日向坂四期生新参者公演に寄せて
11月30日に行われた日向坂46四期生による新参者公演を配信で見た。
その公演の素晴らしさといったら、素晴らしかった。
それは、現地参戦された方も、ライブビューイングでご覧になった方も、そして私同様配信勢も同様に感じていることかと思う。
あのライブに何かを付け足すことはあまりに無粋に思える。
しかしそれでも、私はあのライブについて語ろうと思う。
それが、私の「見方」だったと表明するために。
新参者とは、歌舞伎町タワーのTHEATER MIRANO-Zaで行われる興行だ。
乃木坂46の5期生、櫻坂46の3期生、日向坂46の四期生。
各坂道の最も加入から日が浅い「期」が、期別公演を行う。
新しく入った人たちだから「新参者」。
正直、この興行自体に言いたいことはたくさんある。
歌舞伎町タワーならZepp Shinjukuでよかったのでは? とか(Zeppはロングランを前提としていないから難しいだろうが)。
そもそも歌舞伎町タワーでやる理由とは? とか。
ただ、それはひとまず措こう。それは、プロデューサへの不満だから。
日向坂46の四期生は、さまざまな場面で不安を口にしていた。
それは、「自分たちは受け入れられているのか」「自分たちは戦力たり得ているのか」というものだ。
これは、ドキュメンタリーや、雑誌のインタビューで読むことができる。
これはどちらも、日向坂46が選抜制を導入していないことと関係がある。
日向坂46はデビュー以来、その人数もあって「全員選抜」を実施してきた。
つまり、「アンダー」がいないという状況だ。
そしてそれは、最新アルバム「脈打つ感情」の表題曲「君は0から1になれ」でも踏襲されている。
ただしそこに、四期生は含まれていない。
ここで「全員」とは、一期生から三期生のメンバーを指している。
だから四期生には、このような不安が生まれることだろう。
一つは、自分たちは日向坂46メンバーとして戦力たり得ているのか。
これは、メイン楽曲のパフォーマンスに加われていないのだから、当然持つ疑問であろうと思う。
しかし、もう一つの疑問はもうちょっと事が複雑だ。
仮に一つ目の問題が解消されたとしよう。つまり表題曲に四期生も参加する状況が生まれるということだ。しかしそうすると「全員選抜」はあり得ない。
現段階で、日向坂46には30名を超えるメンバーがいる。
歌番組でのパフォーマンスを考えると、この人数全員が表題曲のパフォーマンスメンバーに選ばれることはあり得ないのだ。
そして、四期生が選抜に入るということは、これまでパフォーマンスメンバーに入っていた「先輩」の誰かを蹴落とすことになる。
そのような「脅威」たりうる自分たちを、おひさま(日向坂46ファンの総称)は受け入れてくれるのだろうか。
四期生のなかには、そのような不安も渦巻いていただろうことと思う。
(この不安については杞憂であると言いたいのだが、得てして、組織の新加入者はそのような不安を抱くものだ。ましてや、若い彼女たちにとって、それが新鮮な感情であろうことは想像に難くない)
そのような状況で、「新参者」というライブの場が与えられた。
そして11月30日の公演を以て、彼女たちは、日向坂46四期生として与えられた10公演を駆け抜けた。
それは彼女たちにとって、とても意義があり、私たちファンにとっても、とても大切な時間になったことは、1ファンとして確信を持って言える。
ライブはまず、初の四期生曲である「ブルーベリー&ラスベリー」で始まる。
何度もパフォーマンスされてきたこの楽曲は、安定感すら感じさせる。
それと同時に「四期生のライブだ!」という印象を私たちに与える。
以降、一つ一つの楽曲に触れていきたいところだが、それをすると長くなりすぎるため、いくつかの楽曲をピックアップしよう。
その前に確認しておきたいのは、四期生が、けやき坂46特に一期生と重ねられる部分が大きいことだ。
もちろん、彼女らのように「滑走路」と呼ばれたほど握手会(今だとオンライン握手会のミート&グリート)が売れていないわけではない。
正源司陽子などは、一次完売メンバーでもあるぐらいだ。
しかし、ライブでの出番が少ないことや、加入時の人数など重ねられる部分は大きいし、実際に、運営もそこを重ねる演出をしていたのだと思う。
またMIRANO-Zaというハコは、人数的にもけやき坂46のZeepツアーを思い出させるものだった。
その中で、最年少メンバーの渡辺莉奈センターの「ひらがなけやき」も素晴らしかったのだが、なにより驚かされたのは、平尾帆夏センターの「それでも歩いている」だろう。
この楽曲では、日向坂46の「約束の卵」でも歌われた念願の場所としての東京ドームで開催された「3回目のひな誕祭」で、一期生が歌唱した際と同じく木の椅子の演出が行われた。
そこに置かれた椅子は、一期生のときと同じく12個であった。
しかしこのパフォーマンスの凄みは、この類似性のみにあるのではない。
むしろ、一期生のそれを想起させつつも、そのノスタルジアに留まらないチャームがそこにあったことが素晴らしいのだ。
一つ残った椅子は、休養中の岸帆夏を、誰かを経由することなく想わせた。
それに、そのセンターが、同じ名前の平尾帆夏というのがまた良い。
この新しい「文脈」の付与により、自分たち色に楽曲を染め上げていたことを、私は素晴らしく感じた。
また取り上げたいのが、Wアンコールで披露された、最後の楽曲である「車輪が軋むように君が泣く」である。
この曲はそもそもひらがな時代に大合唱したこともある楽曲だ。
そして何より、ドキュメンタリー第1作「三年目のデビュー」のエンディング曲でもある。
しかし彼女らは、この楽曲を、涙ながらに歌唱し、四期生ライブの締めの曲としての「文脈」をそこに付与することに成功した。
次の世代である四期生たちは、どこまでも走れるだろうことを証明してみせた。
ツイッターに書いた私自身の言葉を再利用すれば、彼女たちは、これまでの日向坂46の歴史の上に立ち、それでもそれらの楽曲を、四期生の色に染め上げられることを証明してみせたのだ。
これがこの10公演の「達成」でなくてなんだろう。
最後に取り上げないといけないのは、四期生曲「見たことない魔物」だ。
この曲は、本編の最後に披露された。
この曲は、キラーチューンとしての魅力を更に増したと思う。
「七人の侍」からの引用である特徴的なフレーズと、胸を叩く振り付けは、「僕を信じてくれないか?」という言葉につながる力強さを持つ。
また個人的には、「カットアウト」で終わることが素晴らしい。
それにより、終わりでありながら、始まりを予感させる。
まさに、新参者の本編最後の曲として、あの曲は完成したと言えよう。
思えば、「ブルーベリー&ラズベリー」は流石に別枠としても(あまりにも四期生の初まりなので、あの曲以外でこのライブが始まることは考えづらい)、2曲目の「キュン」、本編ラストの「見たことない魔物」、Wアンコールの「車輪」は全て藤嶌果歩センターだった。
その意味では、このライブは藤嶌果歩の双肩に多くの乗ったライブだった。
そんな彼女が(書道が元から得意とはいえ)、「一体感」と書き、それがメンバーのTシャツになったのはあまりにも象徴的だ。
日向坂46四期生「新参者」はとても素晴らしいライブだった。
ここから、各メンバーの魅力を書き始めると、また記事の長大化を招くので、ここでは控える。
これからもしばしばツイッターの方で、思い出しては書くことになりそうなので、気になる方はそちらをチェックしていただけると幸いである。
繰り返しになるが、日向坂46四期生「新参者」公演千穐楽は、素晴らしいライブであった。
「ライブ最強」を目指すと標榜した日向坂46の「新参者」としてこれ以上なく「勝ちに行った」ライブであったと思う。
リピート配信が12/4(月)にあるので、少しでも日向坂46に興味のある方には是非ともお勧めしたい。
※画像はencore様より引用しました
https://e.usen.com/news/news-event/4646461-live-at-theater-milano-za4610.html
このテンションでお届けしてなんなのですが、
12/2(土)、12/3(日)に南阿佐ヶ谷のひつじ座で演劇をやります。
私は、脚本と、制作を担当しております。
こちら嬉しいことに、ほぼ完売の状態となっております。
こちらに向け、さらにやる気の高まるライブでした。
本当に素晴らしいライブでした。四期生、ありがとう。
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