ができます。

因幡はねる

因幡はねるは、意見はきっちり主張するタイプです。配信ではテンションを上げて感情を出すこともありますが、コラボのMCなどでは冷静にさばいているので、そちらが地でしょう。ゆえに上の分類にあてはめると、「意見を主張」「感情を抑える」なので「ドライバー」タイプになります。

ドライバーは、無駄なことが嫌いで、自分で決めたいタイプなのでリーダーに向いています。前に進むために行動し、行動原理は「勝つかどうか」です。

宗谷いちか・日ノ隈らん

宗谷いちかと日ノ隈らんは、どちらも意見は主張し、かつ感情表現が豊かな「エクスプレシッブ」タイプでしょう。宗谷いちかは普段はそうでもありませんが、あにまーれ内で本音をぶつけあった「NGなしのあにまーれ」では心情を熱く語っていたので、どちらかといえば主張したいタイプだと思えます。

エクスプレシッブはムードメーカーで、感覚とノリで行動し、行動原理は「楽しいかどうか」です。

宇森ひなこ(引退)

宇森ひなこは、感情表現が豊かで、意見主張は控えめなタイプなので「エミアブル」です。

エミアブルは温和で献身的で、自分の意見はあるけれど強くは主張しません。行動原理は「合意を得られるかどうか」です。

稲荷くろむ(引退)

稲荷くろむは感情表現が抑えめで、意見主張も控えめと思えるので、「アナリティカル」です。

アナリティカルは物事を客観的・分析的に見ています。行動原理は「(自分ルール的に)正しいかどうか」です

以上から、メンバーを実際にマップするとこのようになって、発足当初はとてもバランスが良かったことがわかります。

あにまーれソーシャル1

リスナー側から見て、メンバーが抜けるのはそれ自体寂しいことですが、元々のバランスの良さが印象に残っているので、何か欠けてしまったという感覚でさらに寂しかった気がします。

風見くくの場合

新メンバーの一人、風見くくについて考えてみます。初配信ではおどおどした様子で、無口系なのかなと思いましたが、声真似や歌を披露すると雰囲気ががらっと変わりました。面白いし、歌はただ歌うだけでなく、あにまーれメンバー全員の声真似をしながら歌も上手いという完成度の高さ。「ただものでは無い」と皆が驚かされた初配信でした。

初のあにまーれ全員コラボ「新人歓迎会」では、ニックネームとして「くくちゃん」を希望したのに対して、因幡はねるから「お前は今日から風見んごだ」と変な呼び名を押し付けられ、無茶振りもいろいろされていましたが、おどおどしつつも切れ味のあるリアクションをしていました。低めの少年っぽい声もあいまって、キャラが立っています。

さらに、因幡はねると二人によるバイオハザード6のゲーム実況配信では、後輩キャラ的に立ち回りつつ、セリフを声優顔負けに読んだりで芸達者ぶりも発揮し、終始楽しかったですね。

彼女(性別は非公開だそう)のタイプは、意見主張は控えめ、感情表現も控えめな「アナリティカル」だと思えます。いざとなればテンション高く芸をすることもできますが、基本は落ち着いた性格でしょう。初配信は構成を作り込んでいたし、いろいろ考えるタイプに見えました。

アナリティカルはドライバーと相性が良いとされています。テンションが近くて、主張がぶつからないからでしょう。だから因幡はねると良いコンビになれそうで、バイオハザードを見てもそれは伝わってきました。

柚原いづみの場合

新人VTuberの初配信と言えば、自己紹介をして、さらに推しマークやタグを決めるといったことがお約束ですが、柚原いづみは軽く自己紹介映像を流して、残りの時間はひたすら「18禁カレー」なる激辛カレーを完食する配信をしていました

リアクションや言葉選びがとても良いし、そこはかとなく色気もあり、激辛食レポとして楽しめましたが、終わってから「初配信なのに何も分からなかったんだが!」と誰もが突っ込みました。「これがあにまーれの新人か、あにまーれやっぱすげぇな」と、あにまーれの名を轟かせていました。

あにまーれ全員コラボの「新人歓迎会」では、因幡はねるなどに「団地妻っぽい」といじられながら要所でいいリアクションを返し、快活な笑い声で場を盛り上げていました。

タイプで言うと、意見主張は控えめで、感情は前に出す「エミアブル」に見えます。献身的なタイプなので、あの体を張った初配信は「あにまーれの新人として何が期待されているか」を考えてああなったのだろうと思いました。因幡はねるから「団地妻」というキャラ付けをされると、それを嫌がるでもなく、自分からどんどんネタにしていました。協調性と対応力の高さを感じます。

新生あにまーれ

というわけで、新メンバーを加えた現在のあにまーれメンバーをマップすると、こうなります。とても良いバランスではないでしょうか。

あにまーれソーシャル2

長い付き合いのメンバーに新メンバーが二人、ポンと入った状況であっても、「なんかしっくりする」と感じたのはこのバランスのせいもあるのだろうと分析しています。

新人二人は、デビュー数日でチャンネル登録者数が1万人を超えるという好スタートを切りました。これは本人たちの実力もありますが、既存メンバーやそのお友達がデビューを盛り上げてくれたことも大きいでしょう。

デビューの日の二人のリレー配信のあと、神楽めあ犬山たまきがあにまーれの新人と自称し、二人に続けて勝手にリレー配信をやって、それがめちゃくちゃ面白かったんですよね。二人とも「ダメな新人」「こんな新人は嫌だ」を演じていて、出オチみたいなネタ配信なのに飽きさせない面白さでした。

さらに2月26日、「あにまーれ入店バトル 新人店員は私だ!」が行われました。新人二人に懲役太郎神楽めあ犬山たまきを加えて、あにまーれ新人店員の座をかけて争うという、因幡はねるが温めていた企画です。デビューしてまだ数日なのに、VTuber界でも最強クラスに癖が強い銀盾持ち(登録者10万人以上)のメンツと殴り合うという、獅子が我が子を谷底に突き落とすような企画でしたが、二人はがんばっていましたね。特にいづみちゃんは、殴り合いにも参戦する対応力を見せていました。くくちゃんは敵対しているはずなのに、愛されキャラっぷりを発揮していました。

さらにこのあと、緑仙(にじさんじ)とのコラボ企画が控えているし、あにまーれ全員のゲーム配信も予定されているので、新人歓迎イベントはまだ続きます。一連のお祭り騒ぎを見ていると、今回の新人の参加は、単にメンバーが増えたということに留まらず、あにまーれが新しくなった、新生あにまーれになったくらいのインパクトがあると感じました。あにまーれ全体として活性化して注目度が上がっているし、バランスが良くなったし、先輩後輩という新しい関係性ができたことはすごく大きいです。昨今の風潮では、箱の中でどう絡んでいくかは大事ですからね。

これをキッカケに、あにまーれはさらに発展できるでしょう。楽しいことがいろいろ起こりそうで、わくわくしています。

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