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2021.3.1 ndjc

大学の同期で仲良くさせてもらってるきむかんこと木村さん(呼びづらいからこっからは「きむかん」で行く)の監督作「醒めてまぼろし」が、若手映画作家育成プロジェクト「ndjc」に選ばれたとの事で、有楽町まで観に行きました。

映画の大学の卒業生でありながらあんまり映画を観なくて、今年の映画初めはコレにしようと思っていました。

改めて、今回プロジェクトに選ばれた三作品のうちの一つがきむかんの監督作品「醒めてまぼろし」。
きむかんって会うとかなり隙がなくて正直なところがある。嫌いな奴に「好き」なんて言えないタイプだし、美味しい食べ物に感情を抑えずにはいられない素直なタイプ。たぶんこうやって分析されているのも嫌うと思う。
ほっとけよ。私は私で好きに生きさせてくれよ。
大学ではそんな感じで獲物を狙うハイエナみたいな目をギラギラさせていたのをよく覚えてる。

全体的な作品評として。

三作品とも「女性」が主人公。
俺は女性の気持ちが分からない日本代表なので三者三様の女性が画の中で暴れたり落ち込んだり寝たりしてんのを観て「あー女性だわ」という感じでした。俺は"概念として"の「女性」しか描けないのでやっぱ女性ってこんな感じなんだな〜って思いました。何言ってんのか分かんない奴は俺と違ってモテてるだけなので話しかけてくんな。

きむかんの作品は直接本人に言うので、それ以外の2つの作品の評価をしようと思います。あくまで俺主観の生意気な評価なので、観た方や関係者は気にはしなくて良いんだけど。
あと普通にネタバレも入れます。念の為。

①「毎日爆裂クッキング」
味覚障害のOL、文(あや)の話。
渡辺えりという大女優を起用し映画全体に良い彩りを与えてる。カラフルな作りってすごく良いよね。展開的には俺が苦手なタイプだったので途中目を逸らしながらだったけど、ラストシーン以外は良かった。「サイタマノラッパー」に出てた駒木根さんの演技も◎。
まぁ、ラストシーンってスゲー難しいのは俺も作り手としてムッチャ分かってるんだけど、ここを大切にしない作品はすごい嫌で。この作品も、言い切れはしないけど部類としてはそう。いい風に終わっているけど結局は報われてそうで報われていない。その報いは"救い"なのか、救いだとするなら本当にそれで良いのかとも思う。主人公を騙して自分の手柄にした上司が渡辺えりのあの怒りで「精算」した気でいるなら大きな間違いだ。なぜなら「していない」から。結局は渡辺えり側も不満を持ちながらやるしかないのだから。そういう意味では、騙し騙しでラストシーンを創り上げるのなら、作品としてちょっとどうなのかなと思う。
あと、あの暴れるシーンを妄想とするのもちょっと。短篇としてじゃなく、長篇にして恋愛要素とかも入れたら面白い映画になったのかなと思うと、ちょっと勿体なかったかなーと思います。

②窓たち
美容師として働く彼女と、バイトをしてるヒモ状態の彼氏のカップルの話。
カメラワークがすごい良かった。プロフィールで結構活動してる風な感じだったから、そこに違わぬスキルがあっていい感じ。ピントのボカし方もロケ地も選び方のセンスがピカイチ。
1番「おっ」と思ったのは彼女がお客さんの髪を切ってお客さんと別れた時。手を振った後、彼女が下を向いて同じように手を振るシーン。それだけで「あっ、さっきのお客さん子供連れてきてたのか」と分かる。「間接表現」って技法で、具体的に説明せずに分からせるという技法なんだけど、これ使えるのすごい上手いなーと思った。だけど、この技法をちょっとやり過ぎてたのが説明不足に至ったという結果に、後につながってくる。
でもまぁ、俺が恋愛経験が薄いから分かんないのかもしれんけど、全体的にこのカップルの距離感が全く分からない。何で子供出来たって嘘ついたのかも分からないし、くっついたり離れたりのし合いがよく分からない。
彼氏がバイト先の店長がタバコを吸うシーンのあの感情も分からない。自分も吸うんだから吸えば良いのにと思ったけど、なんか嫌がるんだよね。あれは何なんだろう。
あと、決め打ちで「南ちゃん」という人間が出てきて、どうやら彼氏の訳あり女らしくて、コイツが二人の間を掻き乱す事になるだけど、事前に南ちゃんの説明が0だったから全然分からなくて、よくこんなシリアスなシーンやるなと思った。見取り図なら漫才の後半で「いや南ちゃんって誰〜!?」ってやりかねない。そういえば彼氏が電話でちょっとした喧嘩みたいな事をしてたシーンがあって、それの相手なのかなとも思ったけど多分そう。
美容室に南ちゃんが乗り込んだ時に担当した彼女は最初に「ご指名ありがとうございます」と言わなかった=担当になるかどうか分からなかった、けどたまたまブチ当たったという奇跡はちょっとやり過ぎちゃう〜?と思った。南ちゃんと知ってたら(分かってたら)もうちょっと何か分かりやすい反応もしてほしかったし、どこで南ちゃんって分かったのかも映像に出してないし。説明してくれよってなった。彼女を知ってて南ちゃんが事前に指名したら分かりやすいけどね。面白いしわかりやすいし逃げられないし。
「桐島、部活やめるってよ」みたいに敢えて南ちゃんを出さなかったらすごい作品になれたのに。出しちゃったらいろんな説明がまた必要になるから、ややこしい。
しかし終わり方すげーオシャレで良かった。MVみたいだった。やりたかったんだろうなーとは思ったけど、映像技法で騙されないからな!となった。映画はストーリーが大事なので。

とまぁ、辛辣めに語りましたが、いいなーと思うとこも多々ありました。
参考程度に俺が好きな映画は「ピンポン」と「青い春」と「サッドティー」です。

映画という文化はなくならないで欲しいし、映画館で映画を観る特別な雰囲気、そして新進気鋭の若手映画監督の作品もこれからも観ていきたい。
それに選ばれたきむかんもスゲーな。もっと俺も頑張ろ。そう思いました。

てな感じで。

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