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幸せの基準は人それぞれ

みなさん、こんにちは。メリアです。

本日は私の大好きな凪良ゆうさんの作品です。

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あらすじ

小学生の百音は統理と2人暮らしだが、血は繋がっていない。朝になると、同じマンションに住む路有があさごはんを作りにくる。そして、3人で食べる。

その生活を"変わっている"という人もいるだろうけど、日々楽しく幸せに暮らしている。

統理は翻訳家、そしてマンションの『屋上神社』の宮司としての仕事もしている。縁切り神社として知られるそこには、<生きずらさ>という糸をを絡めら人たちが優しくつながっていく…。

感想

世間の「当たり前」から少しだけはみ出た人たちの独特の世界観の物語です。

血の繋がっていない統理と百音。

百音は、元妻と旦那との間にできた子供。世間は「なさぬ仲」と言う。

路有はゲイであることを一切隠さずにオシャレな屋台バーを営む。4年前の失恋を忘れようとしているときに元彼から手紙が…。

桃子は40近くにして、結婚をせず実家暮らし。母が紹介してくれる見合いはうまくいかない。どんな時でも、初恋の彼が忘れられない。

基はバリバリの営業マンとして、誇りを持って仕事をしてきた。なのに、うつ病になるなんて…。唯一の癒しの彼女とは遠距離恋愛。早く転職して、結婚して、うつ病を直さなくては…。


「なさぬ仲」「ゲイ」「独身」「うつ病」

世間は、この"事実"だけを見て判断をします。

「可哀想。ハズレ者。不安定。」

しかし、それぞれの幸せの形は人それぞれなのです。善意や偏見の解釈も人それぞれです。

登場人物たちは生きずらさを抱えながらも、一人一人の意思が強く、芯のあります。そんな人たちに魅了され、私はすごく励まされました。

そして、「自分にとって確固たる大切なものは何か」を考えさせられる作品でした。


本作は連作短編なのですが、特に私が好きだったお話は桃子のお話『あの稲妻』でした。

桃子は40歳手前にして独身で実家暮らし。母は「いつなの?」と心配し、見合いの場を設けてくれるのですが、あの稲妻を忘れられない…。"

桃子は初恋相手を忘れることができないのです。

(内容はネタバレになってしまうので、ぜひ読んでみてください)


桃子が最後に言う言葉が私は印象的でした。

人の心のうちなんてわからない。けれど、それでも、今かすかに触れたかもしれないと思える瞬間、それがあれば十分だと思える。みんなそれぞれ厳密にはひとりずつで、その折々でつながったり、離れたりしながら生きている。わたしも、いつかで雷鳴を誰かと聞くかもしれない。それは誰にもわからなくて、わからないことは不安であり、救いでもあるのだと思う。


この世界で<生きずらさ>を抱える人がいるのなら、一度この作品を読むべきです。

本屋大賞受賞作『流浪の月』も主人公は"普通"とは違う世界で生きるのですが、凪良ゆうさんは「普通」とは少し違った世界観を丁寧な心情と共に描きます。

涙が止まらない、しかし読了後に優しさの溢れる透明感のあるお話でした。


ぜひ読んでみましょう。凪良ゆうさんの世界観を満喫できます。



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