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E1選手権が終わって、これからの日本代表。ワールドカップについて考えてみる。

優勝はしたものの

サッカー日本代表が、E1選手権優勝決定戦にて韓国代表を3-0で破り、優勝という結果で終えました。
結果は結果なので、賞賛すべきだとは思うのですが、課題が浮き彫りになった大会でもありました。
それは中国戦でのことです。
中国の陣形は、5-4-1でした。
その守備システムに苦戦した日本は特典を奪えず、0-0のドローという結果になりました。
5バックを相手にすると毎回苦戦を強いられていますし、本来なら勝たなければいけないはずの中国にドローという結果。
5バックが苦手というのは、早急に解決しなければいけない課題だと思います。
なぜ早急な課題なのか。
コスタリカが5バックを使ってくるからです。
ワールドカップ本大会にて、日本代表がグループステージを戦うのは、ドイツ、スペイン、そしてコスタリカです。
コスタリカ代表はGKにケイラー・ナバスを配置し、最終ラインを5枚置く、かなり厄介な守備ラインを形成しています。
中国の5バックを相手にあれだけ苦戦しているところを見ると、コスタリカ相手にも苦戦するのは火を見るより明らかです。
仮に5枚のディフェンスラインを突破したところで、ゴールを守るのはレアル・マドリードで活躍し、現在もパリ・サンジェルマンに所属する鉄壁のGKナバスです。
ただでさえ得点力不足と言われている日本です。
コスタリカも決して弱小国ではありませんから、うかうかしていたら簡単に日本ゴールを脅かしてくるでしょう。
ワールドカップ開幕まで100日を切りましたが、限られた代表活動期間の中で、どのように5バックを攻略していくのか注目していきましょう。

強豪と渡り合うために

日本がワールドカップグループステージ初戦を戦うのは、ドイツ代表です。
さらに、同組にはスペイン代表がいます。
ドイツ代表やスペイン代表は世界を席巻する強豪国です。
苦戦どころか、負ける可能性の方が高いというのが、ドイツ代表、もしくはスペイン代表という相手です。
そんな強豪を相手にどうやって戦っていくのかというのは、第一に考えていかなければいけない問題です。

ドイツ代表はどんなチーム?

ドイツ代表がどんなチームなのか、簡単に見ていきましょう。

GKノイアーです。

直近の試合、6月15日のドイツ代表対イタリア代表のスタメンです。
GKは、世界最高のGKであるノイアー。
リュディガーとズーレという身体能力の高いCBに加え、サイドバックに攻撃と守備を高いレベルで兼ね備えたラウムとクロスターマンという、世界的に見て圧倒的にレベルの高い4バックを形成します。
2枚のセントラルには、守備能力とパスセンスにおいて、ブンデスリーガでトップの実力を誇るキミッヒと、マンチェスター・シティで得点力も開花したギュンドアン。
得点能力とアシスト能力が抜群に高いミュラーをトップ下に置き、サイドハーフにスピードのあるサネとゲームメイクの上手いホフマンを配置。
トップにはラインを突破するのが上手いヴェルナーがいる。
守備ももちろん上手いのですが、特に攻撃陣は文句なしで世界で最も優れている国でしょう。
では、どんなゲームメイクをする国なのか。
まず特筆すべきは、守備ラインがとにかく高いということ。
ドイツ代表のディフェンスラインは、だいたい中盤の位置まで上がってきています。
味方がボールを持つと一気にラインを上げていき、ボールを奪取された場合、即時プレスをかける。
所謂「ゲーゲンプレス」と呼ばれる守備戦術になります。
現オーストリア監督のラルフ・ランゲニックが考案した戦術で、ユルゲン・クロップがドルトムントやリバプールで採用して好成績を収めたことで有名になりました。
ゲーゲンプレッシングは、ただプレッシャーをかけるだけではなく、相手のカウンターアタックを封じることに繋がってきます。
高い位置でボールを奪取するということは、一本のパスの重要度が増してきますし、選手には豊富な運動量が求められます。
本来は自陣で構えるCBが中盤より上のラインまで上がってくるわけですから、そのプレッシングを仕掛けられるチームとしては、カウンターが効きづらいということになってきます。
それを世界最高峰のチームが日本に仕掛けてくるので、日本はかなり苦戦するでしょうし、恐らく同グループの3チームの中で最もタフな相手だと思います。
ゲーゲンプレスを打開していくために、日本はどんな戦術を用いていけば良いのでしょうか。
ひとつの案として僕が考えるのは、「自陣で丁寧にボールを持って、相手ライン裏にロングボールを入れる」ということ。
つまり、ロングカウンターを狙っていくということです。
リトリートして自陣でしっかりと守備をし、相手の高いラインの裏をついてCBや守備的MFからロングボールを供給する。日本には南野や古橋など、裏抜けの上手いFWの選手が揃っていますし、伊東のような快速ドリブラーもいます。
久保を中盤に置いても創造性豊かで面白いかもしれません。
日本代表元監督の岡田武史さんが「ドイツは日本が10回試合をしたら3回勝てる相手」とおっしゃっていた通り、100%負ける相手ではありません。
ドイツ人の国民性から来る、緻密な戦術の元に行われる緻密なサッカーをどうやって日本が崩していくのか、今から楽しみで仕方ありません。

スペイン代表はどんなチーム?

直近6月13日のスペイン代表対チェコ代表の試合のスタメンです。
「ティキ・タカ」という言葉が知られるようになったのは、2008年~2012年までバルセロナを指揮したグアルディオラや、当時のスペイン代表がその戦術を用いたからでした。
ティキ・タカというのは所謂「超ポゼッション戦術」です。
今のスペイン代表では、確かにティキ・タカをベースには置いているようですが、ティキ・タカを基本戦術としているわけではありません。
現在のスペイン代表は、ポゼッションを軸とするショートカウンター戦術を用います。
そこで重要になってくるのが、中盤の3枚です。
スペイン代表はオーソドックスな4-3-3をのフォーメーションを敷きます。
そしてアンカーとインサイドハーフ2枚を置きます。
IH2枚は特にスペインの戦術に置いて特徴的なポジションになります。
左のIHに入っているコケはバランサーです。
攻撃も上手いし、守備もできるし、パスも回せる。
アンカーに入っているロドリゴ・エルナンデスは守備的な選手ですから、コケのような万能型MFはポゼッョンにおいて非常に効果的に働いてきます。
次に右IHに入っているソレールは、攻撃的なMFです。
中盤でコケやロドリが持ったボールを効果的な位置取りで受け取り、サイドアタッカーに繋いだり、クロスを上げたりしていきます。
自分でシュートを打っていくこともできますし、こちらもやはり、ポゼッションとショートカウンターには非常に良い効果をもたらしてきます。
このように、IH2枚の起用法によって、チームがどのような意図を持って戦術を組み立てていくのかは変わってきます。
左サイドにコケが置かれているのは、左サイドバックに起用されているアロンソのビルドアップとの調和性を高めるためでもあります。
それとは逆に、ソレールが攻撃的な中盤の選手なので、右サイドバックは守備的なサイドバックのカルバハルが努めます。
そしてWGもそれぞれ、本職はMFで、持ち運びやパスのうまいオルモを左に置き、ドリブルやシュートセンスに長けたWGのアセンシオを置いています。
ソレールが持ち上がり、アセンシオに預けることで、カットインからの利き足左からのシュートやミドルシュート、モラタへのラストパスに繋がります。
コケが中盤でバランサーの役割を成し、後ろのケアをすることで、アロンソの攻撃の組み立てが効果的になり、WGのオルモとの連携によって、ラストプレーの幅が広がってきます。
こうした中盤と他のポジションとのバランスの取り方によって、スペインのポゼッションとショートカウンターは成り立っています。
では、日本はどのような戦術を用いることで、スペインと戦っていくべきでしょうか。
僕個人的には、3-4-3なんか面白いんじゃないのかなと思います。
とにかく相手のポゼッションとショートカウンターを封じなければいけないなかで、攻撃時は3-4-3、守備時は時に5-4-1を形成し、献身的に守備をしていく。
中盤はとにかくタイトに、相手のスペースを塞いでいく。
相手のポゼッションに対してとにかく数的有利を取っていくこと。
スペインがだいたい3、4枚で攻撃をしてくるのに対して、こちらは中盤と最終ライン計5~6で守っていくイメージ。
元日本代表の本田圭佑さんは、「弱点が多い」チームとスペイン代表を称しました。
どんなに強い相手でも、数的有利というのは状況を打破する材料になってきます。

招集メンバーはどうなるのか

ワールドカップのメンバーはたった26人しか招集できません。
その中で効果的に戦っていくためには、複数のポジションをこなせる選手や、戦術を落とし込むのが上手い選手を招集することが重要な要素の一つになってくるでしょう。
そうなると必然的に海外勢が多くなりそうです。
三苫はサン=ジロワーズでウイングバックやサイドバックを経験していますし、冨安はアーセナルで本職ではないサイドバックとして主力で活躍しています。
何があるかわからないからこそ、このポジションにはこの選手、という固定した考えの元にメンバーを招集するのではなく、多角的に考えて勝てるメンバー招集をしていくことが大事なのではないかなと考えています。
招集メンバーがどうなるかはわかりませんが、戦術に選手が付随するのではなく、選手に戦術がついてくるということ。
それをよく考えたうえでメンバーを選んで欲しいと思います。

予想招集メンバー

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