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【キラーカブトガニ】太古から来た人喰い化石の挑戦状!

・現在映画.comにて絶賛先行公開中のモンスターパニックムービー『キラーカブトガニ』を鑑賞!今作が初長編映画となるピアース・ペロルゼイマー監督が脚本・制作・編集を1人で担い6年の歳月を経て完成させたというトンデモ熱量の映画だというのだから、その時点で興味を強く唆られるのは至極当然。

・ありとあらゆる動物達(最近はもっぱら無機物も増えている)がモンスターパニックの主役にその姿を燦然と輝かしていく中、遂にカブトガニにまでそのお鉢が回って来たのかと思うと驚きだ。

・タイトルだけなら最早出オチにすら感じ取れる本作だが、ここまでの情熱が注がれた作品、ただただ安っぽい訳が無い。カブトガニ達による血飛沫血みどろのゴア描写が魅力的なのは当然の事ながら、登場するキャラクターが皆非常にユニークであり血肉がしっかりと通った造形で作られているのだ。80分という短い尺ながらも、ドラマ性が作中で十分発揮されているのは見事。この手の作品は馬鹿なキャラクター達がワーキャー言い放って荒唐無稽に惨殺されるだけで中身の無い映画が多いのだが、キラーカブトガニは青春チックなニュアンスがふんだんに取り入れられた王道モンスターパニックムービーのお手本と言えるだろう。安っぽさなど、全く気にならない愛に溢れた秀作。これを褒めずに何を褒めるというのか。

・本作が映画としての真価を爆発し始めるのは中盤のプロムシーンからだ。それまでの人間ドラマも面白いのだが、観客は間違いなくカブトガニの殺戮に飢え始めている。そして溜まりに溜まったフラストレーションをここでこれでもかと解放する。楽しさがあるからこそ、恐怖は映え、シュールで馬鹿みたいな絵面だからこそ、モンスターパニックは映える。カブトガニ達が80年代のパペット系モンスターの様な愛嬌を備えているのも、また心躍る要素の一つだ。

・そしてまだまだ魅力尽きないのがこの映画の凄い所だ。昨今では『サイコ・ゴアマン』『ザ・シスト』が見せた本気のSFXをこの作品もまた全力でやり尽くしている。終盤のツッコミ所を全部置き去りにした激アツのラストバトルは近年稀に見る衝撃映像だ。最高にハートフルであり、完璧すぎる構成。『エイリアン2』も顔負けの展開。

・2023年は先ず間違いなくこの映画を優先して観るべきだ。

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