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理系の資料が見にくい原因と背景

1.間違いを正し合えない体質

まず原因の一つとして、あまり積極的ではない雰囲気の研究室では、学生らがお互いの資料の作り方や見た目にあまり口を出さないことが挙げられます。お互いに協力して仲良く慣れ合う場所は少ないのではないでしょうか?

これは、優秀な学生ほど自分一人の学力で生き抜くことが出来てきたために、身の回りの誰かを助けたり頼ったりすることを必要としない”ソロプレイヤー”が多いことが原因です。

そして教授が直接指摘してくれる場合も少ないと、コツがわかっていない学生は、発表資料の正解やセオリーが分からないまま体当たりで模索することになります。


結局見づらい部分ややってはいけないことを時々指摘されるのみで、どうすれば見やすいか?という点まではアドバイスをもらえず、あまり踏み込まないのです。

結局、毎月発表を頑張って卒業まで行ったとしても、資料作成は誰かの真似しかできないため、資料の見やすさに繋がる要素を掴めないまま学部の研究生活が終わってしまいます。

こうして悪い所をきちんと明確化せずに間違いを引きずってしまうことが、平均的な理系学生の資料を見づらくしているボトルネックの原因といえます。


2.大学の教育システム

一方、理系学生の作る資料が理解できにくいもう一つ原因、それは大学の実習レポートの制度です。

理系大学はどこも必ず実習があり、毎週大量のレポートを書いています。しかし、レポート作成において求められる能力は、最低限の根拠を持った説明と形式的な文章のルールを守ることの2点に徹底されています。

それに対して学生が気にするのは、自分の提出したレポートが何点になるのか、通るのか通らないのかどっちなんだいという点に凝縮されがちです。


すなわち、どう教授らに読まれているか、教授という人間はそれをみたらどういう感情になるのか、という相手側の人間のことを考えなくとも、出せば良いと許される環境が出来てしまっているのです。


対する教授やTAは、それに目を通すことが仕事であり、義務であるため、学生の作る文章や資料がどんなにつまらなくて理解しにくいとしても、文句を言わずに受理してくれているだけ。

より厳しく言えば、学生らには、自分の作った資料や報告を、相手が集中してきちんと読んでくれて当然、という甘えや驕りが最初からほぼ全員に浸透している状況なのではないでしょうか。

これは、お互いのアウトプットに対して素直に意見を投げ合う機会が少なかった場合に辿る光景です。


こうした教育を4年受けていると、理系学生の資料はしっかりとしているようで、実は見にくくて伝わらない、本番での見せ方や話し方が分からないといった学生に育ってしまうパターンになっているのではないでしょうか?


読む・聞く・見る相手のことを考えた資料を

相手も人間なら、興味を持ってもらうにはどの程度見やすくすればいいのか、いろんな要素が決まっているはずです。そして経験上、それは進捗報告という形で研究を円滑にするための技術になるはずです。

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