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「にじさんじ衰退論」の自分なりの解釈と感想

「にじさんじファン」さんが書かれた「にじさんじ衰退論『馴れ合いの増加、低め合う関係性』」という記事が話題です。

私はこの記事を読ませて頂いて、なるほどと納得したところと、あれ?と引っかかったところがあるので、世間で賛否両論なのもわかります。ここでは私なりの解釈と、思ったことを書きます。

ちなみに私は、2018年の3月ごろに月ノ美兎がきっかけでVTuberを見るようになりましたが、にじさんじをメインで見ているというほどではない、ライトなファンです。

「それはあなたの感想ですよね」

こういう記事に対して、「それはあなたの感想ですよね。なんかデータとかあるんですか」とひろゆき氏ばりに返すことはできますが、必ずしもデータが必要だとは私は思いません。著者の方はにじさんじ界隈を長い間、毎日のように見てきたのだろうし、そこで得られた肌感覚や知見というのは、すごい情報量があるわけです。それを元に説得力のある論が組み立てられたなら、それは質の高い記事だと言えます。

自分の場合で考えても、人気がある記事というのは、自分が長く見てきた界隈について書いたものですね。ネットで調べれば書けるという記事ではないからこそ、読まれる価値があるはずです。

論の持って行き方

「にじさんじ衰退論」の論の持って行き方は、要するにこうだと私は理解しました。

1. にじさんじの強さの源泉はライバー同士の関係性にある
2. 初期のライバーは逆境の中でがんばってきたから、強固な関係性を作った
3. 統合後のライバーは、苦労知らずで関係性にただ乗りしているので意識が低い
4. それが腐ったみかんのように関係性の劣化を招き、にじさんじは衰退する

1.と2. は、納得感が高いです。ド葛本社の分析など特に、興味深かったですね。

3.が、私が「あれ?」と思ったポイントです。これについて、いくつかの疑問点が思いつきます。

統合後のライバーは意識が低いか?

統合後というのは、にじさんじが「SEEDS」「ゲーマーズ」などのグループ分けをやめた後のことで、2019年1月以降に加入したにじさんじライバーのことを言います。
私の疑問は3点です。

a. 苦労を知らないと意識が低くなるのか
b. 統合後のライバーは苦労が無いのか
c. 昔は良かったバイアス

まず a.について。「逆境があったが、そこから頑張って今がある」というのはストーリーとしてきれいですが、成功した人や頑張っている人のみんながそうではありません。モチベーションの源泉は逆境だけではなく、創造意欲とか、功名心とか、そういうものも大きいはずです。ライバー活動に人生を賭けて、もがきながら頑張っている人も多いでしょう。表には見せないとしても。

b.について。統合後のライバーは確かに、先輩たちが築いたブランドの恩恵があります。しかしそれと引き替えに、後発だという不利があります。人気のある先輩が大量にいて、後輩も大量に入ってきて、埋もれてしまいがちというデメリットは、「目立ってなんぼ」のVTuberにとっては死活問題でしょう。

私が時々見ている、とあるライバーさんは、いわゆる「やべーやつ」タイプではないせいか人気がいまいちですが、毎日配信して、いろいろ工夫してがんばっておられます。

また、みんなが知りあいだった初期と違って、人が増えることで人間関係の難しさは増えるでしょう。上下関係もあるでしょうし、必ずしも今が「ぬるま湯」とは思えません。怠けていてもキャリーしてもらえるほど甘くないはずです。

変化自体が悪ではない

c.の「昔は良かったバイアス(偏向)」は、反論というよりは心構えですが、界隈を長く見ていると嵌まりやすい罠で、意識しておく必要があると自戒を込めて思うことです。なにしろ「昔」の良さを見てファンになったわけなので、変わっていくことに対しての抵抗感は絶対にあります。でも変わることは避けられません。「自分がこれを受け入れられないのは、”昔は良かったバイアス”に嵌っているのではないか」と自省し、ニュートラルに考えるよう意識することは必要です。

関係性の変化=にじさんじの衰退か

著者の論の核心は、

「にじさんじは初期の頃のような関係性があってこそ成り立っているのであり、それが失われたから衰退に向かう」

ということです。これは「昔は良かったバイアス」なのかもしれません。また、統合後のライバーさんが「腐ったみかん」かは疑問があるので、議論が飛躍しているかもしれません。

しかしながら、この結論が間違っていると言える知見は私にはありません。前に書いた3つの疑問点は、いわば一般論ですが、これはにじさんじに特有のものなので、著者よりにじさんじに詳しくない私が反論するのは難しい。

ですから、この文章は「にじさんじ衰退論」に対する反論にはなっていません。ただの感想文です。個人の感想として言えるとすれば、VTuber業界は激しく変化してきましたが、にじさんじとそのライバーたちはそれに対応し、最強のVTuber勢力になったという実績があります。だからこれからも変化に対応できるだろう、できるといいな、と思ってます。あとはリスナー側が、その変化についていけるかです。

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