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大人も、子どもも!絵本が大好き

そろそろ、お盆の帰省が視野に入ってくる頃。感染のひどい地域からの移動は憚られる一方で、感染者数が二桁の地域もある。「そんなに遠い距離じゃないし今年は帰省する」という人も「実家の親類とは今夏も会えない」という人も、親戚の子どもたちのことが気になったりしないだろうか。

子どもたちの成長は早い。コロナが始まってからの二年くらいになるけれど、彼らにとってその期間はとても長い。生まれた子どもが立って歩くようになるのに十分な長さだ。前あったときは小さかった子も、そろそろ文字の読み書きくらいできるようになったかもしれない。ふにゃふにゃした曖昧な音しか発せなかった子も、意志を持って言葉を使うようになっているだろう。

自分が幼い頃に読み聞かせしてもらった絵本を、今日は振り返ってみたい。好きだった作品はたくさんあるから、本当は紹介しきれないけれど、子どもたちへのプレゼントに迷っている人も、久々に童心に返りたい人も見てほしい。

真っ先に挙げたいのが、この人の絵柄で描かれた『シンデレラ』。「シンデレラなんて誰もが知ってる、どんな絵柄で見たって同じでしょ」なんて言わないでほしい。エロール・ル・カインの絵は芸が細かい!

https://honto.jp/netstore/pd-book_01680823.html

挿絵を担当しているル・カインは「イメージの魔術師」の異名を取る。洋の東西も時代も問わず広い知識を要し、それが描く絵にも反映されていて、絵の情報量がとても多いのだ。アニメーターでもあった彼の緻密な絵で『シンデレラ』を堪能できるのは、手元に美術館があるようなもの。衣装や髪型、背景の装飾に至るまで描き込まれた、芸術作品とも呼べる絵本に仕上がっている。

それからこのシリーズも大好きだった。『ゆかいなゆうびんやさん』、文字が読めるようになったら、この絵本を自分で読んでいくのは、きっととても楽しい体験になる。本の中に封筒が貼られていて、そこから手紙を出して読むのだ。これには「クリスマスバージョン」があって「年末、子どもへのプレゼントを探してる」という知人に迷わずおすすめした。

https://honto.jp/netstore/pd-book_02722060.html

海外発の作品なので、残念ながらお盆バージョンはない。クリスマスプレゼントを考えている人がいれば、頭の片隅に留めておいていただけたら嬉しい。

手紙を読んで楽しむ絵本と言えば、このシリーズも外せない。『フェリックスの手紙』!
空港で持ち主とはぐれてしまったウサギのぬいぐるみ、フェリックスから、持ち主の女の子ソフィーに宛てて、世界のいろんな場所から手紙が来る。小さい頃に海外に行く機会なんてなかったけど、この本で世界旅行できたからよし!

https://honto.jp/netstore/pd-book_01076197.html

そして「好き」というより「世界にはこんな表現もあるのか、なんてシュールなんだ」と記憶に残ったのが『トン、トン、クリック・クラックさん!』だ。出版社の紹介文からその内容を想像してほしい。

人嫌いのクリック・クラックさんは、怪物たちに家を守らせています。ある日、トントン!とドアをノックしたのは……。不思議感覚いっぱいのユニークな絵が楽しい。

いまだに「なんだったんだ、あれ……」という思いと、「トン、トン!クリック・クラックさん!」というリズムのいい語り文が忘れられない。シュールではあってもホラーではないので、子どもが読んでも楽しめる……かどうかはともかく、創作の世界を広げてくれると思う。

他にも、自分のティータイム好きを決定づけた(?)『おちゃのじかんにきたとら』、文字通りお茶の時間に虎が来る話がある。それから「フランス人の色彩感覚はここから養われるのか?」と思うような綺麗な色使いの『三つ子ちゃん』に、グルメなねずみが活躍する『ねずみのとうさんアナトール』。どれも大人が読んでも楽しめますので、是非に。

本を買ったり、勉強したりするのに使っています。最近、買ったのはフーコー『言葉と物』(仏語版)。