子供の成績は親から遺伝しません

「〇〇さんの息子は親譲りで賢いね」という言葉を聞くことがあります。
また一方で、子供のほうが「自分が頭が悪いのは親のせいだ」なんて考える子もいるようです。

トンビはトンビを、タカはタカを生む、ということですが、私は子供の学校の成績は親から遺伝しないという事を伝えてみたいと思います。


遺伝するのは身体的特徴だけ

私はいろいろなところが母親に似ていると言われます。
では、学校の成績はどうかというと、母親は愚か父親にも似ていません。

私の母は短大卒で、父は名もない田舎の大学卒です。いずれも学校の成績は全くよくなく、論理的思考も苦手な人です。
結果、私への教育投資は少なく、小学、中学、高校とすべて田舎の公立高校を出て、受験用の学習塾にも通っていません。
でも、中学以降の学習戦略がおそらくよかったため、京都大学に入学しています。世間からはトンビがタカを生んだと言われるようなことです。

私の周りではこのケースの人が結構な数います。逆に、両親ともに東大京大を出ているのに、大学受験に失敗し続ける人もいます。
私の同級生や親せきを見ても、親の学力レベルと子の学力レベルは比例も反比例もしていないように見えるのです。
そしておそらく、学力は遺伝子に乗る情報では無いのだとも思っています。

いや、そんなことは無い、という人もいるかもしれませんので、すこしだけ脳というものの特徴からアプローチしてみましょう。

脳と筋肉は違う

「脳を鍛える」という言葉がありますが、これは「筋肉を鍛える」というものとは全然違います。
筋肉は、負荷をかけると筋繊維が増えて、より強い力が出せるようになるのです。筋肉の能力は力の強さなので、大小/強弱を決めることができます。
しかし、脳は違います。脳を鍛えると、考え方の特性ができる、つまり、考える方向性が変わるだけで、脳が強くなるわけではないのです。ものすごいスピードで100桁の掛け算ができるようになると、逆に別の能力が失われることもあります。
体は鍛えれば丈夫になるけれども、脳は色が変わるような変化でしかありません (血流が良くなることはあると思います)。

脳は、体に比べて柔軟で早く環境に順応します。つまり、身体的特徴ほど、先天的影響が少ない (先天的制約が弱い) という事でもあります。そうでないと、生物として環境適用できないからです。

学習の結果=脳の特性は、後天的要素が圧倒的に強いのです。


文科省の調査結果では

実際に大規模に行っている文部科学省の調査結果では、親の学歴・収入が高いほど子の学歴が高いという結果が出ました。
新聞や雑誌ではこのサマリー的な結果しか伝えていません。
しかし、私はこの結果は家庭習慣や教育投資が関係していて、遺伝的要素に着眼していないと思っています。
この中では、むしろ家庭の所蔵量、親の帰宅時間など、環境に起因した相関が非常に高く出ていたからです。
また、父親よりも母親の影響が強く出ている点も注目です。遺伝なら両方の影響が出るか、母親のほうが強く出れば父親の習慣は無関係になるはずです。


結局は親のやり方でどうにでもなる

実例やアンケートの結果から見るに、親の頭が悪いからと言ってこの頭が悪いことは無く、環境や勉強方法によって大きく変わるという事だと思います。
実際に私の成績も中学の半ばで大きく飛躍しました。そのきっかけは勉強時間ではなく、勉強の方法だったと思います。
田舎からやや都会(「町」から「市」くらい)に移って、友達の環境が変わったり、教科書補助ではなくテストベースの勉強に変わったりしたことが大きいです。

自分の成績とは関係なしに、東大京大ハーバード大、好きなところに行かせることができるのだという事ですね。
そして同時に、自分がどんなに成績優秀でも、しっかり子供に継承しなければ、決して学校の成績は良くならないという事でもあります。

参考

文部科学省 - 全国的な学力調査(全国学力・学習状況調査等)
https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/gakuryoku-chousa/index.htm

文部科学省 - 調査結果の活用・分析の取組
https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/gakuryoku-chousa/1344286.htm

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