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『ぼっち・ざ・ろっく!』で学ぶ「コミュ力・フィルター」がスキル評価をデバフする【空想したもの】

チームで働く上で必要になる2つの能力

とある小規模のベンチャー企業でバイトをしていたとき、私はあまりに無力で、たった数週間で辞めざるを得なくなりました。
それは私のスキル不足というよりも、適応できなかったことが原因でした。
勤務を始めて数日経ってから「無能は迷惑だから君もそうならないように」と言われて委縮してしまい、社内ルールや空気に馴染めず、結果的にコミュニケーションが取れなくなってミスをしてしまいました。

私はこの経験を踏まえて、チームで働く上で必要になる能力は、以下の2つの要素に分類できると思っています。

  • コミュニケーション能力
    報告・連絡・相談、言語化、メンタルコントロール、気遣い、感情的なサポートなど

  • 他人と協同した上で発揮できる専門的スキル

片方の要素がうまくいかないと、もう片方の要素にも支障をきたし、組織に馴染めず、所属していられなくなるといった事態が起こり得ます。
例えば、コミュニケーション能力が足りないと、せっかくの専門的スキルが発揮できずに歯がゆい思いをしたり、「あの人仕事はできるんだけどちょっとね…」と言われて孤立してミスが増えたりします。
今回は、このコミュニケーション能力がスキルの他者評価に及ぼす影響、『コミュ力・フィルター』に焦点をあててみます。

成長曲線のグラフと『コミュ力・フィルター』によるデバフ

まず、ここに受験業界で有名な成長曲線のグラフがあります(下図)。
これは、練習にかけた時間に応じてスキルの上達度が向上する様子を表しているものです。

【余談】
受験業界でよく見るグラフのソースについて少し調べました。
心理学者 Hermann Ebbinghaus の忘却曲線を元に、心理学者 Arthur Bills が1934年に “General Experimental Psychology” で掲載した "Learning curve" がこれと似ている気がします。

成長曲線

しかし、今回は「他人と協同した上で発揮できる専門的スキル」の他者評価についての成長曲線が対象です。
その成長曲線のグラフは次の青色の部分になります。

そして、灰色の部分が『コミュ力・フィルター(デバフ)』です。
このフィルターはコミュ力が低いほど影響が大きくなり、実際の上達度よりもその評価を下げることになります(下図参照)。
このフィルターの影響の大小は、色の不透過度で表しています。
(つまり、色が濃いほどコミュ力不足の影響で大きく減点される。)

『コミュ力・フィルター』でデバフされた成長曲線(=他者からのスキル評価)

一方で、高度なコミュ力を持つ人は『コミュ力・フィルター(バフ)』を使えます。

このことが非常によく描かれているのが、かの有名なきらら系アニメ『ぼっち・ざ・ろっく!』です。

『ぼっち・ざ・ろっく!』における『コミュ力・フィルター』

登場人物の『ぼっちちゃん』は、個人で演奏する技能はプロ並みだという他者評価を受けていますが、コミュ力不足のせいで参加したバンドでの演奏は下手だという他者評価を受けています(下図参照)。
ストーリーが進むにつれて、ぼっちちゃんのコミュ力は少しずつ向上しているので、それを考慮して段階的な塗り分けにしています。
正念場でコミュ力が(瞬間的にでも)大きく上昇すると、周りからしたら突然うまくなったように見えますね。

ぼっちちゃんの『コミュ力・フィルター』でデバフされた成長曲線

一方で、他の登場人物の『喜多ちゃん』は、演奏する技能があるとウソをついていましたが、コミュ力があることで参加したバンドではしばらくうまくいっていました(下図参照)。
喜多ちゃんの『コミュ力・フィルター』は、ウソの実力でも本当にあるように見せるバフの力を持っています。

喜多ちゃんの『コミュ力・フィルター』でバフされた成長曲線(ウソ)

喜多ちゃんはウソがばれないうちにバンドから逃げてしまうのですが、後に勇気を出してバンドに再加入し、練習を重ねて急成長を遂げます。
逃げた場所に戻って成長できるのは、ただただ凄いです。

バイトから逃げる前に見た『ぼっち・ざ・ろっく!』はさほど刺さりませんでしたが、バイトから逃げた後に2度目に観たときは感動しました。
「逃げたバイトー!」である私にとって、『ぼっち・ざ・ろっく!』ほど初見から評価が変わった作品は無いかもしれません。


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