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悪戦苦闘の毎日が楽しい

 ずっと以前より気になっていたアトリエシリーズをプレイしてみた。自分はPlaystationPlusなるゲームのサブスクサービスに加入しており、定額で結構なタイトルをプレイできる。もちろん最新作ではないものの、名作、少し前の話題作がかなりあるので結構なお得感があり、また、最新のゲームを追いかけるよりも、ある程度攻略方法が確立されたゲームを試行錯誤しながら楽しむのは、今の自分のライフスタイルにもあっている。

 さて、このアトリエシリーズなるもの、コーエーテクモゲームスのガスト(旧・株式会社ガスト)から発売されている、日本のコンピュータRPGシリーズ作品なのだが、始まりは1997年、当時のターゲットマシーンは初代プレイステーションやセガサターンである。

 主人公のかわいらしい女の子が錬金術を使って町の人の依頼をこなし、薬の調合や様々なアイテムを駆使してクエストを攻略していくやりこみ要素満載のRPGだ。

 自分が手を出さなかった理由はただひとつ、可愛い女の子を使ってプレイというのがどうにも性に合わなかったからなのだけれども、この歳にもなると、そういう面倒なこだわりはだんだんと風化していき、純粋にゲームシステムの面白さに没入できるように……なったみたい。

 もちろんきっかけはあって、それはnoteで往復書簡をやっている松永ねるさんが最近アトリエシリーズを始めたという書き込みを見かけて自分もやってみようと。いずれ往復書簡にもその話題が出ると思います。

 今回タイトルに『悪戦苦闘』としたのは、現在プレイしている『アーシャのアトリエ 〜黄昏の大地の錬金術士〜』(2012年PS3で発売)を基本知識ない状態で攻略サイトも極力参照せず(パラメーターの重要性やエンディング分岐の有無などは参照)、与えられ理解した範囲でゲームを進めていったところ、システムの理解度が増すにつれて、『これはやり直さないと!』と1回目は最初からやり直し、2回目はゲーム中盤、3回目はボス戦を無事クリアしたあとのこれからやらなきゃならんことを計算するとどう見ても詰んでいると判断して途中からやり直した。 

 攻略ページを参照しながらやれば回避できたやり直しだけれども、この体験は昔、この手のゲームでは当たり前のことだったかなぁ。「あー、あそこのイベント回収しそこねた」とか「キャラクターの育て方失敗した」とかそういうトライ&エラーを繰り返してこそのロールプレイング。

 たとえば目的のアイテムを作るのに必要なスキルをいつまでに取得しないといけなかったのかっていうのが、やっているうちにわかってくる。イベントやボス戦を攻略するにも、効果的な攻撃アイテムや装備の調合や強化をするとしないとでは大違い。

 勝てないなぁと思った敵をしっかり作りこんアイテムでボコボコにできたときの達成感がマジやばい。面白い。

 そのなかで初回プレイでは今一つ世界観に没入できなかったのが、最適解のルートにそったイベントをこなしていくと、すごくよくできたシナリオでありキャラクターデザインであることがわかる。

 なんかかわいい女の子が一生懸命しゃべっていて、天然で、無垢過ぎて気持ち悪いなぁと思っていたのが嘘のようにしっかりはまり込む。さすがシリーズ累計500万本を超えるタイトルである。

 自分がプレイしている作品は今から10年以上も前のもので、ところどころ昔っぽい仕様にいらいらもさせられる。たとえば今どきのオープンワールド系のゲームをプレイしていると3Dのカメラワークがとても重要になるのだけれどもPS3当時の技術はそこまで洗礼されていないというか、この作品に関しては疑似的な3Dであって、やっていることは2Dと変わらない。ところどころカットインされる1枚絵での会話イベントは今らなムービーになるのだろうけれども、そうした古臭さが逆に愛しくもなってくる不思議。

 さてさて、まるでもうゲームを1回はクリアしたような口ぶりにも関わらず、実はまだクリアできていない。このゲームはボス戦攻略からが実は本番で、すべての素材がそろうのはそれ以降であり、一度倒した中ボスも強化されてサブイベントに出現する。それに向けて武器や装備、攻撃や回復のアイテムを極限まで高めている調合の作業はかなり複雑ではあるが、この辺りまでプレイしてくるとすっかり手馴れてきて、頭の中で調合のイメージができあがる。

 そう、どんなゲームでも大事なことはクリアしてからどれだけ楽しめるのか。そして2週目を楽しくプレイするために引き継げる最強装備の作成にいそしみ、ショップにめぼしい素材アイテムを登録していく。登録できる数は限られているし、引き継げる装備もキャラクターが身に着けているものだけなので、そのあたりのやりくりや好みの違いがプレイヤーの個性となってあらわれる。

 あー、面白い。もっと早くにやっておけばよかったと思いつつも、人生、これくらいでちょうどいいと思いもする。アトリエシリーズも時代に合わせてどんどん進化しているし、そこにはいい評判も悪い評判もあるのだろうけれど、そうした移り変わりを俯瞰で眺めつつ、当時の流行や技術がどうだったのかを頭の中で整理し、知識として再構築していく作業はとても楽しい。

 楽しいゴールデンウイークになりそうだ。

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