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カシューナッツの実り方を知る-ベトナムで植林体験-

ベトナムに来てから、日本よりだいぶお手頃価格で買えるカシューナッツをよく食べるようになった。でも、カシューナッツがどんな風に生るかなんて、その実を口に放り込みながらは気にしない。

先日会社のベトナム人スタッフに誘われて、Binh Thuan省の山中へ植林ボランティアに行った。主催者はベトナム人で、「JOY FOUNDATION」というグループの活動。

苗木を植え付ける場所に辿り着くと、辺りには何か実の付いた木があった。同僚が携帯で何やら検索し、その画面を見せてくる。カシューナッツの写真。「この木からできます」

カシューナッツの木

勾玉型の赤い実の下にある種がカシューナッツとして食べられる

よく見ると、勾玉型の果実の下に、それらしき形のものが付いている。それがこの果実の種で、カシューナッツとして食べられている部分とのこと。初めて知ったカシューナッツの実り方。想像と違うような感じ。とは言え、そもそも私の中にイメージ画がなかったのだが。

植林ボランティアと言いつつ、植林時間は3時間程度で、それ以降は自然の中でのんびり過ごす1泊2日の旅行のような感じ。(個人的には、虫だらけの場所に張ったテントの中で掛け布団だけで寝る、トイレには便座がないし、水しか出ず個別の仕切りもないシャワールームでシャワーを浴びるといった劣悪な環境での過酷な旅だった)

田舎道をバスで移動する際に、ゴムの木を見た。幹の一部に青いテープが巻かれているのは、ゴムとなる樹液を採取した跡なのだろう。木が等間隔で生えているのを見る限り、商業目的に植林されたものと推測できる。ああ、そういえばゴムの生産に向いている地域や生産国ランキングなんてのを、高校の時に地理の授業で学んだな、なんてことをふと思い出す。

天然保護地で森林浴をした。ガイドさんがその地に生えている、草や木の説明をしてくれる。この木の葉っぱは油分が少なくて燃えづらいため、昔は屋根の素材として使用していたとか、この木の樹液が接着剤になるとか、これは食べられる葉っぱで少し酸味があって生春巻きに入れて食べると美味しいとか、これは牛肉と一緒に焼いて食べると美味しい葉っぱだとか。ボランティアの参加者は私を除いて全員ベトナム人だし、ガイドさんはベトナム語しか話さないので、日本語が堪能な同僚の友達が所々通訳してくれた。

ガイドさんがしょっちゅう立ち止まっては喋る喋る。何を言ってるのか全然分からない中、蚊がいっぱい飛んでいるわ、足元は大小いろんな蟻が這っているわで、正直じっとその場に立ち止まっていると虫たちに集られそうでかなり苦痛な時間だった。

田舎にいけば、一見まだまだ木々が多い様にみえるベトナムだが、この国でも緑地減少は顕著な問題のようだ。ベトナム南部の避暑地で有名なダラットなんかも、次々と木々が伐採されて新しい観光地やホテルなんかが造られたりしており、十数年以前はもっと自然に溢れた涼しくて美しい場所だったのに…と嘆くベトナム人の声をよく耳にする。

植林した苗木はまだ幹が細く、また少し斜面に植えることもあって、真っ直ぐ立つように土を被せるのが難しかった。けれども、植えてから2年が経ったという木は、幹も十分太くなり、しっかりその地に根を張っていた。私の植えた木々も、これからの長い雨季にも耐えて、立派な木に成長することを祈る。


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