見出し画像

俺はいつだっておばちゃんに好かれる

おばちゃん。

それはとてつもなく情熱的で前しか見えない生き物。

俺は若い子に好かれたりはしないのをちゃんと分かっている。
それを快刀乱麻の如く分からせてたのが、前の職場だった。

職場は詳しくは言えないが、接客業で、会員制の場所だった。会員が来て、目的を果たして帰るといった感じだ。

会員はおばちゃんが8割を占めており、おばちゃんがこの店を牛耳り、時に従業員も懐柔しようとする最悪の場所だった。

この最悪の場所で何をするか?

「そんな腐った政治みたいなやり方はダメだ!根本から解決する!」なんて事を考えた人はいるだろうか。
そんなのは無理に決まってる。

話は脱線するが、会員制なので辞める事も出来、周りを巻き込んで後追い退会だって出来てしまう。店側の立場は「客を(こちらの店側の都合で)退会させない」のがもちろんのモットーだ。

これに気付けたら「変える」は無理だ。

俺も最初はやろうとしたが、例えば長年続いてきて店側も黙認した悪しき風習があったが、それを脱却させようと普通に言ったら言い返されたりしたし、店側にも「余計なことすんな」と言われ最悪だった。
店側としても「波風は立てず」に「客を増やして」いきたいという意味の分からない意気込みでバカしか増えないキャンペーンを打ち出したりしてこちら側をパンクさせ、なるべく余計な事を考えさせないようにするのだ。
だからとりあえず悪き風習は目を瞑る。そうなると頭のいい新しい会員さんは「あれどうにかなりませんか」と言いに来るが、「へへへ」と困り顔しておくと大体1ヶ月後あたりに辞めて、バカだけが残るシステム。「勘のいいガキは嫌いだよ」みたいな嫌な店だった。

ハガレンは1巻だけ読んだことがあります



話を元に戻すと、こんな嫌な店で働く際、どういうところでモチベーションを保つかになってくる。

ひとつは「興味本位で来たやつの話し相手になる」こと。
メリットは話してればいいので時間がつぶれる。だがこれで気をつけるべきデメリットはあまり話しすぎると「話しすぎだよ」と先輩に言われる事だ。だからちょうど良いのは「可愛い子が来たら対応して話す」キャラをつけておく。そうすると「また可愛い子きたからって対応しちゃってえ」みたいな感じになる。なんでこんな甘っちょろい感じになるかと言うと、たまにアホみたいに文句ばっか言うクレーマーを、他の奴より倍以上対応してるからだ。みんなから「アイツには休息も必要だよな」と思わせるのだ(天才的世渡り法だけど、俺が天才なだけなので凡人の皆様は真似はしないでほしい)。

で、本題のふたつ目としては「おばちゃんに好かれる」。
これはマジで誰でも出来るわけじゃない。おばちゃんは自由奔放で奇々怪々だ。何が起きるか分からないおばちゃんのフリースタイルに適応していくと、おばちゃんからLv.1くらいのお菓子を貰えるようになる。心を許してもらえた証拠だ。
俺は金持ちおばちゃんに照準を絞った。もちろんそれ以外を無碍にはせず、金持ちおばちゃんはワンランク上の優しさを見せてやる徹底ぶり。

その結果、何の見返りも無かったおばちゃんより、バレンタインデーの日に名指しでGODIVAのチョコを2箱貰ったし、クレーマーおばちゃんと仲良くなったら会う度に毎回俺にだけ3000円のお菓子をくれるようになった。

だが接客業の限界を感じたのは、こんだけ尽くしてるのに、他の先輩は顔がいいので家に牛肉を送られていたり、ほかの先輩は叙々苑弁当を貰っていた。
もう無理だと悟ったので、辞めた。

そして今働いてる職場で、たまたま帰り道が一緒だから一緒に帰ってるおばちゃんが「こいつワンチャンいけそう」って感じを受けてる。

いい加減にしてほしい。

俺はGODIVA2箱貰っても揺るがなかった男だ。
お菓子をくれたおばちゃん達は別に俺と付き合いたいなんて邪な気持ちでお菓子なんかくれなかった。俺の頑張りに対するご褒美だ。なんもお菓子をくれないおばちゃんに価値なんてない。

おばちゃんは本当にすごい。ただ、絶対数が少ないと俺みたいな好青年をターゲットにされがちだ。
「お菓子をくれるかくれないか」を物差しにし、ちゃんと線引きした方がいいと思う。

また前の職場に遊びに行って、お菓子をもらいに行くか。

そんな事を考えながら、ワンチャン狙うおばちゃんの口撃を躱す日々を過ごしている。







P.S.「おばちゃんに好かれるだけマシじゃないか」と言ってくる輩に対して何万字で論破しようかとも考えたらキリがないので割愛する。


この記事が参加している募集

仕事について話そう

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?