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新規事業インタビューの掘り下げ方 ~新規事業伴走メンタリングの現場④~

メルセネール・大道寺です。
今回も新規事業を検討する上で重要なアクティビティの1つである、「インタビュー」がテーマです。今回はその中でも、インタビュー中に話を掘り下げる問いの投げ方を取り上げます。

ケース 未来のモビリティー社会に関するインタビュー

自動運転やEV、ライドシェアリング・・・など未来のモビリティー社会の姿に関わるワードはたくさんありますが、その未来予測をするために様々な人へインタビューをしていた際の話です。

インタビューから戻ってきたクライアントと、インタビューの振り返りMTGをしていた際に以下のような会話をしました。(私は今回はインタビューの現場までは入っていません)


クライアント
「2時間の長丁場でしたが、多くのいろいろ聞かせて頂けました。」


「いいですね。特に印象に残っているのはどんなことでしたか?」

クライアント
「2030年には〇〇が日本市場に浸透しているという話です。」


「それはもう少し具体的に言うと、どういうことでしょうか?」

クライアント
「2030年には日本の中でも特定のエリアに〇〇が浸透するということです。具体的には地方から始まるのではないか?と仰っていました。またこの状態を実現するためにインフラ側が△△になることも同時に意味しています。この仕組みは世界の中でも日本が先に進むということで・・・(以下略)」


「・・・なるほど。ちなみに2030年で起こることは他にどんなことがありますか?」

クライアント
「いや、2030年というテーマではこの話が盛り上がったので、それ以外は敢えて聞いていませんが、この情報では足りてませんかね?」


メンタリングで事後共有を頂いていると、このようなインタビューになっていることが非常に多い印象です。インタビューを通じて情報を聞き出しているというよりは、相手がテーマについて話してくれ、その情報を得ている方が近い感覚です。

言うなればインタビューの受け手に依存してしまっている状態です。インタビューの実施・成果が安定しない方の典型的な状態の1つがこれでして、相手を掘り下げる問いを投げられていないことに起因します。

とは言え、「インタビューは毎回異なる人に異なる話をしてもらうわけだし、臨機応変にその場で対応する必要があるでしょ?」というのはその通りです。大事なのはその”臨機応変にも型があるか?”ということです。

4つの大きな”問い”と3方向の掘り下げの”問い”

細かいテクニックはあるのですが、再現性を高めるために、メンタリング時には以下の2つの型をご紹介しています。まずはこの2つの型だけ意識して頂ければ、問いの投げ方で困るというようなことはグッと減ると思います。

オープン/クローズ 4つの問い

”オープンクエスチョン”と”クローズクエスチョン”という言葉を聞いたことがある方は多いと思います。実はこれ、そのままだと使いにくいんですね。上記のケースでは、

オープンクエスチョン
「2030年はどんな世の中になっていると思いますか?」
クローズクエスチョン
「2030年に〇〇は存在していますか?」

といった問いになります。極端すぎて聞かれる側はけっこう困りますし、話すことに慣れている、得意な方でないと適切に回答できない可能性があります。

そこでこの極端に離れた2つの問いのGAPを埋める2つの問いを用意します。それが”範囲付き”オープンクエスチョンと”選択肢付き”クローズクエスチョンです。

”範囲付き”オープンクエスチョン
「2030年は”地方の移動”はどのような状態になっていると思いますか?」
”選択肢付き”クローズクエスチョン
「2030年には○〇、△△、■■のうちどれが存在していますか?」

という問いです。

オープン/クローズクエスチョンのシンプルな4区分

4つの大きな問いを適切に使い分けることが重要です。相手の特性、全体の中での序盤/終盤など状況に合わせて選んでいくことになります。(相手の特性の見抜き方もコツがあるので、また改めてご紹介したいと思います。)

3方向の掘り下げの問い

上記の4つの問いを使いながら、何らかの1次回答を得られた後に駆使するのが3方向の掘り下げです。これが上記のケースにおいて不足していた型になります。

非常にシンプルなのですが、1つの回答を得られたらそれに対し、

  1. それはなぜでしょうか?

  2. 具体的にどういうことですか?

  3. 他にありますか?

の3つのどれかを投げ返すことです。「なぜを繰り返せ!」ということは皆さんご存知なのですが、「それが何なのか?」、「他に無いのか?」の2つは相対的に漏れがちです。

3つの掘り下げの方向性

新規事業開発では特に聞かれていないのが、”具体的にどういうことでしょうか?”です。ちょっとした回答をもらった際に、自分の中で都合よくイメージを描いてしまい、「たぶんこういうことだろう・・・」と理解して、具体を捉えようとしないケースが多いです。メンターとして終了後の確認を一緒にしていると、回答に窮するのはこの問いに関するところですね。一緒にインタビューを実施した仲間同士でもイメージがズレていることも多いです。


インタビューの進め方も振り返る

インタビュー終了後の振り返りは、”得られた情報”に関する振り返りに終始しがちで、インタビューの”進め方自体”を振り返る方は少ないです。インタビューがなかなか上手くできない・・・という方は進め方自体も振り返り、インタビューのPDCAも回すようにしましょう。より効果的にインタビューを実施できるようになると思います。

※インタビューの現場から

※フレームワークを知りたい!という方はこちら
こちらを基点に基本的なフレームワークを対話形式で整理しています


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