エッセイ「恋愛の進捗はちょっとずつ」⑵~過去と比べて~
私たちは先輩後輩から、友達を経て恋人になった。
そして、付き合った当時私が彼に抱いていた感情は、恋愛感情とは少し違うように思えていた。
”好きだったから付き合いたかった”というよりは、
”一緒にいてとても楽しいから付き合いたかった”と思っていたと思う。
彼の方の当時の気持ちはいまいちよく分からないが、以前聞いたときは「見た目はタイプだったけど、”年下とはもう付き合わない、私は年上が好きだ”と言っていたのを覚えていたから、まさかあなたと付き合うなんて考えもしなかった」と言っていた。
高校生の頃1つ年下の後輩君にアプローチされてお付き合いした時、私は失礼ながら彼のことを全く好きになれず、特にひとつもいい思い出もなくお別れを告げてしまった。
私は今まで年下との恋愛も、追われる恋愛も上手くいったためしがなかった。
私はきっと、一生年下の男の子は好きにはなれないと、その当時は強く思っていた。過去の経験に加え、私自身の素の性格が生粋の末っ子気質であることと、年上の異性に強い憧れを抱いていた性分でもあった。(俳優もアイドルも好きになるのはほぼ年上の人だ)
自分のためにも相手のためにも、もう年下の男の子とはお付き合いはしない、次は絶対年上の男性とお付き合いしたいと息巻いていた。
しかし、私にできたのは1歳年下の恋人だった。
付き合った当時は彼との関係が長く続くとは思わなかった。
最初は、彼が私に年上彼女として接しているのを感じたし、彼の方が熱量があり、彼との恋愛は追いかけてばかりだった今までの私の恋愛とは違うものだった。
今まで私に好意を抱いてくれた人たちは、”年上の女性としての私”に魅力を感じてくれていた。けれど素の私にはそんな魅力のかけらもないから、彼らとお付き合いするのは難しかったし、私は彼らを好きになったことはない。
でも彼は今までの年下の男の子とは違った。
まず、話していてとても楽しいし、一緒にいて心地がいい。
そして、彼は年上の女性としての私も、素の幼い少女のような私も、全ての私を受け入れて、好きでいてくれている。
そんな彼の私に対しての姿勢と、彼の魅力も相まって、今では私の方が彼にぞっこんである。
つづく
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