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ネゴシエーターから学ぶ最強の説得術!

はじめに

 今回は、何かと日常生活で役に立つ説得に関するお話です。よく、「メンタリストです」と言うと、「じゃあなんかやってみて」と言われます。メンタリズムというものをよく知らない人たちからすれば当たり前の流れかもしれませんが、メンタリストというのはパフォーマーを指すわけではありません。メンタリストの本質は、日常生活で心理術を活用出来る人のことを指します。決して、ババ抜きをしたり、相手の思っている数字を当てたり、相手の描いた絵と自分の絵を一致させる人のことではありません。それはただのエンタメに過ぎないのでそんな知識は必要ないです。勿論、パフォーマンスをメインでやりたいという方は勉強しなければいけませんが…。

 話が逸れてしまいそうでしたが、本題に戻りましょう。要するにメンタリストが一番得意としているものは相手の嘘を見破る技術ではなく、相手の心を動かす説得の技術です。その説得の頂点にいるのが「ネゴシエーター」いわゆる殺人犯や誘拐犯と交渉する方たちです。彼らの説得能力はメンタリストよりも遥か上です。メンタリストは例え説得に失敗しても信頼を失って終わるだけですが、ネゴシエーターは自分の命が失われてしまうリスクを背負いながら説得・交渉をするので取ってるポジションが全く違います。今回ご紹介するのは、彼らが実際に使っている説得の技術ですが、恐らくこれを知っても、ネゴシエーターのような説得術を手に入れることは出来ませんし、手に入れる必要もありません。しかし、少しでもいいのでネゴシエーターに近づけるような説得術を身に着けていただきたいと思います。それができれば日常生活で起こる説得シーンの9割は成功すると思います。

 では、どのような技術を使えば、ネゴシエーターのような説得術を手に入れられるのだろうと疑問に思われると思いますが、彼らは決して特別なことをしているわけではありません。彼らが行う説得は大きく分けて3ステップです。
①傾聴
②共感
③提案・感謝(謝罪)

それぞれ解説していきます。

ネゴシエーターのテクニック① ~傾聴~

 「傾聴」とはその漢字の通り、相手の話をじっくり聞くことです。これを言うと、自分は相手の話を聞くことくらいできていると言われますが、実際ほとんどの方は全く出来ていません。自分が思っているより相手の話を聞いていないし、反対に相手もあなたの話を聞いていないです。この原因は単純で、人間は自分の話をしたい生き物だからです。この隠れた欲求によって相手の話を聞くことにストレスを感じてしまいます。しかし、本来コミュニケーション能力が高いと思われやすい人は、話が上手い人ではなく、相手の話をじっくり聞く人なのです。人間は勝手な生き物で、「自分の話をしっかり聞いてくれた」「この人は自分のことを分かってくれている」「この人はコミュニケーションが上手だ」と都合よく解釈します。そして人間は自分のことを理解してくれる人のことを信頼します。なので傾聴は相手との信頼関係を築くために大事なステップになります。
 では、実際正しい傾聴はどのようなものなのでしょうか。まず、傾聴で最も大切なのは非言語的な部分になります。具体的には、「頷き」「相槌」「アイコンタクト」「間合いを取る」などです。あと一つ忘れてはいけないのが「ペーシング」です。
 「ペーシング」は、聞き手が話し手の表情やテンションに合わせるといった技法です。慣れてくると姿勢や音色、声の緩急なども合わせられるようになります。これらの技法はNLP(神経言語プログラミング)のメソッドを用いており、相手の潜在意識に働きかけるというものです。
 傾聴は非言語的な部分が重要と述べましたが、相手の心情を理解することはもっと大切です。先程紹介したような非言語的な要素を合わせながら、相手の心情を探っていかなければならないというのが傾聴の難しいところです。相手は何に対して怒っているのか、悲しんでいるのか、喜んでいるのかなど、本質を見抜いていく必要があります。本質が見抜けたら、次の共感に移ります。

ネゴシエーターのテクニック② ~共感~

 傾聴のまとめとしては、相手の非言語的要素を汲み取りながら相手の心情を正確に把握することでした。しかし、相手の心情を正確に把握することや相手が思っている感情の本質を見抜くのは具体的にどういうことかいまいち分からないと思いますので身近な例を一つ上げます。
 例えば、アパレルショップにこのようなお客さんが来たとします。「オンラインアプリではこの商品、在庫ありになっているけどこの商品はどこですか?」すると店員さんは探しに行きましたが、店舗には在庫がないことが判明しました。そして、「大変申し訳ございません。そちらの商品はこちらの店舗には在庫がなくて…」しかしお客さんは許してくれず、激怒しました。この後店員さんは誤り続けたり、他の解決策を提示しましたが、お客さんの怒りは収まりませんでした。相手の心情を正確に把握するのは難しいことです。一見この店員さんの対応は自然に見えるはずです。しかし、ここでは傾聴と共感が抜けてしまっています。まずはお客様のお話をしっかり聞きましょう。「アプリのご利用ありがとうございます」「こちらの商品ですね。よろしければ拝見させていただいてもよろしいですか?」「どのお色でどのサイズをお求めになられてましたか?」など相手が伝えていであろう情報を自分から取りに行ってください。そして返ってきた答えには全て共感を示してください。「その商品良いですよね」「良い色味ですよね」「ファッション感度が高い方に大変人気です」など、とにかく私はあなたの敵じゃないということを共感でアピールして下さい。さらに、この具体例の場合、お客さんは商品がないことよりも気に入らないのは、せっかく、わざわざ店舗まで足を運んできたのに商品がないと言われ、無駄な時間を返してほしいといった怒りの方が強い気がしませんか?そのことはお客さん自身は実際に言っていませんが、そこを汲み取りすかさず謝ります。「ちなみにどの辺りにお住まいですか?(場所が近くても遠くても)わざわざ店舗に来ていただいたにもかかわらず本当に申し訳ございませんでした。」みたいな感じです。この後にも共感を入れます。「今はオンラインショップで簡単に購入できますが、店舗でしっかり実物を見て購入を決めた方が良いですもんね。本当に申し訳ございません。」このように、傾聴して得た情報を元に相手の心情を汲み取り共感を示していきます。

ネゴシエーターのテクニック③ ~提案・感謝(謝罪)~

 最後は提案です。説得といえば、こちらが主導権を握り、駆け引きをしながら相手を誘導するみたいなことを想像する方もいるかもしれませんが、はっきり言って、それは無駄です。なぜなら、誘導してこちらの思い通りに操作できたと思っているのはただの自己満足で、相手は不快な気分になるからです。その場では良いかもしれませんが、ビジネスというのは一つ一つが繋がっているので、人望や信頼は大切なはずです。なのに駆け引きをしたり誘導したりするのは、その後の信頼関係を崩しかねないし、そもそもそんな小細工をしてくる相手となんか働きたくないですよね。
 まあ言いたい放題言いましたが、要するに提案は最後の最後に少しだけ言えば良いということです。肝心なのは前の2つのステップです。傾聴と共感がしっかりとできていれば、要求を通すのはそこまで難しくはありません。一つコツがあるとすれば、「絶対プランAの方が良いです。プランBよりプランAです。それは~のような理由があるからです。しかし、決めるのは○○さんなので好きな方を選んでいただきたいです。」みたいな言い方にしましょう。このミソは相手に選択権を与えているところです。「絶対プランAです!」で終わらせるのではなく、「しかし、○○さんが良いと思った方を決めて下さい」と付け加えているところです。人間は自分の裁量や選択権を奪われることを極端に嫌います。ところがこの「○○さんが決めて下さい」と付け加えることによってなんと要求が通る確率が2倍にまで上がるといった調査があります。なので、提案をする時はそこだけ気をつけてください。


さいごに

 いかがだったでしょうか。恐らく心理戦のような説得術を期待されて読んだ方にはがっかりな内容になってしまったかもしれませんが、本場の説得術はいたってシンプルです。しかし、オセロのようなもので、やっていることは単純だけれども極めるのは難しいといった感じですかね。今回紹介した技術や知識はすごく地味ですが、効果は絶大です。騙されたと思って一度やってみて欲しいと思います。勿論、どのような場面にでも使えます。これであなたもネゴシエーターに一歩近づいたのではないでしょうか。後は実践あるのみです!ではまた!


~メンタリズムスキル②~
じっと見つめてきたら警戒されている可能性大!

 適度に視線をそらしつつ、要所できちんと合わせることが。人と接するときに理想とされる視線の交わし方です。もし、初対面の人相手が、視線をそらさず、じっと見つめてきたら、警戒されている可能性があります。逆に視線を合わせてくれない場合は、話に興味がなかったり、否定的な感情を抱いていたりする可能性が高いでしょう。初対面の場合、視線の交わし方を観察することが、お互いの距離感を計る目安になります。



※おすすめの本:プロフェショナル・ネゴシエーターの頭の中
藤井一郎


※おすすめの本:問題解決をはかる ハーバード流交渉戦略
御手洗昭治・秋沢伸哉


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