ITパスポート受験記3 それでもITパスポート試験を受験する理由

昨日の記事ではITパスポート試験のデメリットについて書いた.今日は「それでもITパスポート試験を受験する理由」について書いていきたい.

昨日の記事ではデメリットとして、実利的には役に立たない、ということを指摘した.だが、そもそも勉強する理由に、役に立つかどうかは必要だろうか.就職や転職のためなら簿記やらシスアドやらの方が確かに役に立つだろうが、勉強は別にお金儲けのためだけにするものではないはずだ.自分の興味関心に基づいて勉強したり、知らない世界を知るきっかけとして資格試験に取り組んだり、と言うこともあるだろう.

もちろん、受験料7,500円は決して安いとは言えない.しかし、ゴルフに1回行くよりも安いわけで、趣味の1つと思えば高すぎると言うほどでもない.

そして、問題は簡単ではあるが、興味深いものも多い.昨日の記事でも書いたように“広く浅く“の試験なので、関心の薄かった分野や知らない知識から出題される、ということもあるかもしれない.難易度は優しめといえど満点を取るのは難しいと思う.したがって勉強してみて知見が広がる、という体験はあるかもしれない.

私も勉強してみて意外だと感じたのは、“ITパスポート“という名称にも関わらず、ビジネス関係の知識が問われると言うことだ.勉強前には想像できないような、マーケティング関係の出題があったりする.例えばこんな問題.令和2年の公開試験:問22である.

問22 横軸に相対マーケットシェア、縦軸に市場占有率を用いて自社の製品や事業の戦略的位置付けを分析する手法はどれか.

 ア ABC分析    イ PPM分析   ウ SWOT分析   エ バリューチェーン分析

正解はイのPPM分析で、座標を4つに分け、左上から反時計回りに問題児・負け犬・金のなる木・花形と事業を分類して分析を行う手法である.他の選択肢も含めて詳細に興味があればネットで調べるといくらでも出てくるのでご自身でお願いしたいが、ここで言いたいことは、これがITとどう関係あるのかいまいち不明であるにも関わらず、試験に出るということだ.ちなみにアからエまで全てITパスポート試験では頻出の用語である.

このようにITパスポート試験では、一見無関係と思われるような、マーケティングについても出題されるし、他にも経常利益と営業利益の関係といった損益計算書の知識も問われる.私は簿記も持っているので簡単に感じるが、それでも知識の整理・復習になった.

もちろん、これらを必要ないと感じる人もいるだろう.なんでコンピュータの勉強をしたいのに、ビジネスを学ぶ必要があるのか、と考えてもおかしくはない.

しかし自らの趣味や教養を高めるきっかけとして取り組む分には、面白いと感じることもあるのではないだろうか.私もそうだが、マーケティング用語を勉強する機会など、普通はあまりない.ITパスポートを受験することになって初めて、聞いたことがある程度のマーケティング用語の意味を、しっかり学習するようになった.これは嬉しい誤算と言っていい.

このように、実利的な目的ではなく、趣味として、教養を高める目的のため、ITパスポート試験は、受験するに十分に値する試験と言えるのではないだろうか.


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