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今夜パパに内緒で#4 将来を人質にとるな(赤い公園/消えない)

お世話になっております。日比野めんちと申します。

会社では、手当のつかない中間管理職みたいになってしまいました。

頑張れば頑張るほど損という日本企業に苦しんでいます。


もちろん、短期視点に立てばそうなだけで、そこで頑張ることが業務スキルを上げて、将来的な昇進/昇給につながる、とも言えるでしょう。

しかしそういう、将来を人質にとるみたいなのは好きじゃないです。

とか言って、あらゆることから逃げてきて、今があるわけですが。



赤い公園/消えない


第4回で紹介するのは、赤い公園の「消えない」です。

赤い公園は2010年に軽音部に所属していた4人により結成されました。

2017年にヴォーカルを務めていた佐藤千明が脱退し、2018年5月のVIVA LA ROCKにて、新ヴォーカルとして石野理子(元アイドルネッサンス)を迎えることを発表。

2020年10月、ギターでありバンドのコンポーザでもあった津野米咲が急逝。

2021年に解散しました。

「消えない」は、新体制になってレーベル移籍後初めてリリースされたCD「消えない -EP」に収録されています。


先ほどの説明にもあるように、この曲は、石野がヴォーカルを務めるようになって初のCDに収録された曲。

かつこの曲は、そのなかの一曲目でした。

つまり、これを以て、赤い公園は新体制を打ち上げたわけです。


しかし、そこでも「落ち着く」ということがありません。

刺すようなギターで始まるこの曲は、音圧の強いロックチューンとして始まると思わせ、複雑な構成を持っています。

また歌詞は、沈む、燃えるといった不穏さを湛えています。

沈むタイタン号 燃える人形町
声を荒げる水金地下木

赤い公園/消えない


この不穏で、今にも瓦解しそうなサウンドを、当時弱冠18歳の石野のヴォーカルが支えます。

ミュージックビデオは、石野の出身地である広島と、東京で2チームに分かれて撮影されたそうですが、交わらない二組がこの曲を契機に交わっていくことを予感させます。

また、この曲に合わせて砂浜で踊る石野は、その小さい身体——といっても18歳は今で言うと成人なので、小さいと表現するのは失礼かもしれませんが——で、この曲を支えるということの難しさを私たちに突きつけ、かつそれをクリアすることによる感動を与えてくれます。


先述したように、津野は2020年に、29歳の若さで没しました。

コロナ禍がずっと続き、収まる様子を見せぬなか、とても衝撃を受けたことを覚えています。

しかし、曲を通じて、また会えると思うのはナイーヴすぎるでしょうか。

なのに消えない 消えそうで消えない
こんな所で消えない 消さない

赤い公園/消えない

楽曲がリリースされたのは、2019年です。

そこから、世界は一変しました。

自身が「消える」ということに絡めて解釈される意図がこの楽曲にあったとも思えません。

でも、そのように聴くことが許されてほしい、と私は思います。

あなたがいなくなって、とても悲しい。

でも、あなたの「いなたいビート」は今も消えていない。



Spotifyにて、このシリーズ「今夜パパに内緒で」にて紹介した曲を入れたプレイリストを公開しております。

では、来週もまたお会いしましょう。

See you soon…


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