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イタリア語をスペイン語にしてやろう!

語彙に関しては英語とイタリア語ならせいぜい60%の互換性だが、イタリア語とスペイン語ならば共通度は70〜80%とほぼ方言レベルの違いだ。
とはいえスペイン語はイタリア語が捨てた五つのアルファベット:J、K、W、X、Y、を保持しているので、そっくりそのままというわけにもいかないことがある。
今回はイタリア語をスペイン語に書き換える「八つの変換法」を紹介しよう。

(23/07/2024 順番揃えたかったので同じ記事の投稿です。)



1. S→Es

イタリア語と英語でSで始まる単語をEsにすると、スペイン語のようになる。
e.g. 
Student(e)→Estudiante
Studiare→Estudiar
Scuola→Escuela

これ実はフランス語にも共通する特性で、上の動画でフランス語を知らずにフランス語を読む方法として解説されている。(スペイン語版はなかった)

2. 語尾の
i→s

これは動詞の不定形を作る時の話だ。
特に二人称。イタリア語だとvai, vedi, となるが、スペイン語だとvas, ves, と主に語尾がsになる

実はこのsというのは元々ラテン語にあったもので、イタリア語が捨てたものをスペイン語が保持しているのだ。

ラテン語だと上の二つ、「行く」、「見る」はvādis, vidēs, なので、二人称に関してはスペイン語の方が保守性が高い。イタリア語がラテン語に似てるのは一人称の時だけで、スペイン語だと他に「我々」と「貴方達」も近い。

3. i=e, y

  1. i=e
    "i"を「アイ」と読むのは英語だけで、イタリア語でもスペイン語でも”i"は「イー」と発音する。
    なので他言語に置換すると、よく”i"と"e"でスイッチが起きる
    e.g.
    「会う」=伊: incontrare→西: encontrare
    ただし"e"を「イー」と読むのも英語だけで、イタリア語でもスペイン語でも"e"は「エー」と発音する。
    なので「会う」という言葉は、
    イタリア語が「んこんとらーれ」、スペイン語は「んこんとらーれ」だ。

  2. "i=y"
    かつて"y"はギリシアの"i"と呼ばれていたくらいで、ローマ時代はめったに使われず、中世になってからはよく混同されていた。例えば英語では"if"を"yf"、”time”を”tyme”と綴っていた時期がある。
    (Early voyages and travels to Russia and Persia参照)
    e.g.
    「助ける」=伊: aiutare→ayudar: 西
    ただし発音はどちらも同じ「イ」なので、書く時以外は特に気にしなくても良い。

4. t→d

先程「助ける」という動詞を例に見た。
伊: aiutare
西: ayudar
実は"iとy"以外に"tとd"も違うことがわかる。

イタリア語でtが間に入る場合、スペイン語ではdに置き換えられることが多い。

少なくとも過去分詞の”~ato”等は”~adoとなる。
e.g.
伊: Mi hai aiutato
西: Me has ayudado

5. f→h

「やる」という動詞はイタリア語では"fare"で、スペイン語では"hacer"だ。

スペイン語ではhを発音しないので、「ふぁーれ」と「あせーる」と、音にすると全く違って聞こえるかもしれない。

けれど元のラテン語を辿ってみるとそれぞれ近いことがわかる。
     ⤴伊: fare
羅: facere→ 仏: fair
     ⤵西: hacer
イタリア語でもフランス語でもfacereのfが残ったが、スペイン語ではf→hになった。


少なくとも九世紀の古スペイン語の時点では、未だfとして綴っていたのは確認されている。
けれども元々fがしっかりと発音できなかったのかもしれない。

大分弱く発音していたのが、ついには発音すら諦めて、Hとだけ綴るようになった。それが今日のスペイン語(castilian)らしい。
(動画で触れられているようにバスク語の影響があるのかどうかは不明)

6. o→u(e)

e.g. (ita→spa)

Scuola →Escuela (school)
Colpa→Culpa (fault)
Nove→Nueve (9)
Mondo→Mundo (world)

ただしどちらも音はほとんど同じなので、話す時には問題にならない。
書く時だけ少し気を付けてみてほしい。

7. s(x)→x, j


イタリア語にXはないので、基本Sで代用するが、
英→伊: Experience→Esperienza 
これがスペイン語の場合、”X”か”J”で表記が揺れる。(イタリア語にはXとJがない)
英→西: Experience→Experiencia 
英→西: Examples→Ejemplos
そしてこの”J”は”H”として発音する。これはしっかりと発音するということだ。
できるならHをちゃんと発音してくれよとツッコみたいが抑える。

もうこれに関しては覚えるしかない。
もしxに変換して通じないようならjに変換して、hの発音で言ってみよう。
Exemplosと言ったらそれはcatalan方言になるので、
「えんぷろす」がスタンダードである。

8. che(k)→que=cue


基本はローマ字読みのイタリア語だが、cheだけは例外的にkとして発音する。
そしての音はqu, cu, とも表せる。
これはローマ時代(もっと言うと彼らにアルファベットを伝えたエトルリア人)から続く混乱の一つで、
イタリア語でche(k)と表記される言葉は、que, cue, となり得る。
e.g.(ita→spa)
Che cosa?→Que cosa?(what?)
Quando?→Cuando?(when?)
Quale?→Cual?(which?)
上のように英語で5Wと言われる必須語彙は、Che, Que, Cue, で始まるので書き方は覚えておこう。(スペイン語は"che"="チェ"と読む)
とはいえ音は全く同じなので、話していると違和感はない

結論:伊Conclusione=Conclucion西

以上、イタリア語をスペイン語に書き換える八つの変換法を記した。
話す聞く分にはほとんど問題にならないことが多い。
さすがは姉妹言語と言われるだけある。
けれど彼女たちの仲睦まじさにあまり胡坐を掻きすぎると、チャットなどで「あれ、これ予測変換に出てこないんだけど、何で??」みたいな状態がわりとよく起きるので、少し予備知識として覚えておくと楽だろう。

彼女たちがどれくらい似ているかは前回の記事で述べている。
下に検証動画もついでに貼っておく。

理解度検証

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単語の相違



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