印象残欠

集合住宅の非常階段にマネキンが立っている。ちょうど戦隊ヒーローのように彩られたそれら5体のうち、中央の桃色に手を触れると、首が落ちた。

彼らは動きだし、わたしは逃げる。その恐怖のさなかに突然視座はわたしを離れ、鳥瞰でわたしと彼らを映し出す。だのに肩を掴まれた触覚はわたしのもので、その混乱は恐慌をいや増す、と、唐突に視座へテレビCMのようにポケットティッシュが飛び出してきて、そこでこの世界は途切れる。

その結末がむごたらしいものだと、今なおわたしは確信しているのだ。

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