一瞬で飛ぶ時間
息子の親友Sくんは
ベンツやポルシェが行き交う
ゲート付きの超高級住宅街に住んでいる。
そんな子がなぜ息子の通う
庶民の幼稚園に来るのか不思議だったけど
Sくんが入ってきた初日から
ふたりは即、意気投合。
何をするにも一緒で
先生たちはよくふたりのことを
「夫婦のようだ」と言っていた。
私も同感だった。
(多分、息子のほうが夫)
いったいどの星で
夫婦をやっていたんだろうか。
Sくんと息子はその後
Sくんが幼稚園を変えたり
パンデミックで幼稚園がクローズしたりと
いろんなきっかけで
離れ離れになってしまったのだけど
その間も付かず離れず
他にどれだけ友達ができても
Sくんと息子は
お互いのナンバーワンだった。
そんなSくんが、今週から
息子の通う学校に入ることになった。
通学が決まった日
Sくんのママが久しぶりに連絡をくれた。
彼のご両親はどちらも
家で仕事をしているのだけど
日中はコンピューターに張り付いてないと
いけないらしく
学校が終わった後
Sくんのベビーシッターをしてくれないかと
お仕事を依頼してきた。
学校が終わる午後2時から5時までの間
Sくんを学校からピックアップし
おやつを与え、息子と一緒に遊ばせる
それだけ。
私は驚いた。
実はその数日前
ブレスレットやセッション以外の
収入口があったらいいな〜と考えていて
その時、決めた条件が
1日3時間程度
生活費の半分くらいは稼げる収入があって
面接なしで入れて
頑張ってやらなくても楽々できる(エネルギーを取られない)仕事で
息子との時間を削らなくてよくて
家から近い
・・という
ワガママ千万なリストだったのだけど
それを見事に
全部叶えたオファーだったからだ。
私はありがたくお受けし
Sくんを預かる準備を始めた。
そんなシッター初日の朝、
コーヒーを淹れていると
珍しくガイドが話しかけてきた。
ルシドとは違う、男性ガイド。
”人生は幻想ゲームだよ”
は? なに突然?
人生がゲームだってことは
いろんな人が言ってて知ってるけど
なんでいま突然私に言うんだろう?
そして、なぜかその声を聞いてから
自分の思考にもっと気づくようになったのだ。
私たちは、日々いろんなことを心配している。
コロちゃんのこと
子供のこと
お金のこと
この国の根底にある、無言の人種の壁
貧富の差
私は自分のアパートが大好きだ。
全面に窓があって明るく
部屋にはたくさんのプランターと
私と息子のアートが飾られ
天井からはモビールや
立体幾何学のサンキャッチャーがぶら下がっている。
エリアも、Sくんのところほどではないけどいい場所で
学校区もいい。
でもアパートの外装は最悪なのだ。
とにかくボロい。
5歳の息子ですら
「この家は古いから早く引っ越したい」と言う。
特に今は雨漏りを直してる途中で
天井に穴が空いた状態だし
こういう場所でSくんが時間を過ごすことを
お金持ちのエリアに住む親御さんがどう思うか
私はそれを無意識にとても心配していた。
せめて掃除をしっかりして
気だけでも整えよう
Sくんが楽しんで過ごせるように
・・そう考えていると
またガイドが囁いた。
”Sくん一家がお金持ちだとか
君の家がボロいとか、貧富の差とか
そういうのもこのゲームが仕掛けてる
幻想の一つなんだけどね。
まあ、何を選んでも自由だよ”
含みのある言い方するなあ〜w
わかってるよ、幻想に囚われずに
真実の目でこの世を見る時期に来てるから
その練習をしろって言うんでしょ?
でも目の前にある出来事はすごくリアルで
どうしてもそのドラマの中に
思考を持っていかれてしまうのだ。
そのとき
息子のパパちゃんから連絡が入った。
パパちゃんの奥さんが
コロちゃん陽性になったらしい。
(でも元気で大丈夫)
だから接触のあった息子も
念のために早急に検査してくれと頼まれた。
私は一瞬パニックになった。
掃除で忙しいのに
シッター初日で、それだけでも緊張してるのに
テストやってくれるところは何時まで開いてるだろうか?
もし陽性だったらどうしよう・・
また思考が忙しくなる。
そうするとまた
ガイドが囁きかけてくる。
”そうそう、こんな風に人生は
幻想をあたかもリアルであるかのように、
君に信じ込ませるためのあらゆる手を打ってくる。
感情を揺さぶってくる。
それを、知識としては知ってるよね?
さあ、この怖い感覚
どうやって受け止めよう?
いま起こってる全てが幻想だということを受け入れて
恐れから距離を置いてみるもよし
恐れにたっぷり浸って
臨場感を味わいながら人生を楽しむもよし”
・・そんなの、前者がいいよ。
幻想のカラクリからいち抜けた〜って
悟った人を早くやりたいw
Sくんのシッター初日は無事終わり
その足で今度は車をすっ飛ばし
息子をコロちゃんテストに連れて行く。
運転しながらも思考は止まらない。
間に合うかな・・
どうか陰性でありますように・・
その時息子が「あ、消防車!」と叫び
私は我に返った。
「え? 消防車なんかいた?」
・・・っていうか私
いま、どこにいた?
思考に囚われている間は
人間は「今ここ」にいない。
あんなに目立つ、赤い大きな車さえ
私の目には入らなかったのだ。
思考が優位になって幻想に囚われていると
時間も、そして空間からさえも飛ぶ。
その感覚を
初めて体で味わった瞬間だった。
最近の上からのトレーニングは
3次元の感覚を絡めてやってくる。
現実が幻想だと本気で切り替え
受け入れるのは難しい。
でも、思考のパターンには気付いた。
それに囚われて、時間と空間が飛んだ感覚も味わった。
さあ、これから
どうやってこの幻想から離れていこう?
まだ臨場感に浸っていたかったら
そこにいてもいい。
今日、たった1日で幻想を振り払ってもいい。
「幻想から抜けるのが難しい」
という思い込みすらも幻想なんだ。
自由に決めていい。
面白い感覚だな。
そのための最近の、3次元強化期間なのか・・。
(ちなみに息子は陰性でしたw)