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小説のように"赤い糸"がない小説

みなさん、こんにちは。メリアです。

本日はこちらの1冊を紹介いたします。

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筏田かつらさんの作品です。

筏田かつらさん

千葉県出身。2016年に『静かな海』で第4回ネット小説大賞を受賞。他作品に『君に恋をするなんて、ありえないはずだった』『君に恋をしただけじゃ、何も変わらなかった』『大嫌いな君に、サヨナラ』が挙げられます。

内容

本作は"赤くない糸で結ばれた"この作品は5編の短編集となっています。

高校2年生の中川は、ユーモアな友人に勧められて久しぶりに立ち寄った書店で一目惚れをしてします。それ以降時々書店を訪れては本を買う日々を送るのだが…。

『愛しの本屋さん』から始まる、『年末狂騒曲』『そんなアイツに騙されて』『モスキート』『栞のテーマ』5編の、究極の切なさを描く短編集となっています。


感想

私は筏田かつらさんの作品を今回初めて手に取ってみました。

"赤くない糸"というタイトル。大体の結末はこの"赤くない"で想像できるのですが、その大胆さに惹かれ、購入いたしました。


『愛しの本屋さん』では平凡な高校生活を送る中川が友人に勧められ、本屋さんへ行くことになる。

よくある恋愛小説であれば、この出会いがきっかけとなり、"運命の赤い糸で繋がっていたんだ"と思わせるような展開となってもおかしくないのだが、現実はそのような夢物語のようにはいかないのです。

これら5編とも、"赤くない糸"で結ばれた物語なのですが、人が人に与える影響の大きさをしみじみと感じました。

中川は友人に勧められ始めた読書ですが、書店に立ち寄ることは好きな人に会えるという中川の喜びだけでなく、一目惚れした書店員にとっても、"読書好きの書店員"としての「やりがい」を感じさせてくれる出来事となったことは間違いありません。


『モスキート』では地味ないじめられっ子の女子中学生に唯一仲良くしてくれる美人で秀才の文音。

文音の笑顔のためなら他に何もいらない。誰がなんと言おうと、彼女がそばにいれば私は無敵。私とだけ本当の自分を見せてくれてるのだ。

いくらいじめられても、辛いことがあっても乗り越えられる。

文音と関わることで失うこともあったが、その分、多くの感情を知るのです。


私たち人間は日常の何気ないやりとりから紡がれる人間関係や物事が存在するのだとしみじみ感じさせられました。

それらが決して"赤い糸"で結ばれていなくとも、きっと糸は別の色でどこかで繋がっているのです…。


気になる方はぜひ調べてみたください!



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