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コロナ日記 0516

 ベランダに出てタバコを吸う。家のベランダには屋根がないから、雨を浴びる。三分くらいなので、部屋着のまま耐える。ワイヤレスイヤホンから流れる一曲が終わる頃に丁度吸い終わる。

 今日のBGMはVaundyの「灯火」

 東京ラブストーリー2020の主題歌だ。昔のドラマと並行して見ているが、どちらもなかなか面白い。主人公の永尾完治は23歳で、劇中で24歳の誕生日を迎える。ドラマは現在6話まで配信されていて、ちょうど誕生日を迎えた時の話をしていた。だから、彼は僕たちの一個上ということになる。

 残念なことに僕はもう五年は彼女がいなくて、無事平穏にセカンド童貞ライフを過ごしてしまっているわけだが、今現在に限っていえば言い訳もたつものだ。おかげで、暇を理由に過去の恋愛ドラマや青春ドラマを20作品くらい見てそれなりに憧れもするが、例えばモテキを見たところで焦燥にかられることもない。

 鬱屈とした日常に世界が覆われているようで、ずっと前から抱いていた独りよがりの幻想がウイルスによって実際の連帯へと実を結んだような気分になっている。大学生活の日々に横たわっていた倦怠感が雨とともに僕を再び纏うような気がして、五月病を自覚する。

 書きかけの小説のことを思い出す。

 持続可能な生命のために擦り傷が外装粘菌で覆われる主人公は45年後を生きている。ドラマや映画の登場人物よりもよほど彼に親近感が湧く。物語とは距離を取っているから安易に感動なんて出来てしまうのだ、と思う。

 もっと何も考えないでいいくらいに忙しくならないものだろうか。怠惰な自分が情けなくなってしまう前に。どうしよう、どこへ行こうか。

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