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詩集 死に向かう二十歳のうた

9
自分の死の供養のため
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#死

詩 『死に向かう二十歳のうた』 9

1 なぜ美しくなくてはいけないのでしょうか。 なぜ不服なことも笑ってやり過ごさなくてはいけないのでしょうか。 なぜ生と死は完全な二項対立なのでしょうか。 なぜ個性を持つことを強要されるのでしょうか。 なぜ自分のものを残したがるのでしょうか。 なぜ命を奪うことを嫌うのに花を摘み取るのでしょうか。 なぜ死を忌むのに死後の世界に夢を見るのでしょうか。 なぜ生きていなくてはいけないのにただ生きているだけでは誉められないのでしょうか。 なぜ自分の感情を否定するのでしょ

詩 『死に向かう二十歳のうた』 7 

破滅 「破滅したいと思ったりすることない?」 昼の喫煙喫茶 あなたはタバコをふかしながらそう言う

¥150

詩 『死に向かう二十歳のうた』 6

弔いなんてものがあるから厄介なんだ。 つくしのように 春の訪れを喜んで 日差しをいっぱいに受け止めて 背伸びする たくさんの友達と一緒にのびのび 春のうららを楽しむの つるんと しっとりと ある日誰かに摘み取られるの でも誰も気にしないの 気にせずにただ春の喜びに身を埋めるの 私も気にしないの みずみずしいまま 春の喜びの中で死んでいく 誰も弔いやしない 誰も悲しまない それがいい 残ったつくしは ただ春風に身をまかるの みんなただ笑っ

詩 『死に向かう二十歳のうた』 4

死が近づく。 誰かが恋人を殺した。 死が近づく。 あの子のお葬式に参加した。 死が近づく。 死にいたる病が蔓延る。 死が近づく。 誰かが追いかけてくる夢。 死が近づく。 そうやっていつも思い出させる。 人間が忘れてしまったもの。 2024/06/23