リーダーシップに求められる最大の要素を一つ挙げるなら、それは「心理的安全性」だという話〜謙虚なリーダーシップ〜
高圧的なリーダーシップはコミュニケーションが浅くなる
エドガー・シャインの『謙虚なリーダーシップ』を読みました。個人的にはもっとレビューがついてもいいくらいの超名作だと思います。
というのも、ここ最近の経営学では
上に立つ人間は謙虚なほうが全体の業績が高い!
ということが常識だから。
謙虚なリーダーのメリットはかなりあり
・チーム同士の協力をうながす力がある
・組織に情報をいきわたらせる働きがある
・正解のない、複雑な問題に対処するための基盤を作りやすい
ということが明らかにされております。
確かに、イケイケな人よりも、自分に非があったらちゃんと認めてくれるような人の方がついて行きたくなりますし、これは感覚的にも納得かなと。
それに、攻撃的なリーダーシップをとる人だと、どんなに自分が工夫して仕事しても結局リーダーの方針に従ってしまい、「自分がやってきたことはなんだったんだろう・・・」と無力感を抱えてしまいがちになりますしね。
結果、自分の意見なんてどうせ反映しないだろうと投げやりに仕事をするのでモチベーション低下につながります。
口出ししがちなリーダーシップだと、「マイクロマネジメント(詳しくは下の記事をどうぞ)」の体制になり、えらい生産性が下がってしまうので個人的には現代においていいことないなぁと感じます。
謙虚なリーダーシップはチームをチームたらしめる
その点、謙虚なリーダーシップをこなせる人は
この人になら、どんなことでも話せるな
と壁を感じずになんでも会話できるので、その分相談とか話し合いが深くなり、深いコミュニケーションが取れます。
その結果、リーダーはチームメンバーの特徴を深く知ることになり、
・どの人がどんなことに秀でているのか?
・どこをテコ入れしたらよりやりやすくなるのか?
が立場的に見えやすくなりますので、チームマネジメント(選択と配置)が自然と取れるんですね。
チームメンバーとしても、やりやすいため
この職場なら、ありのままの自分を出せるだろうな
という「心理的安全性」を抱いて行えるので、辞める危険性がガクッと下がるでしょう。
それに、答えのない複雑なこの現代に対して、もう1人で解決できる問題はないと言っても過言ではないかと思われます。
チームメンバーの誰かの視点が、そのまま最適解になることは結構ありがちといいますか、ランチミーティングでぽろっと出たアイデアを採用したらかなり業務の効率が良くなった経験がありますのでこの辺個人的に納得してます。
答えは誰が握ってるかってほんと分からないですよね。
そんな意見が出しやすいような空間、つまり心理的安全性を出せるような人こそ、これからのリーダーには向いております。
コミュニケーションに必要なのは大きな声ではなく、多様な声なんですよね。
複雑な問題というのは、言い換えれば新しい学習が必須な問題ですので、答えを出すのには試行錯誤が不可欠です。
そして、リーダー1人の答えよりも、メンバー全員の答えの方が数的にも質的にも上ですから、適したものが生まれやすくなるんですね。
これまでは、能力に基づいたアビリゼーション(機械的な働き方、効率的な働き方)だったのに対し
これからは、人間に基づいたパーソニゼーション(コンビネーションのチーム版ってイメージ)という、ビジネスライクの垣根をとっぱらった関係で仕事を作っていくことが大事だといいます。
工業社会においては高圧的なリーダーが最強だったが今は違う
とは言え、高圧的な、攻撃的なリーダーが上に立ちやすいのも事実だったりします(『悪いヤツほど出世する』なんて本があるくらい)。
それはなぜかというと、まだモノが普及してなかった戦後の工業社会においては高圧的なリーダーの方が圧倒的に強かったから。
工業社会は、生産システムが確立すればあとはそれに従って生産していくだけの単純作業、つまりやるべきことがはっきりしていたため、高圧的な人が上に立ったほうが
いろいろな考えの人を「兵士化(指示待ち人間化)」させることに長けていたため安定した生産を生み出すことができていたんだそう。なるほど。。。
何も考えずにやることで生産性は高まり、多くの人にモノが普及していったんだとか。
でも、モノが普及しまくっている現代、それに単純作業はロボットの方がもはや得意な領域になっているのでそこに必要性は感じません。
むしろ、これまで「邪魔」だったと考えられてきた「いろいろな思考」こそが今のニーズだったりすることは間違いないかと。現代はダイバーシティ(多様性)の重要性が説かれてますし。
昔こそ、高圧的なリーダーシップがニーズを満たしていましたが、今はもう必要ないどころか敬遠されがちな要素に。なんか切ないっすね笑。
数多の問題を解決していくにはリーダーを含めた「チーム」こそ鍵を握っているのでしょう。
その際に必要なのが「心理的安全性」を備えた謙虚なリーダーシップってことですね。
個人的にも納得ですし、これからのリーダー本としてすごく参考になる名著でした!
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