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【れぽ】北欧の神秘 -ノルウェー・スウェーデン・フィンランドの絵画-

だいぶ間が空いてしまいましたが、SOMPOミュージアムで開催されていた北欧の神秘展に行ってきました。
鑑賞中はそれほど混み合っているという印象ではなかったのですが、ミュージアムショップのレジが大行列で驚きました。

▷北欧美術

今回の展示は19世紀頃のノルウェー、スウェーデン、フィンランドに焦点を当てた展覧会でした。
この頃、ヨーロッパでは工業化や都市化への反動として自然主義が隆盛を迎えていました。それは北欧も例外ではなく、同様に自然主義が時代の中心となっていました。
しかし、北欧ではこの自然主義がナショナリズムの動きと強く結びつき、広大で荘厳な美しい自然は一種の国家イメージとしての側面を持っていました。

▷美しい大自然

荒々しい山の稜線や岩肌、海や川の波やそのしぶきなど、北欧には美しい大自然がいたるところに見られます。北欧の画家たちはそれらを力強く、それでいてどこか繊細さを感じさせるタッチで表現し、自国の自然の美しさを画家個人の経験と共に描きました。
『叫び』で有名なムンクもその1人です。

『フィヨルドの冬』ー エドヴァルド・ムンク

▷ファンタジーの源泉:森の表現

北欧において森は通常、人が立ち入る場所ではなく中では不思議な出来事が起こる場所とされていました。また、怪物や魔女、妖精などが住んでいる場所として捉えられていました。
そのため、森は北欧神話民間伝承などと結びつけられ、北欧の画家たちにとってインスピレーションの源泉とも取れるモチーフとなりました。
文学作品の挿絵や装飾美術を手がける画家もおり、森がいかにこの頃の北欧の画家たちにとって重要なものだったかが見て取れます。
中でも有名なのが、テオドール・キッテルセンです。ノルウェー出身の彼は、ミュンヘンやパリで絵を学んだのち、自国の自然に惹かれ、国内各地を転々としていました。ロマン主義的な自然風景や民話の場面など数多くの作品を残しています。
また、児童向けの書物へ寄せた挿絵は現在でも評価の高い作品です。

『トロルのしらみ取りをする姫』 ー テオドール・キッテルセン

▷日本美術との関わり

北欧美術には西欧美術では珍しい輪郭線を用いた絵画が多数見られます。
この輪郭線は日本の浮世絵などで伝統的に用いられる技法であり、油彩画が中心の西欧では親日的な画家やジャポニズムの隆盛期を除いて滅多に見られません。
ヘルメス・オッスルンドペッカ・ハロネンなどの画家は当時パリでジャポニズムを取り入れていたゴーギャンに師事したことで、日本の浮世絵や木版画に見られる輪郭線大胆な構図など用いた作品を多く残しています。

▷結び

今回紹介した作品以外にも素敵な風景や幻想的な作品、フォービスムやジャポニズム、ロマン主義など様々な技法を用いた作品を多く鑑賞することができました。
また、絵画だけでなくテキスタイルのデザインや壁画チックな作品などの装飾美術にも力を入れた画家が多かったことを知ることができ、非常に良い学びができました。
北欧の画家たちがどれほど自国をの自然を愛したか、森に対する不思議さや奇妙さ幻想を抱いていたか、それが見て取れる素敵な美術展でした。

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