会話シリーズ③まだ恋を知らない人達

「ねぇ、5巻は?」

「棚にあるだろ。」

「無いから聞いてるんだけど。」

「そんなわけ.…あ、一巻買い忘れてるわ」

「マジ?!」

「そういや、そこだけWebで読んだから買わなかったんだ。」

「嘘でしょ?!…じゃぁそのWeb見せて。」

「もう配信期間終わってる。」

「えぇ!続き気になるんだけど!どうすんのさ!!」

「自分で買えば?」

「5巻だけ?」

「そう。」

「いや、それはなんか違うくない?」

「何が?」

「だって、私が5巻だけ買ったら5巻だけ所有するって事でしょ?」

「うん、そうだね。」

「それって変でしょ。大体、ここにあったから読み始めたんだし、続きはここにあるべきでは?」

「.…そうか?」

「そうだよ。」

「俺は別にそうは思わないけど。」

「じゃぁ私のこの読みたい欲はどうすればいいのさ。」

「だから買ってくれば良いじゃん?そんで、ここに置いとけば?全巻揃うし、一巻だけ持っておくって事も無くなるし。」

「.…あぁ確かに。どうせ毎日ここに来るしな。」

「じゃぁ、早速買いに行く?」

「うん。」

「ところでさ。ほぼ毎日来てるし、もうここに住んじゃえば良いんじゃない?」

「え?」

「通うの大変でしょ。」

「あぁまぁ、確かに楽にはなるけど....。」

「今更イビキの事なんか気にしないよ。」

「別にそんな事は気にしてない。」

「じゃぁ別にいいじゃん。」

「良いのか?」

「家主が良いって言ってる。」

「じゃぁ、良いのか。」

「うん。じゃぁとりあえず本買いに行くか。」

「うん。」


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