ムカつくコンビニ店員松山さん
私はコンビニ店員に、丁寧な接客を期待しない。
そこに商品があり、レジで会計できること。求めるのはそれだけだからだ。
期待しないから、ひどい接客をされても、私はそこまで怒りを覚えない。
まあ、そんなもんだよな、と思う。
しかし、家の近所のコンビニの、松山さんという店員だけは、私はいつも許せないと思っている。
松山さんは、レジで会計をする前に、両手を身体の前で合わせて、お辞儀をしながら「いらっしゃいませ」と言う。
その「いらっしゃいませ」の声がいつも鼻にかかっていて、「ひはっはいはへ」になっている。
最近はそれに拍車がかかり、もはや「はーはーへ」になっている。
別に丁寧に接客してほしいわけではない。
しかし挨拶されると「いらっしゃいませ」が基準になるので、「はーはーへ」は少しイラッとくる。
だから挨拶の度に、これなら言わないほうがマシだな、と思っている。
コンビニ店員の挨拶は、接客のためだけに行われるのではないらしい。
なんでも、来店を他の店員に知らせるとか、様々な意味があると聞く。
しかし松山さんがレジで言う「はーはーへ」に、そんな意味があるとは思えない。
だからやはり言わないほうがマシだと思う。
松山さんは、必ず「お箸類は何かお付けしますか?」と訊く。
ここで「はい」と答えるのは松山さん素人だ。
なぜならこの質問は、実際には「お箸類は、何をおつけしたらよろしいでしょうか」だからだ。
そこで「はい」と返答をしてしまうと、松山さんはすかさず「何を?」と質問を重ねてくる。
当然その声も鼻にかかり「はにを?」になっている。
そして松山さんは、こちらが指定したもの以外を絶対につけてくれない。
たとえば、お弁当と紙パックの飲み物とヨーグルトを買ったとしよう。
この場合、こちら側から「お箸と、ストローと、あと小さいスプーンをそれぞれ1つずつ」と、ちゃんと指定しなければならない。
仮に「お箸」を言い忘れたら、お弁当を手で食べるほかなくなる。
松山さんは情け容赦がないから、「お箸は?」なんて訊いてくれない。
松山さんはこの2年間、そのスタンスを一切崩さない。
他にも松山さんは、真横にいる研修中の店員がレジ打ちでテンパってても決してサポートしない。
品出しのときに近くを通るだけで露骨に嫌そうな顔をする。
私が松山さんにムカつくのは、主にそんな理由からだ。
コンビニの店員に、名指しで腹をたてるなんて大人げないとは思う。
だいたい腹がたつならその店舗を使わなければよいのだが、家の近くに同コンビニチェーンがそこしかないから、行くとしたら大抵そこになる。
そして店に入るとき、私はいつも「今日は松山さん、居ないといいな……」とか考えている。
私は松山さんにムカついている。
ムカつくところは上述の通り色々あるけれど、一番は、背が高くて顔が大谷翔平に似ていることだ。
こんな感じなのに、なんかチームスポーツの野球が得意そうなことが、理不尽なぐらい、めちゃくちゃムカつく。
【今回の一曲】
チャットモンチー/コンビニエンスハネムーン(2012年)
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