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視神経炎持ちが、抗がん剤を始めたら ① EC療法

『乳がん』と診断されて、治療が始まります。
ここからは、実際の治療編。
抗がん剤治療内容、副作用などの経過を書いてみます。

11/11  初めての抗がん剤

抗がん剤は、外来の化学療法室で行い、基本、入院はしないシステム。
(医療機関によって、初回だけ入院するとか、全クール入院するとか、様々)
多分に漏れず、私も、全8クール、入院することなく、外来扱いで終えることができたのは、幸せなことだった。


前もって処方されていた「吐き気どめ」を持参して、化学療法室へ。
部屋の中は、間仕切りで、個室ブースになっており、順に案内される。
時間帯により、混雑すれば、満席になってしまい、誰かが終わるまで、時間潰すことになってしまう。
私は、毎回、8:30に採血を終え、主治医が結果を確認してから、goサインを出すので、化学療法室へ行くのは、10時ごろ。
他の科よりは、早いので、席にもれることは、なかった。
リクライニングシート、TV、タオルケットが用意されている。DVDも、持ち込み可だ(持って行ったことないけど)
イヤホンは、自分で用意することになっている。
入院の心得と同じ、今や、必須アイテム。
11時頃になると、どのチャンネルも、TVショッピングか、料理番組になってしまい、苦痛であった。


全8クールのうちの前半は、EC療法。

ECのEが、エピルビシン
ECのCが、シクロホスファミド
この二つが、抗がん剤で、あとは、消化器症状(悪心、嘔吐など)、アレルギー症状の副作用を抑える薬。
昔は、抗がん剤といえば、嘔吐でしたが、このアプレピタントの出現により、劇的に抑えられている様子。
実際、抗がん剤の間、嘔吐したことは、一度もなかった。


このパンフレットには、総投与時間1時間と書いてあるが、実際は、2時間半。
ゆったり座って、TVでも観てないと、ヒマで仕方ない。
看護師さんがやってきて、持参した吐き気どめを飲むように促される。
点滴のルートをとったら、吐き気どめ、アレルギー症状を抑える薬が、1時間ほどかけて、投与される。
長時間になるので、利き手とは逆の腕に刺される。初日は、何も言わなかったが、温かいタオルを腕に乗せてくれ、点滴の痛みもなく、スムーズに落ちていった。


抗がん剤の準備が出来たら、初めての時だけ、医師と薬剤師から説明がある。
抗がん剤(エピルビシン)は、赤い福神漬けみたいな色で、毒毒しい。これを、ものすごい速さで、落とす。
落ちて終わるまで、医師が他愛の無い話をして、様子をみている。
あっという間に終わるのだけど、独特の嫌な匂いが込み上げてきて、なんとも言えない。
しばらくは、この変な匂いが、鼻に染み付いて、思い出しては、気分が少々悪くなった。お次は、シクロホスファミドを1時間。
薬剤師は、書かれていることを読んでいるだけで、何をしにきたんだろう?という感じ。
あれで、指導料とるのか…と思うと、同じ薬剤師として、恥ずかしかった。


朝10時ごろスタートできたら、13時までには、ゆっくり終わる。
お腹がすくこともあるので、点滴中の軽食は、許されている。
初めてのことで緊張していたのだが、何事もなく、無事、終了した。


11/15  見えない異変

子どもと映画に行き、別件で出かけていた主人と落ち合い夕食をとり、それぞれ、車を運転して帰った。
日も落ちて、真っ暗になってたせいもあってか?いつもに増して見えにくく、やっとの思いで、運転して帰った。


翌日、学校は参観日の代休で、歯医者の予約が入っていた子どもを、歯医者に連れて行くために、運転。
昨日に増して、見えていなかった。
緊急事態発生!すぐに病院に電話をし、眼科の主治医に伝えてもらい、診察してもらえることに。

「再発すると、逆の目も見えなくなる」と言われているので、急ぐ必要があったのだ。
見えなくなるスピードは、結構、早い。

視神経炎については、こちらを読んでいただけると、わかりやすい↓


急遽、いつもの検査を、一通り行った結果、見えている方の、右眼に、歪みが出ていて、確かに、見えづらい状況にあることが判明。
今は、まだ、治療する段階ではないので、翌日、再び受診するようにと、一旦、帰ることになった。
医師から、そう言われると、何倍も安心する。
翌日の検査では、嘘のように、もとに戻っていて、いつも担当してくれている検査技師さんや、主治医が、大変、喜んでくれた。
抗がん剤を始めたことで、一時的に、見えなくなったらしい。


ただ、今回が初回で、治療は始まったばかり。
2回、3回続けていく上で、また、再び、見えなくならないとも限らない。
そこで、主治医から、こう告げられる。

「もし、見えなくなったら、抗がん剤治療をやめるのか?それとも、抗がん剤を優先して、目の治療(血漿交換)をしないのか?
どちらか決めておいて欲しい。」

私の場合、見えなくなるのを止める術が、血漿交換しかない。
キレイなものと全とっかえしてしまうと、せっかく頑張った抗がん剤は、振り出しに戻ってしまうのだ。

視力をとるか?命をとるか?


重たい宿題を持たされてしまった。


11/26  夫婦で出した答え


乳がん、ステージⅡBということで、なんとか、かんとか、早期な方。きちんと治療すれば、10年後の生存率は、80%を超える。
(20%の方に当てはまったら…ということは、考えずに)
子どもは、まだ、小学生。
せめて、あと10年は、生きていたい…


仮に、全盲になり、並々ならぬ、生活のし辛さで、周囲に負担をかけたとしても、生きていることが大切なのではないか?

私たち夫婦が考えた答えは
    『抗がん剤治療を優先する』

再び、見えにくい状態になり、血漿交換の必要性がでても、血漿交換は行わない。

その事を、眼科主治医に伝えるとき、なぜか、笑顔で話すことができた。
重たい宿題をやり終えた私たちは、ひとまわり、大きく成長させてもらったようだ。
答え合わせは、出来ていないけども…
まんざら、悪い事ばかりではない。


こうして、自分でnoteを書いているということは、夫婦が出した答えが、現実になることは、有難いことになかったことは、申し添えておく。

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