負けブスの遠吠え

非常に個性的な顔に産まれた私には、人並みはずれて美しい母と、頭ひとつ飛び抜けて美しい姉がいる。

母は、授業参観とかあるたびに注目を集めて、あれ誰のお母さん?ってクラスをざわつかせた。同級生が話題にあげる、"あの美人なお母さん"は、私の母のことだった。アレからコレが?みたいな目線が、本当に辛かった。
姉は、中高大すべてのミスなんちゃらに選ばれた。姉が美人だと自覚したエピソードとして1番身に覚えがあるのは、高校時代に姉とのツーショットをSNSに載せた時、あれだれ!?って聞かれまくった事。めちゃくちゃイイネがきた。ていうか知らん同級生の男からもイイネがきた。

父親似なんだね(笑)とか、お母さん・お姉ちゃんと顔全然似てないね(笑)とか言われ続けた私は、まあなんというか、自分が美しくないサイドの人間なんだなっていうのは早々に自覚してて。女3人で暮らしてる中で(私は母子家庭なので父が一緒に暮らしてません)、美人の中にいるブスポジションをずーーーっと担うのは、普通に結構ツラいものがあった。
外を3人で歩いてる時あからさまに私1人だけ目線を向けられないのを感じるし、家族でごはんを食べに行った時も店員さんから私1人だけ会話を振られないのなんてザラだったから。
人間は基本的に美しい人が好きだから仕方ないんだけど、相手に悪意がないことも輪にかけてキツかった。

多分私は、人よりも美しさに執着してる。
自分が美しくなりたい!っていう執着もあるけど、それとは別に、美しい人をみると無条件で迎合しちゃう、みたいな側面もございまして…。きっとそれって、チヤホヤされるのが当たり前!な美人が日常生活で間近にいて、その無自覚な傲慢さとか我儘さを見てきたからなんじゃないかなあ。刷り込みコワ〜。
母と姉は私のことを、しっかりしてるだとか、コツコツ真面目な頑張り屋とかいうけど、美しくねーんだから努力で頑張るしかないんだよ!!!!美しかったらあなたたちみたいに我儘に生きるわボケ!!!!!な気持ちになっちゃう。煽られてます?私。
人には人の地獄がある。それはわかってるし、美しい母と姉にもきっとそれぞれ地獄がある。だけど、美しい母と姉は、醜い私の人生にはそもそも存在しなかった選択肢を選べてる事も事実なわけで。それはせめてわかってねって。強く、強く思う。

うだうだ劣等感にまみれたことぬかしてるけど、美しい母と姉がいるからって、全てを諦めて美しさにベットしなくなったわけじゃない。
ジムにも行ってるし、ゆるくだけど食事制限もしてるし、定期的に美容皮膚科行くし、アートメイクしたし、ボトックスもちょこちょこ打ってる。パーソナルカラー診断とか、骨格診断も受けた。
でも現実って残酷でね。どれだけ頑張っても、可愛い服着ても、研究を重ねた渾身のメイクしても、最終的には出来上がるのは、小綺麗なブスだったんだよね。土台が整ってればこんな惨事にはならなかったのにね。虚しくなっちゃう。

結局美しくなるためには、土台を整えるしかなくて。メイクとかファッションとか後付けの要素だと、どう頑張っても小綺麗なブスから脱却できない。そうなると根本解決は、整形と徹底したボディメイクしかないんですよね。

整形もボディメイクも、自分の足りない・至らない部分を認めて直視する、っていうステップが必ずある。ダメなところわからないと改善のしようもないしね。でもこれが本当に尋常じゃなくキツい。
だって、"美しくなること"を頑張ってるはずなのに、真逆に位置する、"自分の醜いところ"を真正面から見つめなきゃいけないんだよ。肌が荒れていること、二の腕が太いこと、顎の下の脂肪がなかなか落ちないこと、小鼻が大きいこと、目が小さいこと、声が美しくないこと、話し方に落ち着きがないこと、骨太なこと、そもそものパーツ配置が良くないこと。もう、羅列してるだけでも眩暈がしてきます!

ひとつひとつ潰して美しくなっていくしかないのは充分理解してる。けど、途方もない道のりに愕然とするし、繰り返し繰り返し自分のダメなところを見つめ直すせいで、わずかにあった自信をなくして、醜い自分はどんだけ頑張ったところで醜いままなんじゃないか、って途方に暮れる。
だから正直、生まれた時点で美しさを享受してる人を妬まずにはいられない。遺伝子ガチャが当たっただけのくせに!って。完全に負けブスの遠吠えです、お疲れ様です!

前に観た「ラブ&ポップ」っていう映画で、『何かが欲しい、という思いをキープするのは、その何かが今の自分にはないという無力感をキープするので、それはとても難しい』ってセリフがあった。本当に、本当に本当にその通りだと思う。

もはや、自分がご機嫌でいるために美しくなりたいのか、他人から称賛される美しさでなければ自分で自分を受け入れられないのか、よくわからなくなってきた。
ただひとつ、間違いなく言えることといえば、私はどうしようもなく許されたいってこと。呼吸をしていることを、生きていることを、存在していることを、今の容姿を、まるごと、ぜんぶ。
そんなことをしてもらえたら、もう、死んでもいいのかも。わかりませんが!

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