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【感想】ひとモノガタリ「みんなの成長戦略部~コロナと闘うサッカー部員たち~」

福岡大学サッカー部には、部員100名全員が参加する「成長戦略部」がある。全員が、企画運営・分析・広報・応援・用具の5つの部門に携わる。今から、3年前に当時の4年生の発案で始まった。
福岡大学サッカー部は、これまでにJリーガーを70名以上輩出する強豪校なので、各地から夢を持ったサッカー青年が集まる。でも、試合に出られるのも、プロになれるのも、ほんの一握りだけ。

かつて、控えの選手のなかには目標を失う者もいた。そこで、部員全員が成長戦略部に加わることで、それぞれが自分の個性や特性を活かし、サッカー部に貢献できるようにした。その経験が、やがては社会に通用する力になるのだ。コロナ禍の試練の時期にも、福岡大学サッカー部の成長戦略部は成長を続けていた。

試合には出ることのできない控えのゴールキーパー三家本選手(4年生・企画運営部門リーダー)を追うドキュメンタリーだ。

自分は何をすべきか

三家本選手は、サッカー選手として、これまで目立った成績を上げることができなかったが、最後の年(4年生)にすべてをかけてきた。しかし、2020年はコロナ禍に襲われ、サッカー部はほとんど活動できない状態に追い込まれた。「自分にとっての最後の一年がなぜコロナの一年なのか」と苦しんだ時期もあったようだ。

もし、成長戦略部に属していなければ、三家本選手は目標を失って呆然としてしまったかもしれない。でも、彼は企画運営部のリーダーなのだ。その自覚が彼を立ち上がらせた。
2020年12月6日、九州大学サッカーリーグの決勝戦(福岡大学サッカー部とライバルである鹿屋体育大学サッカー部との試合)を「九州クラシコ」と名付けて大々的に企画することにしたのだ。

Jリーグでも活用するスタジアムを使い、クラウンドファウンディングで150万円を募った。このイベントを成功させるために企画運営部は何から何まで行った。150万円の資金集め、協賛企業・スポンサー獲得のための営業活動・スタジアムでの感染対策・会場設営・・・。

4年生のレギュラーたちは一生懸命試合を戦うので、試合に出ることができない自分には何ができるかと考えた末「彼らに最高の舞台を作って盛り上げよう」と思ったのだ。
サッカー選手の三家本さんにとっての最後の1年はコロナの1年だった。でも、最後に、彼はカメラに向かって笑顔で語ることができた。「この部に自分がいてよかったと思ってもらえる働きができた」と。

人生は映画のようで

成長戦略部という素晴らしいアイデアを学生が発案し、なおかつ、それが伝統として残っていること。また、成長戦略部としての活動に真剣に取り組んでいるサッカー部員たちを見て感動した。

社会に出て生きていくことを映画に例えれば、いつでもスポットライトを浴びて主役になれる人など、ほんの一握りだ。では、主役でなければ無意味なエキストラなのだろうか。決してそうではない。一本の映画が完成するためには膨大な人数の人が関わっている。

それぞれが自分の役割を果たして「この人がいなければできなかった」と言われるくらいのクオリティの高い働きをするからこそ、最高の映画が作り出されていくのだ。三家本選手のように、たとえ第一線で活躍できなかったとしても、充実感を持って学生生活を送ることができた人は立派な勝ち組だ。これからも社会の荒波の中でイキイキと生きていけるだろう。

コロナ禍の中、「最悪だ、最悪だ」と言って日々を過ごすこともできるけれど「自分には何ができるだろうか」と模索できる人になりたい。そんな風に思えた、福岡大学サッカー部成長戦略部ありがとう。

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大人のADHDグレーゾーンの片隅でひっそりと生活しています。メンタルを強くするために、睡眠至上主義・糖質制限プロテイン生活で生きています。プチkindle作家です(出品一覧:https://amzn.to/3oOl8tq