真夜中の1時の東京で。
みなさん、こんにちは。メリアです。
本日はこちらの1冊の紹介です。
吉田篤弘さんの『おやすみ、東京』です。
あらすじ
真夜中の1時。東京。
そこれは私たちが想像している以上に多くの人がすれ違っている。
映画の小道具調達をするみつき。
びわ泥棒兼オペレーターの可奈子。
夜専用タクシー運転手の松井さん。
それぞれが、それぞれの想いや淋しさ、夢と希望を持ち、つながっていく。
東京の街は思っているより狭いんだね…。
感想
この本を読んで、率直に穏やかでうっとりとした気分になりました。
本作は連作短編なのですが、実に多くの登場人物が登場します。
それはまるで、1冊の小説の中に登場人物分の小説があるかのような感じなのです。
しかし、この多くの小説が1つとなり、すれ違い、共有し、もの寂しさを感じつつも、まるで夢の中にいるような心地よい時間が流れていました。
東京という街に住んでいる方・住んだことのある方は分かるかもしれません。
東京という街を想像すると、「騒々しい」「人で溢れている」まぁ、そんなイメージなのではないでしょうか。
昼間の東京は確かに、多くの人で溢れています。
"通勤ラッシュ"という苦痛は2度と忘れられません。
カフェで落ち着こうにも隣との感覚の狭さに落ち着く暇もありません。
道端で必死に何かを訴える人たち。
酔っ払って歩道で寝る人もいました。
(それが面白みでもあるかもしれませんが…)
しかし、そんな昼間の東京とは打って変わって夜の東京都は、実に感慨深い街になります。
人々の心を反映させているかのようなのです。
昼間は忙しくせかせかしていて、人間関係で悩んだり、うまくいかないことに打ちのめされたりしていても、夜の東京は一気に眠りにつきます。
この本のタイトル『おやすみ、東京』まさしくそんな感じ…。
それはまるで現実と夢との境界が曖昧になるかのようなのです。
この小説では深夜1時という時間帯(1番曖昧さが深まる時間)にゆるく人々が繋がっていきます。
この小説の登場人物たちは、そんな真夜中の東京に夢や希望を抱き、その刹那とも言える時間に夢見心地を感じているのではないでしょうか。
無自覚だったとしても、その魅力に引き寄せられた人々が、深夜1時、東京という街で、すれ違う。
世界は広いようで、私たちが思っているより、実は狭いのかもしれません。
最後に…
この小説は、夜読むことをオススメします。
ということで、私は寝なくてはいけませんので、この辺にて。
おやすみ、東京。
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