【感想】フェイクバスターズ「選挙とフェイク」
世に蔓延るフェイクニュースにメスを入れ、フェイクニュースにだまされない対策について話し合う番組「フェイクバスターズ」。ファクトチェックの専門家、社会心理学者、ジャーナリストなどが集い、ニュースの見方などを解説する。
今回のテーマは「選挙」だ。特にアメリカでは、11月の大統領選挙はフェイクニュース合戦となり、選挙終了後にも未だ落ち着いていない異様な状況だ。今後、日本でも同様の事態が生じる可能性があるという。SNS全盛時代だからこその罠も含め勉強になった。
選挙とフェイク
日本でもフェイクニュースが選挙に影響を及ぼすようになっている。最近では、大阪都構想の際には両陣営がフェイクニュースを出し合い泥沼になったことが話題になった。また、2018年には沖縄知事選にてフェイク合戦が選挙に暗い影を落とした。
SNS(特にTwitter)はフェイクを拡散させてしまう大きな要因になっている。政治家もフェイクをあえて拡散させて、それを武器にしている現状がある。アメリカの大統領選挙の際のフェイク動画・フェイク画像などは露骨なものだったが、それを信じた各陣営の支援者の間で大炎上し、結局、国が分断する状況となった。
フェイクを見分ける方法
注意しなければならないのは「確証バイアス」だ。これは自分の信念に沿った情報は深く調べずに信じやすくなるという現象で、社会心理学の言葉だ。どれだけ賢い人でも、経験値のある人でも、みなこの傾向を持っている。とりわけ、インターネットと確証バイアスは相性が良すぎるのだ。
池上氏と佐藤氏の対談本で学んだけれど、ネットで検索していると、いつの間にか自分が検索する情報に似たものばかりが上位に表示されるようになる。これが、自分の周りが皆同じ意見ではないかと勘違いしてしまう要因になるのだ。リサーチすればするほど罠にハマることになる。
コメンテーターの一人は、同じ意見しか並ばない時には「怪しい」と思うようにしているのだという。それぞれの異論を聞いたうえで、自分はどう思うかを理性的に考えないと、簡単にフェイクに乗せられてしまうのだ。
ファクトチェック
フェイクニュースを見分けるためには、とにもかくにも「ファクト(事実)」をチェックする習慣を持つことが大事。それと同時に一つのファクトを重視しすぎないことだ。つまり「1個新事実が出てきたら、これまでの証拠はすべて偽物!」のような極端な考え方をしないこと。フェイクニュースは人の感情に訴えようとするのだ。
選挙期間中に表れた告発サイトなどは、急に作られたもので、運営元も表示されておらず、問い合わせ先もなかった。ファクトチェックの団体がリサーチを始めると、そのサイトはすぐに姿を消してしまったのだ。衝撃的なニュースを聞いた時には「誰が?」そのニュースの出どころなのか、源の信頼性を探るのも有益だろう。
まとめ
フェイクニュースは拮抗している勢力の間に出現する。双方が優位に立とうとして争っている時ほど、フェイクニュース合戦になるのだ。フェイクニュースが飛び交い始めたら、そういうことだ。つまり、どっちもどっちということなのだ。自分は騙されないなど思わないことだ。
SNSに没頭した状態で冷静に事実を読み解こうとするのは不可能な話だ。大きな流れの中から一度抜け出たうえで、自分の頭で考える習慣を持ちたいものだ。