亡き母の記録④~転院

母がK総合病院に入院してから20日が経ったある日、私は子どもと一緒に病院へ向かっていた。母の転院の手続きのためである。

まずは病室へ向かい子どもを母に会わせた。6、7年振りの再会で、母も嬉しかったらしい。入院してから初めて笑顔を見た。介護タクシーが迎えに来る前に精算しなければならないので、子どもに母を任せて会計へと向かう。

会計で支払いをしていると、その間に介護タクシーが到着したらしく、子どもに続いてストレッチャーに乗った母が会計そばの玄関に現れた。渡された書類をしまいながら、慌ててそばへ行き、付いてきてくれた看護師さんに挨拶を済ませてタクシーに乗り込むと、タクシーは滑らかに動き出した。

孫効果なのだろうか、タクシーの中でも母は機嫌がよくて、10分ほどの道中、軽く世間話をすることができた。

RK病院へ到着すると、駐車場からの病院入り口で、緩和ケア病棟の看護師さんの迎えを待った。やがて現れた看護師さんと共にエレベーターに乗り込んで、病棟へと向かう。

母の入った部屋もそうだが、緩和ケア病棟は全室個室で、談話室や見舞に来た家族の泊まれる部屋もあり、充実した施設だった。ストレッチャーからベッドへと移った母を看護師さんに任せて、子どもと2人で担当医師から話を聞くことになった。

母のがんの進行具合、がんの患者としてどのような症状が現れるのか、この病棟ではどういう風に対応していくのか、詳しく説明してくれた。

面談の時も思ったが、この病院なら安心して任せられると思った。

病室に戻ると、看護師さんにいくつかの書類を渡されてサインしたり、売店で買うものを指示されたりした。母は病院から病院への移動で疲れたのか、少し口数が減っていた。

つれづれに書き連ねていきます。よろしくお願いします。