【ベトナム料理】ハイクオリティなベトナム菜食料理

会社のスタッフとよく菜食料理(món ăn chay)を食べに行く。ベトナムには菜食の店が多い。小さくて安い食事処(Tiệm ăn/quán ăn)から高級レストラン(Nhà hàng)まで様々だ。私もあらゆる形態の店で菜食料理を食べてきた。そして言えるのは、どこで食べても想像以上に満足できることだ。

宗教的に菜食料理の店が多いとも聞く。仏教徒の人は、普段はベジタリアンではなくても、新月と満月の日は、菜食を食べる習慣があるようだ。以前、誕生日祝いのお返しに、(ベトナムでは誕生日の人がご馳走をしたりする習慣がある)ランチをご馳走する日を提案したら、その日は菜食の日だから違う日にしてくださいと言われて唖然とした。

また、願掛けで菜食を食べる人もいるらしい。お願い事が叶うまで、菜食者になるのだとか。これを同僚から聞いた際は、叶えたい願いによっては長期戦になるから、これを信じて一時的なベジタリアンになれる人は、自分に厳しくて意思の強い人なんだろうと思った。
とは言え、ベトナム菜食料理のクオリティの高さ。毎日こんな食事でも悪くないかもと思えるほど。

ベトナム料理には欠かせない、魚醬(ヌックマム)もベジタリアン用のものがある。本来は魚介類を発酵させて作られる調味料だが、ベジタリアン用のものはパイナップルとか椎茸から作られる。菜食レストランのメニューに野菜のオイスターソース炒めなんてものもあるのだが、このオイスターソースもベジタリアン用があり、干し椎茸等から作られる。
大型のスーパーマーケットに行けば、こうしたベジタリアン用の調味料を手に入れることも可能だ。

菜食料理はその工夫に面白さがある。以前、菜食料理屋でブン・ボー(Bún Bò)を食べた。ブン・ボーはベトナムの麺料理の一種で、ブン(Bún)=麺の種類、ボー(Bò)=牛肉、よって牛肉の入った麺料理となる。メニューにBún Bòと書いてあるので、菜食料理店の看板を掲げながら、多少の肉料理を扱っているのかと思いきや、ちゃんとベジタリアン料理。見た目は普通のBún Bòと相違ない感じ。けれど、肉に似せているものは、キノコ、湯葉、豆腐、海藻類などでできている。生春巻きや揚げ春巻きなど、様々なベトナム料理の菜食バージョンがあり、そのそっくりの見た目や食感を楽しみつつ食べ進められる面白さがある。

バインミーもbánh mì chay(ベジタリアンVersion)があり、しっかりと味つけされたキノコが入っていたりして、なかなか美味しい。
ベトナムの菜食料理は味付けも濃いめのものが多いし、油っぽいと感じるものも多いから、個人的にはヘルシーさはあまり感じない。とは言え、奥深いけど優しい味わいのするものが多い。

旅行者はスタンダードなベトナム料理を堪能するだけで精一杯かもしれないけれど、ベトナムの菜食料理も是非味わってもらいたい。声調記号や母音の記号無しで、「Chay」と書かれているお店があればそれが菜食のお店だ。


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